こちらはBLSシステムの考え方がひと目で理解できる動画。ランダムに流れた球は正規分布を描きますが、BLSシステムは正規分布している2銘柄を見つけ出して、その正規分布の中央から大きくハズレたところでエントリーすることができる画期的なシステムです。
株のサヤ取り手法とは?
ジョージ・ソロス
まずは一般には聞き慣れない「サヤ取り」のお話から始めましょう。(サヤ取りの基本は知っているよという方はこちらまで飛んでも大丈夫です)
サヤ取りは世界三大利殖(サヤ取り、サヤ滑り取り、オプションの売り)の一角に並べられ、世界で最も裕福な一族であるロスチャイルド家や、イングランド銀行を潰したことで有名な投資家のジョージ・ソロスがおこなっていた手法です。
サヤ取り手法は株、為替、商品などあらゆる分野で行なえますが、ここでは例として株でお話しますと、8015豊田通商と8058三菱通商のように似た利益構造になっている企業を探し、チャートが同じような動きをしていることを確認してから片方が割高の時に売り、片方が割安の時に買う、つまり価格差がある時に両建てします。その後、適正値に戻った時に利確という流れですね。
ちなみにこのときの銘柄ペアの価格差のことを「サヤ」と呼びますので、価格差(サヤ)を取る=サヤ取りと呼ばれています。
AIが発達したプロの投資の現場ではすでにテクニカル分析が廃れつつありますが、サヤ取りに関しては未だ多くの投資銀行が戦略に取り入れています。
投資史上これほどまでに成果を出している手法は他に見当たらないのですが、残念ながら日本ではサヤ取りに関する良書はほぼなく、そのスタイルも短期で一気に稼ぐものではなく、長期でゆっくり稼ぐものですので人気がありません。
「サヤ取り」という言葉自体を聞いても正しい情報が少ないため、実践している人も少ないのが現状です。
なぜ2つの株を両建てする?買うだけではダメなの?

サヤ取りが広まっていない理由の一つに、「手法の意味」がいまいちわかりにくいということが上げられます。
「なぜ、わざわざ2つの銘柄を両建てするのか?メリットがわからない」
普通の方でしたらまずこの疑問が浮かびます。
サヤ取りは両建てですのでせっかく利益がでても、もう片方は損失をだす可能性が高いわけですから、利益が相殺されて少なくなるのでそう考えるのは当然でしょう。わざわざ両建てにする意味がいまいちピンときません。
株の基本は「価格が安い株を買って値上がったら売る」ですから、その儲けをわざわざ両建てして手に入れないなんていうのは理解に苦しみますね。
しかしこの「価格が安い株」ということはどういうことでしょうか?
何と比べて安いのか?日経平均?テクニカル指標?決算内容?それとも昨日の値段と比べて安いのか、1年前の価格と比べて安いのか?勘案しなければいけない材料があまりにも多すぎます。
株価には適正価格と呼ばれるものはあっても、その値段におさまることはほとんどありません。殆どの場合、「株価が安い」という考え方は自分の感想に過ぎません。自分が安いと思って購入しても他の人が高いと思えば株価はまだ下がります。
「あっ!この値段なら安いから購入しよう!」で失敗したことがある人は、その考え自体が誤りだとまずは気づかないといけません。
サヤ取りで両建てをすると高いか安いかがわかる
単体の企業を見ますと、今の株価が「高いか安いか」の判断は考慮しなければいけない材料があまりにも多すぎますが、実はサヤ取りはその「高いか安いか」をとてもシンプルにして精度を上げることができます。
サヤ取りは同じような動きをしている2銘柄を売りと買いの両建てしますが、過去に同じような動きをしている銘柄ということは、
これまでに「市場のあらゆるニュース、景気、暴落などを織り込んでもなお同じ動きをしてきた」ということです。
そこから推測できるのは、その銘柄を売買している市場参加者が一定だったり、同じ性質のニュースに反応する銘柄だったり、その2銘柄を大口の機関投資家がサヤ取りしていたり、その銘柄の企業が株価を意識して自社株買いなどのコントロールをおこなっていたりと、色々な理由があります。
そしてこれまで同じ動きをしてきた企業が短期間で利益構造に劇的な変化がおこることはなかなかありませんし、片方の企業が変貌したらもう片方もそれに追従できる(これまでもそうだったから同じ動きをしてきた)可能性が高いので、今後も同じ動きをする可能性が高いです。
つまり、単体銘柄の「高いか安いか」はわかりませんが、同じ動きをしている銘柄2つを比較することで、「高いか安いか」の判断はかなり高い精度でできるわけです。
サヤ取りは暴落に巻き込まれない
暴落が来ても回避が可能
株を購入すると、株価の上げ下げに一喜一憂して運が良ければ利益がでます。運が悪ければ損切りで損を確定して取引が終わります。
しかしもし、株を持っている間に年に数回起こる暴落に巻き込まれたらばどうでしょう?
通常は損切りは間に合わず、投資家は大きな損失を出してしまいますね。塩漬けなんかもあるでしょう。
そして実は殆どの投資家が退場するのはこの年に数回の暴落時です。これはまさに歴史は繰り返すというところで、昨日まで儲け話で盛り上がっていたTwitterが一気にお通夜状態になるのは毎回おなじみの風景です。
さて、ここでサヤ取りの話に戻るのですが、株のサヤ取りは「同じ動きをする銘柄を売りと買いで両建する手法」です。
これはつまり、年に数回起こる暴落時は両建てしているので巻き込まれないということなのです。
問題はどうやって似た動きをしているペアを見つけるか
実は、個人レベルで行えるサヤ取り手法は300年以上も前に考え出されたままで、基本的な手法の形は変わっておりませんが、証券会社や投資銀行など最前線でも使われているプロのサヤ取り運用方法は実は完全にブラックボックスで一般には公開されておりません。
毎年サヤ取りを使って黒字を出している投資銀行は多くあります。しかし個人がサヤ取りで勝っている話や、実際に稼げるサヤ取りのツールの話はあまり聞きません。
ここまで読んでもらって申し訳ないのですが、普通に個人投資家がサヤ取りをやっても勝つことはできません。
この理由としては、個人投資家が扱える株サヤ取りソフトは「相関係数」をメインに使用していたり、テクニカルを無理やり当てはめて売り買いを判断したりするもので、統計的に見ると無意味な事をしているのが主な理由です。
株価をエクセルなどで計算して価格差を計算することも残念ながら四本値(始値・終値・高値・安値)に頼っている時点で残念ながら勝つことは難しいです。
ITが発達して現代は10年前の相場とは形を変えており、個人がテクニカル分析で容易に稼げる相場はすでに終焉しているので、個人がサヤ取りで勝つためには一工夫が必要です。

サヤ取りの基本
ここからはサヤ取りの基本的な部分をしっかり理解していただき、その後に本当に勝てるサヤ取り方法をお話していきたいと思います。
チャートの値動きが似ている(相関がある)2つの通貨や銘柄をペアとして、一方が割高の時に売り、一方が割安の時に買いで両建てをします。
これがサヤ取りの基本的な考え方ですが、似たような動きをする銘柄の両建てなので、売りと買いの2方向で持っていると価格が上がっても下がっても損益は変わりませんね。
この両建ては普通なら手数料がかかるだけで良いことはありません。
しかしサヤ取りは、エントリーするタイミングと両建てする銘柄選定で利益を作ります。
サヤ取りは相場が異常な時を狙う
株や為替などは突発的なニュースなどによって一時的に大きく値上がったり値下がったりすることが毎日のように起こっているのは皆さんご存知ですよね?
サヤ取りの王道として、株ならニュースや決算、FXなら金利や要人の発言などで大きく動いた突発的な揺れ(異常値)を狙ってサヤを取りにいく方法があります。
実際にあったサヤ取りのエントリーポイント例をご紹介しますと、長い間同じ動きをしていたAとBの2つの保険会社がありましたが、そのうちのA社が顧客への保険金の支払いを渋ったということでTwitterで炎上した事があります。
すると炎上したA社の株価は下がりましたが、もう一方のB社はこの件には関係がなかったので株価は変わりませんでした。
ということは、今まで同じ動きをしていた両銘柄の価格差が一時的に広がることになります。
次でもう少し詳しく説明していきますが、サヤ取りはそういうタイミングをみてポジションを両建てします。
相関のある2つの銘柄のサヤは元に戻る

さて、さきほどの保険会社A社とB社を例に具体的にサヤ取りをしてみましょう。
上の画像を見ていただくと通常は200円程度の価格を保ちながら同じ動きをしているA社とB社でしたが、突発的なニュースがでてサヤの異常値がでました。
ここで価格が安くなったA社は買いで、価格が変わらなかったB社は売りで入るわけですが、このエントリーの前提として相関のある2つの銘柄の「価格差はいずれ戻る」ということが前提にあります。
1、「一時的なニュースでは企業の価値は揺るがない」
2、「情報が正しく認識されるのには時間がかかる」
この2点についてこれから詳しく説明しますね。
①一時的なニュースでは企業の価値は揺るがない
ニュースで株価が大きく動くものと言えば会社の不祥事や、先程の保険会社の炎上の類ですね。報道されると株価は一時的に大きく下がったりします。
しかしなにかしら小さなニュースは毎日ありますし、過去のニュースと株価のチャートを照らし合わせますと、ほとんどの場合一時的な動きの場合が多く、時間が経つと元の価格に落ち着いていることが多いのがわかります。
理由としては、ニュースなどの目先の要因では短期トレーダーたちが売りで飛び乗って価格が下がりますが、下がった所には中期・長期トレーダーが「安い」と判断する指値がありますし、機関投資家(金融機関等の大口)は不祥事程度の小さなニュースには見向きもせず、企業の業績や将来性を見て株を購入します。
特に大口ほど業績をしっかり見て株を購入しますので、異常値がでたところで結局は決算内容ありきの株価に戻っていきます。
ですので、異常値は短期の個人投資家の売買だけの値動きだけで終わり、サヤ取りの絶好のエントリーチャンスとなることが多いのです。
②情報が正しく認識されるのには時間がかかる
株の価格に一番影響するのは企業の財務状況(決算)です。
しかし、財務状況が正しく株価に織り込まれるのは少し時間がかかります。
例えばさきほど例にあげた、A社の「保険金の支払いを渋る」という行為は、たしかに会社の印象は悪くなりますが、決算への影響はどうでしょうか?
「保険金の支払いを渋る」というネガティブに報道されるニュースは顧客からの一方的な見方に過ぎません。経営者や投資家の立場から見ると「顧客の一方的な要求をきちんと断った」ポジティブなニュースとも言えます。
つまり保険会社が無駄な支出を押さえたということですので決算には好影響になるはずです。
情報が少ない中、支払いを渋ったことでお客さんが保険の解約に殺到する事を見越して株を売った投資家がいる一方で、思ったよりも解約されていないと見て株を買いに来る投資家達もいます。
この市場の判断の違いがサヤが是正されるのに時間がかかる理由です。
時間がたてばたつほど投資家の判断材料が世にでますので皆が同じ判断をくだすようになります。
ですので、企業の利益構造に大きな変化が起こらないのであれば「価格差はいずれ戻る」のです。
従来のサヤ取り手法が勝てない理由
個人投資家が利用できるサヤ取りツールの多くは、相関係数というものをメインに使って似たような動きをするペアを見つけ、そこにテクニカル分析を当てはめてエントリーを判断しています。
しかしその方法で勝ちつづけているサヤ取りトレーダーは実はほとんどおらず、それゆえサヤ取りは難しいと言われています。
なぜ勝てないのか?その理由として、まず一般的なサヤ取りソフトが採用している相関係数は、あくまで似たような動きをしているペアを見つけだすサポートの機能でしかないということです。
「相関係数が高い=同じ要因で動いている」ではありません。
そしてもう一つサヤ取りが勝てない理由は、エントリーに無意味なテクニカル分析を使っていることです。
一般的に使われているサヤ取りソフトはこの2点の前提が間違っているために勝つことができなかったのです。
相関係数とは、-1~+1以下で表示します。+1に近づくほど正の相関、-1に近づくほど負の相関があることを示しています。
一般的なサヤ取りソフトのエントリー方法
多くのサヤ取りソフトでは、相関係数で見つけ出したペアを使い、サヤが広がりすぎる異常値をテクニカル分析に当てはめて判断していました。
ボリンジャーバンドの2σ(シグマ)や3σを突破した所を見つけるのが一般的ですね。

上記はよく使われている株価のサヤ比(株価A÷株価B)をグラフにしたもので、ボリンジャーバンドを目安にしてエントリーするものです。

テクニカル分析はサヤ取りにあまり役に立たない
一般的にボリンジャーバンドで言われているのが、中央の移動平均線を基準として1σ以内に収まる率は68%、2σ以内は95.4%、3σの以内に収まる率は99.7%となっておりますが、それならば実際に3σを超えてから逆張りすればほぼ勝てるはずですよね?

どうでしょうか?ボリンジャーバンドの3σ以内に収まるのは理論上では99.7%もあるはずなのに、実際に3σを飛び出たところでエントリーしても勝率は50%前後しかありません。基準となる期間20日を30日に変えて見ましたが大きな差はでませんでした。
しかもこのバックテストでは取引コストは考慮されておりませんので、実際に稼働すると4σで逆張りでも収支はマイナスになります。
それはなぜでしょうか?
データは正規分布しているものを使わなければいけない
さきほどのボリンジャーバンドが通用しない理由として、ローソク足の価格は、「正規分布(動画)していないから」の一言に尽きます。
正規分布をわかりやすく身長に例えますと、日本人男性の平均身長は170センチ前後で、その周辺にもっとも多くの人が当てはまり、逆に190センチ以上や150センチ以下となると極端に少なくなりますが、そのように中央の値のボリュームが多くなり、中央から離れるほど均等にボリュームは少なくなっていくデータのことです。
正規分布の表の端にいけばいくほどレアな数値(身長で言うと150センチ以下、190センチ以上)となり、ボリンジャーバンドでいうと2σ、3σにあてはまりますね。
では、正規分布している身長データと違い、株価やサヤ比は正規分布しているデータと言えるでしょうか?
みなさんも御存知の通り、株価やサヤ比は一方向に動き続けるといったモメンタム(勢い)があります。身長のように平均的な値というものが存在せず、正規分布を描くことはありません。
今日が1000円なら明日は900円で、明後日は1100円という正規分布に近づく動きよりも、1000円→1100円→1200円→1500円!のような偏った動きのほうが遥かに多いです。
つまり中央の値が存在しないので、いずれそこに戻る保証はなく、そのデータへボリンジャーバンドのように「中央値から◯◯離れたから異常値」のように考えるテクニカル指標を当てはめても当然意味はないということなのです。
多くのサヤ取りソフトではボリンジャーバンドなどのテクニカルを参考にしてサヤ取りのエントリーを決めていましたが、残念ながらそれらは意味はなく、前述のデータ通り勝率50%前後に落ち着きます。
それならば目をつぶってエントリーするのとなにも変わりませんね。
サヤチャートを読む力を徹底的に鍛えることで勝てるようになったというトレーダーさんもいらっしゃいますが、おそらくσだけを見るといった使い方だけではなく、別の見方をしているはずです。
しかしそれは大多数の人には難しく、これまで個人投資家の間でサヤ取りが普及していなかった大きな原因の1つです。
では、統計を使う最新のサヤ取りツールはどうやって異常値を見つけているのでしょうか?

統計ソフトを利用した株サヤ取りの方法
従来の相関係数とテクニカル分析を使ったサヤ取りソフトを使っても期待している勝率は出せないということはお話しました。
ここからは統計を応用した株サヤ取り手法BLSシステム(バフェット・ロングショートシステム)を使ってサヤ取りができる銘柄ペアを見つけたいと思います。
見つける手順としては、
①きちんと相関しているかどうかを散布図で見つける。
②価格が正規分布しているかどうかをヒストグラムで確認する。
③現在のサヤが異常値かどうかを適正乖離から判断する。
まず散布図を使ってきれいな相関のペアを見つける
こちらはとあるグループのウエスト(お腹回り)と体重の一覧表です
※黄色い線はデータの散らばりから割り出した中心の値です。さきほどの正規分布の表で言いますとちょうど真ん中あたりを示しています。
ウエストと体重の関係を散布図で表示しますと、「ウエストが細い人=体重が軽い ウエストが太い人=体重が重い」という事から、散布図は左下から右上に向かって伸びていく形になるのがおわかりかと思います。
この形がなにを表しているかと言うと、ウエストが右へ動く(太くなる)と体重は上へ動く(重くなる)という相関した関係ということがわかるんですね。
太っている人ほどウエストが太くなるという関係は「当然の事実」として一般的に認識されていますが、その「当然の事実」を図にするとこのような形になるのです。
一般的なソフトですとサヤ取りペアは「相関係数」を使って絞りますが、残念ながら相関係数は偶然一緒に動いたペア(=日経平均につられやすいペア)なども片っ端からサヤ取りに適したものとして抽出してしまいます。純粋に同じ動きをしたかどうかだけを判断するもので、「ウエストが太いなら体重は重い」という事実はそこにありません。
ですので、まず相関係数で銘柄を絞り、次に散布図で正しい相関をしているのあるペアを選別していきます。
散布図でサヤ取りのペアを見つけ出す

上記は株のサヤ取り分析ソフト、BLSシステムの散布図です。さきほどはウエストと体重の関係でしたが、これは2つの企業の株価の差であるサヤを青丸で表示したものです。
この散布図からわかることは、2つの企業の株価がきちんと相関関係にあるのかないのかという事です。
さきほどのおさらいですが、横軸が右に1つ動けば縦軸も1つ上に動くような関係ですと、散布図は左下から右上に向かって伸びていくように表示されます(正しい相関がある関係)
これはつまり、2銘柄の株価のサヤ(価格差)が一定の距離を保って動いているということになります。
しかし、上記の散布図を見ると、右に1つ動いたら上に1つ動くような関係ではなく、ランダムに株価は動いているようで全体に散っていますね。ウエストと体重のような関係には見えません。
つまりこれは相関がないということで、2銘柄のサヤ(価格差)には規則性がなく、どこまでいけばサヤの拡大が止まるのか良くわかりませんよね?
正しく相関しているサヤ取りペアはこの形

こちらは、横浜ゴムとユー・エス・エスの2つの銘柄の価格差(サヤ)の分布を表したものです。
さきほどのあおぞら銀行と三井化学ペアの散布図と違って、綺麗に左下から右上に向かってサヤが分散しています。
つまりこの形は、「ウエストが太いなら体重は重くなる」ような正しい相関関係にあるといえるでしょう。
そのおかげで中央の黄色い線(基準値)は正確なものとなり、この線を基準にサヤが拡大したり縮んだりするということが予測できます。
つまり、サヤが赤線の辺りにある時にエントリーして、中央の基準値に戻った時に利益確定ができます。上記は1年分の散布図なので、言い換えればこの1年間はサヤが赤線に触ってエントリー、基準値に戻ったところで利益確定していれば負けなしの形なのです。

データが正規分布しているかどうかをヒストグラムで確認
次に散布図で正しく相関しているペアのサヤが正規分布しているかどうかの確認です。
こちらはBLSシステムのヒストグラムを使えば簡単に見つけることができます。BLSシステムのヒストグラムはサヤの分布を表しており、中央が一番高くなるような山のような形を探すことで正規分布しているペアかどうかがわかります。
まずは最初にちょっと残念な例として、6770アルプスアルパインと、3407旭化成の散布図とヒストグラムです。
こちらは散布図で正しい相関はできているものの、右側のヒストグラムが左に偏っていますね。散布図がきれいなのでこの形でもある程度の勝率は見込めますが、どうせ狙うならば次で紹介するヒストグラムです。
こちらですが、1546ダウ・ジョーンズと1321日経225のETFの10年期間のデータです。散布図は右上に向かっており、ヒストグラムもきれいな正規分布を描いています。
このようなヒストグラムの形でしたらボリンジャーバンドの2σなどの統計も有効なデータと言えるでしょう。
現在のサヤが異常値かどうかを適正乖離から判断する。

上記はBLSシステムでみることができる、「適正乖離率チャート」というものです。これは1年~10年期間の散布図のデータの散らばりから中央値(青枠0%)を求めたもので、そこからどれだけサヤが拡大しているかを表示したものです。
ボリンジャーバンドの場合ですと、過去20個前後のデータの平均で中央値を求めているだけなので、適正乖離率チャートのほうがより正確なサヤの開き具合が計測できます。
上のデータは先程の1546ダウ・ジョーンズと1321日経225のETFペアですが、上下とも乖離が30%辺りを限界としているのがわかります。この辺りは正規分布しているデータという前提でしたら、3σあたりなのでエントリーチャンスと言えますね。
サヤ取りはFXと株のどちらでやるべきか?
ここまで株のサヤ取りについて解説してきましたが、たまにお客さんから株ラボへ「株とFXのサヤ取りではどちらが勝てますか?」というお問い合わせをいただきます。
これは色々と諸説ありますが、株ラボの手元にあるデータを見ると個人投資家が行う場合は株のサヤ取りのほうが、FXのサヤ取りよりも勝率が良いことが確認されています。
熟練度の違いで勝率はどうにでも変わるという話もありますが、FX派には残念ですが勝率の違いはFXと株の構造的な違いによって起こります。
株のサヤ取りはペアの数が圧倒的に多い
株の方が勝率が高い第一の理由としては、株はFXや先物のサヤ取りよりもサヤ取りできるペア数がはるかに多いため、エントリーが多くほぼ毎日エントリーできます。
そのため銘柄分析をかなり厳しくしても銘柄ペアが足りなくなることがありません。自信のない銘柄に固執する必要はまったくありません。
しかしFXでサヤ取りをおこないますと、とたんにペアが少なくなりますしチャンスも少ないので、多少エントリールールを妥協しなければいけません。それが勝率が下がる要因となります。
また株価は、企業の財務状況(決算)に将来的な予想利益などが加味されて投資家が適正な株価を予測します。
しかしFXの予想価格というものは国と国との関係、貿易収支、GDP、雇用統計、金利など要因が多すぎてだれも正確に当てることができません。そのため予想外の価格まで動くことがありますので株よりも危険度が高いと言えます。
株はFXに比べて価格の透明性が高い

株がFXよりも勝率が良い第二の理由として価格の透明性があります。
株はFX業者のように価格が微妙に異なったり、価格が滑って不当な値段がつくということもありません。すべての証券会社が同じ価格を掲示しますので取引の透明性が非常に高いです。
透明性と聞いて、ここは初心者の方ほど非常に甘く見ている部分ですが、年間の取引回数が多いとコストとして建玉が100万円でもコストに5万円以上の差が出てもおかしくないところです。
また、相場の世界で長く残っている有名なトレーダーの多くは、この透明性が理由で株取引でトレードを行っています。
国内ですとBNFさんやcisさん、世界で見るとウォーレン・バフェットやジョージ・ソロスなどの有名なトレーダーはみんな株式出身です。
しかしFXで有名なトレーダーを思い浮かべると、残念ながら一瞬の儲けはすごいですが、安定して生き残っているという方はほとんどいないというのが実情です。
これはFXと違い、株のほうが安定して勝てるという紛れもない証拠です。
株サヤ取りの注意事項
ここまで株サヤ取りのメリットをお話してきましたが、メリットばかりでは実際の投資の役に立ちませんので、ここではサヤ取り全般のデメリットもご紹介していきたいと思います。
サヤ取りは知名度が圧倒的に低い
日本での株サヤ取りの知名度は非常に低いです。FXのサヤ取りなどはまだ知られていますが、株のサヤ取りとなると地味なイメージですので相場に夢を見ている人たちからは相手にされません。
それゆえのデメリットとして、株のサヤ取りの情報は業者が発信しているものが中心となり、個人発信の情報が非常に少ないです。
もちろんこの記事を書いている我々も業者の一端ですから、サヤ取りに関して都合の良いことを書いてしまうのが心情です。
ですので、客観的に書かれた情報に一般の方は触れにくいというのは大きなデメリットです。
まだ株ラボが開発したサヤ取りソフトであるBLSシステムはまだ新しいソフトなので、ブログで実践してくれている人もまだ見かけませんので、仮想トレードなどご自身で試されることが大切です。
株のサヤ取りは必要証拠金が多く必要
株サヤ取りの問題に資金効率が悪いということがあります。
サヤ取りは「両建て」するので、通常の「買い」だけか「売り」だけではいる「片張り」よりも必要証拠金が2倍必要です。もちろん手数料も2倍です。
また、値動きもゆったりとしたものになるために、最短1日~長くて半年程度ポジションを持つことになるので、回せる資金がないとやる事がなくなる退屈なトレードとなります。
そのため、成績は非常に安定する代わりに利益が月利50%!なんてことはできません。
目指すところは年利20%~30%あたりです。(サヤ取りを初めて半年で年200%を達成するようなすごい方もいらっしゃいますが、やはりきちんと勉強しないと難しいです)
サヤ取りの成績に関しては実際に先出しトレードをおこなっていますのでぜひ参考にして下さいね。
もちろん勝つためには株の勉強は必要
株のサヤ取りですが、まったく勉強をせずに稼ぐことは残念ながら不可能です。
ネットでたまに見かける「初心者が1ヶ月で資金2倍!」なんていうお話はリスクをかなり取らなければありえない話です。それはもはやギャンブルです。
ですので、株の基本的な構造、ROAやEPSなどの指標の知識、大株主やストップ安などの対応方法の知識は必須です。
しかし株サヤ取りに必要な知識の9割は株ラボに書いてありまして、残り1割もおすすめの書籍を図書館で借りるなどで読んでいただければ大丈夫かと思います。
一通り勉強していただき、あとはBLSシステムについている仮想トレードで鍛えてもらえれば初心者でも本当に稼げるようになりますよ!
株のサヤ取りで勝てない人が絶対に知らないバフェット・ロングショート・システム まとめ


