ドレッシング買い
ドレッシング買いは、主に機関投資家やファンドの運用機関が行う投資行動の一つです。以下にその主な特徴をまとめます。
定義
- 決算期末や月末に、保有する株式の評価額を上げるために行う買い注文のことです。
- 「お化粧買い」とも呼ばれます。
目的
- ファンドの運用成績を良く見せるため。
- 保有資産の評価額を上げるため。
実施時期
- 主に月末の最終営業日、またはその2〜3日前。
- 特に3月末、9月末、12月末など、決算が集中する時期に多く見られます。
対象銘柄
- 浮動株が少ない銘柄。
- ファンド構成銘柄のうち、ウエートの高いもの。
影響
- 短期的に特定銘柄の株価を上昇させる可能性があります。
- ファンダメンタルズに基づかないため、長続きしない傾向があります。
近年の傾向
- 投資家への説明責任などを考慮し、極端なドレッシング買いは減少傾向にあります。
投資家の対応
- 一部の個人投資家は、この動きを先回りして利益を得ようとすることがあります。
- ただし、ドレッシング買いによる株価上昇と通常の上昇を見分けるのは難しいとされています。
具体的なドレッシング買いの例
決算期末のドレッシング買い
- 背景: あるファンドが3月末に決算を迎えるとします。このファンドは、投資家に対して良好な運用成績を示す必要があります。
- 行動: 3月末の最終営業日やその数日前に、ファンドが保有する主要な株式に大量の買い注文を出します。これにより、株価が一時的に上昇し、ファンドの評価額が上がります。
- 結果: 決算時点でのファンドの評価額が高く見えるため、投資家に対して良好な運用成績を報告できます。
月末のドレッシング買い
- 背景: ある機関投資家が運用するファンドが月末に運用成績を報告する必要があります。
- 行動: 月末の最終営業日やその数日前に、特定の浮動株が少ない銘柄やファンドのウエートが高い銘柄に対して買い注文を集中させます。
- 結果: 月末時点での株価が上昇し、ファンドの月次運用成績が良く見えます。
実例
日本経済新聞の記事では、特に3月末、9月末、12月末にドレッシング買いが多く見られると報告されています。これらの時期は多くの企業やファンドが決算を迎えるため、評価額を上げるための買い注文が集中する傾向があります。
カブドットコム証券の河合達憲氏によると、ドレッシング買いは特に浮動株が少ない銘柄に対して行われることが多いとされています。これにより、少ない買い注文でも株価を大きく動かすことができます。
注意点
- 短期的な影響: ドレッシング買いによる株価上昇は短期的なものであり、ファンダメンタルズに基づかないため、長続きしないことが多いです。
- 投資家への影響: 一部の個人投資家は、ドレッシング買いを予測して先回りして買い注文を入れることがありますが、これがファンダメンタルズに基づくものかどうかを見極めるのは難しいとされています。
ドレッシング買いは、ファンドの運用成績を一時的に良く見せるための戦略ですが、持続的な価値向上にはつながらないことが多いため、投資家はこのような動きを慎重に見極める必要があります。