裁定買い残

裁定買い残(さいていかいざん)」とは、先物市場において裁定取引を行う投資家たちが持つ未決済の買いと売りのポジションを合わせた量のことを指します。裁定取引とは、同一銘柄の異なる取引所や市場で、価格差を利益に転じる取引のことであり、「先物売り・現物買い」というポジションを組むことがあります。

例えば、金先物の6月限が100円、9月限が105円である場合、裁定取引を行う投資家は、6月限で買い、9月限で売ることで、5円の価格差を利益に転じることができます。この場合、6月限の買いと9月限の売りのポジションを同時に持つため、未決済の買いと売りのポジションの合計量が「裁定買い残」と呼ばれます。

裁定買い残は、市場の価格差に関係する指標となります。一般に、裁定買い残が増加すると、市場の価格差が大きくなっていることを示し、その逆に、裁定買い残が減少すると、市場の価格差が小さくなっていることを示します。

裁定買い残が大きい場合、市場において裁定取引を行っている投資家が多いことを示し、市場の安定性が高いとされます。しかし、裁定買い残が急激に増加すると、市場のバランスが崩れることがあるため、市場参加者は注視しています。

なお、株式市場においても、株価指数先物と現物株を対象とした裁定取引が行われることがあります。この場合、「株価指数先物売り・現物株買い」のポジションを組むことで、株価指数先物と現物株の価格差を利益に転じることができます。このときも、裁定買い残とは、先物取引において「株価指数先物売り、現物株買い」のポジションを持つ未決済の買いと売りのポジションの合計量のことを指します。