coco債

CoCo債(Contingent Convertible Bonds)は、主に金融機関が発行する転換社債の一種で、日本では「偶発転換社債」とも呼ばれます。

CoCo債は、発行体の自己資本比率があらかじめ定められた水準を下回った場合など、特定の条件が満たされた際に元本の一部または全部が削減されたり、強制的に株式に転換されたりする特徴を持っています。

CoCo債の概要

CoCo債の背景と重要性

この債券は、金融機関の自己資本規制が厳格化された背景で、資本強化手段の一つとして発行されています。

特に、リーマンショック後の金融危機を受けて、金融機関が自己資本を強化するために利用されることが多くなりました。通常の債券と比較してリスクが高いため、その分高い利回りが設定されることが一般的です。

バーゼル規制との関連

CoCo債の発行は、バーゼル規制(特にバーゼルⅢ)に関連しています。バーゼルⅢでは、金融機関の大きな損失を秩序ある形で処理するため、投資家が先行して損失を吸収する仕組みが導入されました。

これにより、金融機関が破綻するリスクを軽減し、金融システミック・リスクを抑制することが目的とされています。

CoCo債の役割

このように、CoCo債は金融機関の自己資本比率を維持し、金融システムの安定化を図るための重要な金融商品となっています。

CoCo債はどのような場合に発行されますか?

CoCo債(Contingent Convertible Bonds)は、主に以下のような場合に金融機関によって発行されます:

自己資本比率の強化

金融機関が自己資本比率を向上させる必要がある場合、CoCo債を発行することで資本バッファーを増強します。これは特に、バーゼルIIIなどの金融規制に対応するために重要です。

金融危機への備え

金融システムの安定性を高めるため、金融機関が将来的な危機に備えて発行します。CoCo債は、金融機関が経営危機に陥った際に自動的に損失を吸収する仕組みを持っています。

資金調達の多様化

通常の債券や株式発行以外の資金調達手段として、CoCo債を活用します。これにより、資金調達の選択肢を増やし、柔軟な財務戦略を可能にします。

コスト効率の良い資本調達

CoCo債は、普通株式の発行と比較して、既存株主の持分を希薄化させることなく資本を調達できる手段として利用されます。

規制対応

金融規制当局の要求に応じて、金融機関が自己資本の質と量を改善する必要がある場合に発行されることがあります。

市場環境の活用

金利環境や投資家の需要が好ましい時期に、有利な条件でCoCo債を発行することで、金融機関は資本構成を最適化します。

CoCo債の発行は、金融機関にとって資本強化と規制対応の重要な手段となっており、金融システムの安定性向上に寄与しています。