ペイオフは、金融機関が破綻した場合の預金者保護制度の一つです。以下にペイオフの主要な特徴と仕組みをまとめます。
ペイオフの概要
- 定義:
ペイオフとは、預金保険制度に加盟している金融機関が破綻した際に、預金保険機構が預金者に対して直接保険金を支払う方式を指します。 - 保護の範囲:
- 決済用預金(利息がつかない普通預金や当座預金など)は全額保護されます。
- 一般預金(定期預金や利息のつく普通預金など)は、1金融機関につき預金者1人あたり、元本1,000万円までとその利息が保護されます。
- 預金保険制度:
ペイオフは預金保険制度の一部です。この制度では、金融機関が預金保険機構に保険料を支払い、破綻時の預金者保護に備えています。 - 歴史的背景:
日本では1971年に制度が創設されましたが、長年凍結されていました。2005年に完全解禁となり、2010年の日本振興銀行の破綻で初めて実際に発動されました。 - 保護対象外の預金:
外貨預金や譲渡性預金(CD)などは、預金保険の対象外となります。 - 預金者の対応:
預金者は、自身の預金が保護の対象となるかどうか、また保護される金額を把握しておく必要があります。1,000万円を超える預金がある場合は、複数の金融機関に分散させるなどの対策が考えられます。 - 金融機関の破綻処理:
ペイオフ以外にも、資金援助方式(他の金融機関による救済合併など)も破綻処理の選択肢として存在します。 - 影響:
ペイオフの導入により、預金者は金融機関の経営状態にも注意を払う必要が生じ、金融機関間の競争促進や経営の健全化にもつながると考えられています。
ペイオフの対象外になる預金の種類
ペイオフの対象外となる預金の種類には、主に以下のものがあります:
- 外貨預金
外国通貨で預け入れる預金は、ペイオフの保護対象外となります。 - 譲渡性預金(CD)
譲渡可能な定期預金証書で、ペイオフの対象外です。 - 元本補てんのない金銭信託
「ヒット」などの商品名で知られる、元本保証のない金銭信託商品は対象外です。 - 金融債(保護預り専用商品以外のもの)
一部の金融債は対象外となります。 - 投資信託
投資信託は預金ではないため、ペイオフの対象外です。ただし、金融機関の資産とは分別管理されています。 - 保険商品
生命保険や損害保険などの保険商品は、預金保険制度の対象外です。 - 国債
国債は預金ではないため対象外ですが、元金および利息の支払いは国が保証しています。
ペイオフ制度は、金融システムの安定性を維持しつつ、モラルハザードを防ぐ役割を果たしています。預金者は自身の預金状況を把握し、必要に応じて適切な対策を講じることが重要です。