株の両建てとは?
株の両建てとは、信用取引の一種で、一つの銘柄を「売り」と「買い」で持つことです。
基本は売りと買い同じ量の価格になるように持ち、それによって株価が上がっても下がっても損益は±0の状態を保つことができます。
とはいえ手数料が売りと買いのポジション2つ分にかかるのに、損益が減りも増えもしないのは意味がないのでは?と言われることもしばしば。
そこでこの記事では、実は最強の投資法である両建てのメリット・デメリットを詳しく解説していきます。
株の両建てが意味がないと言われる理由
まずは株の両建てでよく言われるデメリットからご紹介していきましょう。
手数料が2倍、資金効率は半分
両建てはもちろん売りと買いでポジションをたてるため、手数料が2倍かかります。
しかし最近はネット証券など手数料が安い業者が増えてきましたので、取引コストに関しては以前よりも許容範囲内になってきました。
問題は手数料よりも「資金効率が落ちる」という部分です。
両建ては基本的に同数の株を持ちますが、もちろん資金は両方のポジション分が必要です。
そのため、本格的に両建てで利益を積み上げていくためには、ある程度のまとまった資金が必要となります。
保証金の変更によりロスカットなどにならないように気を配ることも大切です。
売り禁に注意
株で両建てをする際に一つ気をつけるのが売り禁です。
これは信用取引で空売りができる銘柄(貸借銘柄)の新規の空売りを禁止する措置のことです。証券金融会社が空売り用の貸株を調達しきれないくらいに信用売りの注文が殺到した時におこなわれます。
そして両建てですが、この売り禁発動中はポジションを建てることができません。特に上がりすぎている株は売り禁になっている場合が多いですね。
株のサヤ取り戦略などで、買いポジションを持った後に売りポジションを作ろうとしたら売り禁になっていて、結局買いポジションを決済して手数料損となる場合があります。
株の両建てのメリット
それでは次に、一般的に両建てが有効とされるシチュエーションをご紹介していきます。
予測できない動きを避ける事ができる
一般的な両建てがよく行われるシチュエーションとしては、上記のように企業の決算がこの後控えていたりした時に、最悪の場合を想定してポジションを建てるということがあります。
企業決算の内容はある程度予測できますが、その結果を受けて株価が上に行くか下に行くかは誰にも予想できません。
そんな決算をまたぐ時に、持っているポジションと同量の株を両建てし、決算発表後にポジションを解消すれば、値動きによる突発的な損失を回避することが出来ます。
優待クロスでの活用
現物株を持ったまま企業の決算月の権利付き最終日を迎えますと、その2~3ヶ月後には株主優待特典がお家に届きます。
しかしこの現物株を持っているだけですと、せっかく優待が届いても株価が下落したら損益はマイナスになってしまうリスクがあります。
もちろん何年も持ち続ける前提でしたら多少の下落には目をつぶれますが、単に優待がほしいという理由だけで短期で現物株を購入するのはリスクが高すぎます。
そこで一部のトレーダーさんの間で人気になっているのが、現物株の「買い」と信用取引の「売り」で両建てしたまま、権利付き最終日を持ち越す「優待クロス」という技です。
この両建て手法を使いますと、ほぼノーリスクで優待だけを手に入れることができます。
詳しくは下記の記事で解説していますのでぜひ参考にして下さい。
含み損の拡大防止
2020年2月のコロナ暴落のときの両建てタイミング
上記の画像は、9201日本航空のコロナ暴落時のチャートです。
市場の全体の流れとして、コロナ発生によりホテル・航空産業はこの先絶対に下がるという確信を皆さん持っていましたし、実際に航空産業株は大きく下がり続けました。
そういう時は潔く損切りをするのが通常トレードですが、実は日本航空の株主優待は3年以上の長期保有の場合に特典があるのですが、暴落で手放すと株主番号が変更されて長期保有がリセットされてしまいます。
せっかく手に入れた長期保有資格がリセットされてしまうのはもったいない・・・
そんな時に役に立つのが両建てです。市場が売り一色でさらに長期化が懸念されている、しかし買いポジションを決済したくない。
そういった時に、リスクコントロールとして両建てで保有するのはもちろん有効です。
税金の対策
株取引で、「一般口座」や「特定口座(源泉徴収なし)」を選択して取引をしている人で、年間の利益が20万円以上ある場合は毎年確定申告が必要になりますが、これがなかなかに面倒くさいです。
もしあなたが給与所得者で、年末の時点ですでに15万円の年間利益がでており、さらに現在持っているポジションの含み益が5万円あった場合、ここで利益確定してしまうと翌年3月に確定申告をしなければいけません。
それならばポジションを利益確定せずに年を越せば良いのですが、株の問題として過去数年の値動きを見ると年末年始は大きな暴落が非常に起こりやすい時期になり、5万円の利益が年明けに一発で飛ぶ可能性があります。
そんな時には年末に両建てをして、ひとまず含み益を固定すればリスク無しで税金を1年先送りすることができます。
両建てを使った最強の投資法
両建てのメリット・デメリットを理解してもらったところで、ここからは両建てを使った最強の投資法、「サヤ取り」を紹介していきます。
最強の投資法 「株のサヤ取り」
これまでは利益の先送りなどをメインに語られてきた両建てですが、じつは両建てが本当に力を発揮するのは、「株のサヤ取り」を行う場合です。
サヤ取りとは、例えば「1321日経225連動型投信」と「1546ダウンジョーンズ連動型投信」のような、普段から相関が高い(似たような値幅を保って動いている)銘柄を一方は売り、もう一方で買いのポジションを持つことです。
通常、株価は市場のニュースなどに揺られて動きますが、同じ様に動く銘柄を両建てすると市場のニュースにも同じ様に反応するので、突発的な値動きを無効化することが出来ます。
そして両建てした2銘柄の価格差(サヤ)だけに注目することで、市場のノイズを取り払うことができるのが両建てのサヤ取りです。
株のサヤ取りの具体例
こちらは株サヤ取りBLSシステムの分析画面
上記のチャートは、「1321日経225連動型投信」と「1546ダウンジョーンズ連動型投信」の価格の差(サヤ)をチャートにしたものです。
アメリカと日本の経済は密接に関係しているため、片方の価格が上がればもう片方も連れ立って上がる一蓮托生の動きをします。
しかし100%同期して動くわけではなく、2国間の政策の違いでサヤは多少上下に振れます。
サヤ取りはそんな上下に振れたところを狙って利益を積み重ねる手法ですが、サヤ取りが最強と言われる所以は、勝率が異常に高くなるところにあります。
その理由ですが、上記の日経とダウの連動投信の場合、片方の国の経済が過熱しすぎれば中央銀行が必ずインフレやバブル回避のために金利を上げるなどして調整を行いますし、経済が冷えれば政府の金融緩和で経済にお金を回すことを行って調整します。
また、両国は密接につながっておりまして、片方が伸びればもう片方も伸び、片方が落ちればもう片方も落ちます。
つまり価格差が開き続けたりすることが無い=いずれ価格は是正される、ということです。
実際、ダウと日経の投資信託サヤ取りは、ここ10年間では100%価格が元に戻っているため、必勝の投資法と言えるでしょう。
最強の投資法である株のサヤ取りについて詳しくは下記の記事で説明してありますのでぜひ御覧ください。
株サヤ取りの評判
両建て手法の中でおすすめできる株のサヤ取りは、一見地味な手法でありながら、プロの現場でも取り入れられている手法ですが、初心者の方にとってはわかりにくく、また相関のある銘柄を見つけるのが難しいということもあり、一般には広く伝わっていません。
また、派手さがなく、取引履歴を公表しても食いつきが悪いので、実践に即した解説書もブログもほとんどないことも原因です。
しかし現在、株やFXの世界で勝っている有名な方の中で、サヤ取りという名前は使っていなくとも、相関を分析せずにトレードしていない人はほぼいないかと思います。
この株のサヤ取り手法は投資初心者こそ早めに手を出して習得するべき技術です。
ドル円 vs. VIX先物…この相関は無視できないのでは?! by 管理人 @PanRolling_TV @PanRollingInfo @Barchart @ishiharajun pic.twitter.com/ZBQpa8zm2i
— トレーダーズ・アルマナック_なりた・ひろゆき (@LWjapan) April 30, 2020
テクニカルで有名なラリー・ウィリアムズは様々な相関を目安にトレードしています
金とドル円について。
ゴールド、つまり金のチャートが下落したことでリスクオン相場になっていると認識し、ドル円を買う。金のチャートが上昇したことでリスクオフ相場になっていると認識し、ドル円を売る。これ、テッパンです。
金と日本円は相関。金と米ドルは逆相関。
ぜひRTを。#FX#ドル円 pic.twitter.com/JnkQvsrh5U
— 大手企業為替担当DakarのFX雑記! (@111coffeeBreak) January 16, 2019
金と円の相関は昔から有名で、相関が崩れた時は上級者は警戒モードに入ります
https://twitter.com/toushi_like/status/781681270669635584
さな株さんも相関はチェックされているみたいですね。初心者さんがフォローするべきアカウントです。
このようにTwitterの大御所の皆さんは相関は意識されています。ただし、「相関」だけで勝てるほど相場の世界は甘くないです。
しかしトレードの経験が少ないトレーダーさんでも、この「相関」に「統計」のビックデータを組み合わせて、より簡単に、より実践的に使えるようにした最新の株サヤ取り手法は下記の記事で詳しくご紹介しています。
みなさんの今後の投資人生が変わるものですのでぜひご覧になって下さいね。
株の両建ては意味がない?【実は最強の投資法】