Japan Securities Clearing Corporation (JSCC) は、日本の主要な中央清算機関の一つです。
以下にJSCCの主な特徴と役割をまとめます。
JSCCの概要
- 設立と発展:
- 2002年に国内5証券取引所と日本証券業協会の出資により設立されました。
- その後、日本国債清算機関や日本商品清算機構との合併を経て現在に至っています。
- 清算サービス:
- OTCデリバティブの清算:
- 円建てのOTCデリバティブとして、金利スワップとCDS(インデックスCDSとシングルネームCDS)の清算を行っています。
- 2011年7月にCDS、2012年10月に金利スワップ(IRS)の清算を開始しました。
- リスク管理:
- 参加者の資格要件、流動性資金調達、損失分配の取り決めなど、様々なリスク管理ツールを導入しています。
- 決済プロセス:
- 証券の受け渡しはJASDEC(証券保管振替機構)を通じて行われ、資金決済は指定された決済銀行または日本銀行を通じて行われます。
- DVP(Delivery Versus Payment)決済を採用し、証券と資金の同時決済を実現しています。
- 国際的な位置づけ:
- 日本の主要な中央清算機関として機能していますが、国際的には米国のCMEや欧州のLCH(London Clearing House)などの他の主要な清算機関も存在します。
中央清算機関の具体的な仕事
1. 取引の清算
JSCCを含む中央清算機関は、取引所で成立した売買契約を受け取り、それを清算します。
具体的には、取引の双方(買い手と売り手)の間に立ち、債務と債権を引き受けます。これにより、取引の当事者が直接取引相手の信用リスクを負うことなく、安全に取引を完了することができます。
2. ネッティング
ネッティングとは、複数の取引を一つにまとめて、最終的に清算する金額や数量を減少させるプロセスです。
これにより、取引の効率化とリスクの低減が図られます。中央清算機関は、取引のネッティングを行い、効率的な決済を実現します。
3. リスク管理
中央清算機関は、取引の信用リスクと決済リスクを管理します。具体的には、以下のようなリスク管理手法を用います。
- 証拠金の徴収:取引参加者から証拠金を徴収し、取引の履行を保証します。
- リスク評価:取引のリスクを評価し、必要に応じて追加の証拠金を要求します。
- 保証基金の運用:取引参加者からの拠出金を基に保証基金を運用し、万が一の決済不履行に備えます。
4. 決済の保証
中央清算機関は、取引の決済を保証します。これにより、取引の当事者が決済不履行のリスクを負うことなく、安心して取引を行うことができます。
清算機関は、取引の決済が確実に行われるように、証券や資金の振替指図を行います。
5. 規制遵守と国際基準の適合
中央清算機関は、国際的な法規制や基準に適合する清算・決済制度を構築し、金融市場の安定性と透明性を確保します。
これには、グローバルな法規制の見直しに対応し、世界基準の清算・決済システムを提供することが含まれます。
日本で活動しているその他の中央清算機関
日本で活動している中央清算機関は、以下の通りです。
ほふりクリアリング(JDCC)
- 概要:日本証券業協会が設立した清算機関で、主に証券取引の清算を行います。
- 役割:証券取引の受渡し、決済の保証を行い、取引の安全性と効率性を確保します。
東京金融取引所(TFX)
- 概要:金融先物取引の清算を専門とする機関です。
- 役割:金利先物、為替先物、株価指数先物などの金融先物取引の清算を行います。
これらの中央清算機関は、日本の金融市場における取引の安全性と効率性を確保するために重要な役割を果たしています。
JSCCは、日本の金融市場において重要な役割を果たしており、取引の効率性と安全性を高めることに貢献しています。マルチラテラル・ネッティングや証拠金の効率的な配分など、中央清算機関としての重要な機能を提供しています。