適正乖離率チャートとは?
適正乖離率チャートは、BLSシステムの初期状態ですと右側2段目に表示されるチャートです。
チャート中央の乖離率0%の位置は、相関のあるペアならば本来戻るべきサヤの位置を過去の統計から算出したものです。
乖離率0%の位置が2銘柄のサヤが縮みきっている状態で、0%から離れれば離れるほどサヤが開いている状態となります。
適正乖離率とサヤチャートの違い
チャートの見方ですが、赤が陽線(上昇)で青が陰線(下降)を表しています。
長期間で表示するとグラフが小さくなりますが、過去の反発位置と現在の位置わかれば問題ありません。
サヤチャートと似たような動きをしますが、サヤチャートは銘柄Aを銘柄Bで割った数値を折れ線グラフにしてサヤの勢いを見やすくするものであり、適正乖離率のようにサヤが戻るべき基準の抵抗帯を算出することはできません。
適正乖離率チャートはエントリー用、サヤチャートは利益確定までの期間や次に入れそうな時期の目安の算出に利用します。
適正乖離率ですが、分析期間を長く取るか短くとるかで統計に使うデータ量が変わります。
そのため期間によって基準の位置はもちろん変わりますし、チャートは基準値からの距離を算出したものですので基準値が変わればチャートの形も微妙に変わります。
特に最高値や最低値が微妙に変わる時は判断に困りますが、基本的には散布図の形がきれいにでている期間を採用すれば問題ありません。
適正乖離率チャートの使い方
適正乖離率チャートの使い方ですが、3つあります。
まず1つは現在のサヤ(2銘柄の価格差)がどれくらい離れていて、どれくらいの利益を狙うべきなのかの判断材料にする。
もう1つは過去最高値・最低値付近での反発を確認してエントリーを決めるために使います。
そして最後は損切りの目安に使うことです。
①狙うべき利益の判断材料にする
適正乖離率チャートの基準値は0%です。これより離れればサヤが拡大していることはお話しました。
しかしまず前提として、この基準値からの距離はあくまで散布図などで「相関がある銘柄ペア」の時に正確な数値がだせるのであり、「相関がないペア」の時は正確な数値が出ません。
まず普通に相関のあるペアを見てみますと・・
相関のあるペア
こちらのペアの適正乖離率チャートは、基準値からの距離がだいたい上も下も40%程度に収まっています。散布図を見てみますと左下から右上へ直線状に青い丸が散布しており相関があるペアと言えるでしょう。
サヤ取りペアで採用する銘柄の場合、この適正乖離率チャートの最高値・最低値が最大20~60%程度に収まっているのペアが相関が強いものであり理想です。
そして60%の距離でエントリーできれば長く持って大きく戻りを狙うべきであり、20%の距離でエントリーする場合は小さめの利益確定を狙うのが王道です。
相関のないペアの場合
こちらは相関の弱いサヤ取りペアの適正乖離率チャートです。基準値からの距離がすでに-1000%と表示されておかしなことになっています。
そこで散布図を見てますと、2銘柄が相関関係にある形をしておりません。
相関していないペアの基準値は正しく計算できないため、基準値を元に算出する適正乖離率はこのように異常値を出してしまいます。つまりサヤ取りに採用してはいけない銘柄となります。
基本的に適正乖離率チャートの上下最大幅は20%~60%までと覚えておきましょう。
②過去最高値・最低値付近での反発を確認してエントリー
適正乖離率チャートは2銘柄のサヤ(2銘柄の価格差)の始値と終値(引け値)を使って表示されます。
そして赤が陽線(上昇)で青が陰線(下降)を表していますが、サヤの動きは通常のローソク足と同じ様に最高値・最低値は抵抗帯として意識され、抵抗帯付近で出現する陽線または陰線は反発の合図になります。
これは非常に重要な考えで、トレードレベルによって判断の差が出るところではありますが、しっかりと練習することで損切りになるエントリーをかなり防いでくれますので、いくつか例を上げてご説明していきますね。
反発を無視してエントリーすると・・
まずこちらは直近で一番サヤが拡大した位置へ大きな陽線でタッチしています。しかし最高値付近で陰線の出現を待たずに見切り発車しますと・・・
最高値付近での正しい反発①
こちらは過去最高値にタッチで大きな陰線が出現しました。エントリーチャンスです。
散布図を見るととてもきれいな形をしているペアでした。
最高値付近での反発②
こちらは窓あけを伴って最高値を突破しましたが大きな陰線で反落しています。前日に「窓開け」しているので少し心配ですがエントリーチャンスです。
散布図を見るときれいな相関を示しています。
こちらのチャートは窓開けを伴って直近の最高値を更新しましたが、大きな陰線で反落してきました。
窓開けは基本的に勢いがあることを示しますのでエントリーに迷うところですが、このエントリーが可能な理由は大きく2つあり、1つ目はこの窓開けは4連休を挟んだものですので、どちらかというと窓が開いて当然というものです。
そして2つ目ですが、散布図を見てみますと非常にきれいな相関があるペアですので、ある程度のリスクをとってもエントリーが可能というものです。
最高値付近での反発が弱いパターン
こちらは最高値付近で青い陰線がでましたが、前日の陽線の始値を下回っていません。ローソク足で言うとはらみ線状態になっており、反発が弱いと判断できます。
※株探やヤフーファイナンスへBLSメイン画面から飛ぶ方法はこちら
窓開けからの反発
こちらは窓を開けて最低値を超えましたが大きな陽線で直近の最低値よりも終値が上に戻ってきました。一見エントリーしても良さそうではありますが・・
このチャートですが、慣れていない方でしたら最低値を更新したという理由だけで手を出す必要もないのですが、この様に大きな陽線が出て反発が起きた場合は散布図などがきれいな形でしたらエントリーを一考する方も多い形です。
しかしここで注目するべきはエントリー時の陽線と前日の陰線との間に作った大きな窓です。実はこの窓は週末や祝日を挟んで開いたものではなく、月曜日と火曜日の連続した営業日で開いたものです。
ですので、下落圧力がまだまだ強いことが予想されますので、この場合はエントリーを見送るのが正しい選択です。
③損切りは適正乖離率の最高値が突破されたら
株ラボでは初心者の方にはエントリーは2回に分けて、利確5%損切り5%などのルールをおすすめしていますが、ある程度慣れた方には適正乖離率を使った損切り方法をおすすめします。
適正乖離率を使ってのエントリーは「直近の抵抗帯で反発をしてから」と、ここまででご説明しましたが、損切りはエントリーした後に、ずるずると抵抗帯を突破したらおこないます。
上記は一旦抵抗帯で赤い陽線がでて抵抗帯よりも内側で引けたのでエントリーしたが、その後ずるずると下がったので損切り。
目安にするのは終値(引け値)が直近の抵抗帯を明確に超えたかどうかです。
レンジの傾向が強い動きでしたら多少突破されても少し深めに損切りを考えても良いですが、勢いよく突破したものに関しては問答無用で浅く損切りです。
適正乖離率チャートを使って安全なエントリーを見つける まとめ