プットオプションの定義
プットオプションとは、オプション取引の一種で、特定の資産(原資産)をあらかじめ定められた価格(行使価格)で、将来の特定の期日(満期日)までに売る権利を買い手に提供する契約です。
プットオプションの買い手は、この権利を行使することで、原資産を行使価格で売ることができます。
基本的な特徴
- 行使価格(Strike Price): プットオプションを行使する際に原資産を売る価格。
- 満期日(Expiration Date): プットオプションの有効期限。満期日を過ぎるとオプションは無効になります。
- プレミアム(Premium): プットオプションを購入するために支払う価格。これはオプションの価値を示します。
プットオプションの使用例
- ヘッジ(リスク回避): 投資家が保有する株式の価格下落リスクを回避するためにプットオプションを購入します。株価が下落した場合、プットオプションの価値が上昇し、損失を相殺することができます。
- 投機: 投資家が特定の株式や市場全体の価格が下落すると予想する場合、プットオプションを購入して利益を得ようとします。
プットオプションの利益と損失
- 利益: 原資産の価格が行使価格を下回る場合、プットオプションの買い手は原資産を行使価格で売ることができるため、利益を得ます。
- 損失: 原資産の価格が行使価格を上回る場合、プットオプションの買い手はオプションを行使しないため、支払ったプレミアムが損失となります。
プットオプションの戦略
- プロテクティブ・プット: 投資家が保有する株式の価格下落リスクをヘッジするためにプットオプションを購入する戦略です。
- ベア・プット・スプレッド: 複数のプットオプションを組み合わせて、価格下落に対する利益を最大化しつつ、コストを抑える戦略です。
プットオプションのメリットとデメリット
メリット
- リスク管理: 株価の下落リスクをヘッジすることができます。
- レバレッジ効果: 少ない資金で大きなポジションを取ることができます。
デメリット
- プレミアムコスト: プットオプションの購入にはプレミアムが必要であり、これが無駄になる可能性があります。
- 時間価値の減少: オプションの価値は時間とともに減少するため、タイミングが重要です。
プットオプションの具体的な使い方
ヘッジ(リスク回避)目的
保有している株式の価格下落リスクをヘッジするために使用します。
例:100株のA社株式を保有している投資家が、A社株式の行使価格100円のプットオプションを購入します。株価が100円を下回った場合、オプションを行使して損失を最小限に抑えることができます。
投機目的
株価の下落を予想する際に利益を得るために使用します。
例:B社の株価が現在150円で、今後下落すると予想する投資家が、行使価格140円のプットオプションを購入します。株価が140円を下回れば、オプションの価値が上昇し、利益を得ることができます。
プロテクティブ・プット戦略
保有株式のダウンサイドリスクを制限しつつ、アップサイドの利益を確保する戦略です。
例:C社株式を保有しながら、同時にC社株式のプットオプションを購入します。これにより、株価下落時の損失を限定しつつ、株価上昇時の利益を得ることができます。
ベア・プット・スプレッド戦略
株価の下落を予想する際に、リスクを限定しつつ利益を得る戦略です。
例:高い行使価格のプットオプションを購入し、同時に低い行使価格のプットオプションを売却します。これにより、最大損失を限定しつつ、株価下落時の利益を得ることができます。
キャッシュ・セキュアド・プット戦略
株式を割安な価格で購入する機会を得るために使用します。
例:欲しい株式の現在価格よりも低い行使価格でプットオプションを売却します。株価が下落してオプションが行使された場合、希望の価格で株式を購入できます。
これらの戦略を使用する際は、オプション取引に伴うリスクや複雑性を十分に理解し、自身の投資目的や市場見通しに合わせて適切に選択することが重要です。また、オプション取引にはプレミアムコストや時間価値の減少などの要素があるため、これらも考慮に入れる必要があります。
→ コールオプション
出典:大和証券