テクニカル上場の概要
テクニカル上場は、上場企業が非上場企業との合併や株式交換、株式移転を通じて非上場企業の完全子会社となった際、その非上場企業が発行する株券に関して、上場廃止基準の流動性基準を満たすかどうかを確認し迅速な上場を認める制度です。
テクニカル上場の目的
テクニカル上場の主な目的は、企業再編を円滑に進めるための柔軟性を提供することです。
この制度により、上場企業と非上場企業が合併や株式交換、株式移転を行っても、非上場企業がすぐに上場できることが期待されます。
テクニカル上場のプロセス
上場企業が非上場企業と合併、株式交換、または株式移転を行い、非上場企業が上場企業の完全子会社となります。
非上場企業が発行する株券の流動性基準が上場廃止基準に適合するか確認され、流動性基準に適合した場合、非上場企業の株券の迅速な上場が認められます。
審査基準
テクニカル上場の審査基準は、通常の新規上場審査とは異なります。主に、企業再編に伴う上場廃止を避けるために設けられた簡略化された手続きが特徴です。
審査項目
・株式の流動性の確認:上場廃止となる企業の株式が広く流通していることを確認します。
・事業の継続性:上場企業の事業が存続会社または親会社に引き継がれることを確認します。
・適時開示および相談:証券取引所への適時開示や事前相談が必要です。
手続きの流れ
・上場申請日前:証券取引所への適時開示および相談を行います。
・上場申請日~上場承認日:審査書類の提出を行います。
・上場日:上場承認後、速やかに上場が実現します。
事例
・横浜銀行:東日本銀行との共同持株会社設立に伴い、上場廃止後に新設の共同持株会社として上場しました。
・メガネスーパー:純粋持株会社を設立し、上場廃止後に新会社がテクニカル上場を果たしました。
テクニカル上場の注意点
テクニカル上場は、企業再編を助ける制度であるものの、投資家にとっては注意が必要です。
非上場企業の財務状況や業績が上場企業と異なる場合があり、投資判断に影響を与える可能性があります。また、テクニカル上場によって株価に影響が出ることもあるため、投資家は事前にリスクを把握し、十分な情報収集を行うことが重要です。