株の空売り(からうり)とは?
株は安い時に買って、値上がりした時に売るとその分の差分が利益になります。しかし株価が下がった時は指をくわえて見ているしか無いのでしょうか?
いえいえ、そんなときのために「空売り」という取引方法が株には用意されています。
この空売りは株価が上がったときには損をしてしまいますが、逆に株価が下がったときには利益がでるという特別な取引方法です。
株取引は通常、持っている資金の範囲内で株券を購入します。これを「現物」と言います。
現物を持っていれば好きなタイミングで売ることができ、これを「現物売り」と言いますが、さきほどの「空売り」は、「現物を持っていないのに株券を売る」という取引です。
「ん?株を持っていないのに売るってどういうこと?現物を買っておかなければ売れないじゃないですか?」
そうですよね、株を始めたばかりの方はまずここが理解に苦しむところですよね。
空売りの仕組み
空売りは、持っていないはずの株を売る取引方法です。
ネット注文などで空売りを行う際には注文ボタン一つで完結しますので気づきませんが、裏ではお客さんが口座を開いた証券会社に株を借りて、それを取引で売るということを瞬時にしています。
そのために証券会社はお客さんがいつでも空売りできるように会社の倉庫に株を購入して在庫を持ってくれています。
ただし、証券会社だって商売ですから、株を貸すからには手数料も頂きたいし、信用できるお客さんにしか株を貸したくありません。
ですので、空売りをするためには「信用取引」の審査がいります。ある程度の資産と、株取引の経験がない人にしか株は貸したくないんですね。
信用取引に関しては下記の記事で詳しく書いてありますのでぜひ参考にして下さい。
空売りの始めるためには信用取引口座を開設
空売りですが、上記の記事でも説明していますが証券会社に信用取引口座という専用の口座を作る必要があります。
通常の株取引用の口座を持っている人も信用口座は別で作らなければいけません。
申込みは証券会社に通常の口座を開いた後に、その証券会社のHPから申し込むことができ、信用取引のリスクの理解度の設問を確認、利用規約やルールの確認、連絡先などの指定を行い必要な情報を証券会社に提出します。
その後、証券会社で審査があります。ここで人によっては電話がかかってくることもあるそうですが、実際にかかってきた経験があるかたは少数のようです。
そしてだいたい3~5日程度まてば晴れて信用取引口座が開設されます。
信用取引口座と通常の口座は別々に管理される
信用取引口座を開いて初心者がまずつまづくのは、口座は通常の取引口座とは完全に別だということです。
上記の画像はSMBC日興証券のものですが、空売りの注文を入れる時も最初から選択する場所が異なります。
左の赤枠は普通の現物の「売り注文」で、これは空売りになりません。右の赤枠の「新規売付」を選ぶことで空売りができますので注意が必要です。
また、残高照会に関しても普通の口座と信用取引口座は別々に照会する必要があり、さらにややこしいのは、証券会社に預けてあるお金を、通用の口座と信用取引の口座全てまとめて残高を表示することはできませんので、ここはちょっと面倒くさいところですね。
空売りの手数料
種類 | 内容 |
取引手数料 | 取引時にかかる手数料(新規・返済の往復かかります) |
買方金利 | 0.9%~4%程度(買いにかかる金利) |
貸株料 | 1.1%~2.25%程度(実質売りにかかる金利) |
品貸料(逆日歩) | 信用売にかかるが、信用買では受け取れる |
その他 | 管理費や名義書換料 |
空売りができる信用取引には上記のように手数料がかかってきます。
最近のネット証券の場合は空売り時に手数料は取られないことが多いですが、空売りした株は証券会社に借りている株なので、貸株料が日計りでかかってきます。(金利なども証券会社によってだいぶ変わりますが、空売りのコストが安くてオススメなのはSBIネオトレード証券です)
それぞれ個別の手数料については下記の記事を参考にして下さいね。
空売りの注意事項
空売りができる信用取引口座は、現物取引と違ってレバレッジというものをかけられます。
これは、証券会社に預けてある委託保証金の約3.3倍までの取引をしてもOKですよというものです。
例えば100万円あれば、約330万円分の株取引が可能ということです。
しかしこのレバレッジをもし3.3倍かけた場合は、利益は3.3倍になりますが、損失も3.3倍になりますので初心者がいきなり手を出すのは少々注意が必要です。
空売りの損失は青天井
株の勉強した少しした方でしたら、空売りは怖いものというイメージがあるかもしれません。
それは、買いで入った時は株価はどれだけ下がっても0円以下にはなりませんが、空売りで入った場合は株価が急騰したら天井は無限ですから損失も数字上は無限です。
また、信用取引口座を開設の時に、証券会社から色々とリスクについての説明も細かく受けますから、それも相まって初心者にとって怖いイメージがあるのでしょう。
しかし現実には空売りで大きな損失を被る時点で自分の中で損切りのルールが定まっていないだけの話なので、実際に危険なものというのは少し大げさな話ではあります。
それに、空売りを利用することで、現在あらゆる投資手法の中で最高の守備力をもつ株のサヤ取り手法を使うこともできるようになるんです。
空売り規制とは?
空売りは大手のヘッジファンドらが、意図的に株価を下げるために利用していた過去があります(現在もゼロではありません)
そこで株式市場では急激に下がった株に対して、51単元以上の新規空売りは禁止という法律が整えられました。これが空売り規制です。
ちなみに51単元というのは、100株単位で取引される株の場合ですと5100株、1000株単位ですと51000株とかなり大きな数字です。個人投資家にはあまり関係はなく、大手の株価操作対策ですね。
ただ、規制が入ったら空売りができないから値段が上がるかと言いますと一概には言えず、将来の買い戻し期待(空売りの決済)が無くなることから意外と下がったりもして判断がむずかしいところです。
そしてもう一つ「空売り規制」と似たものに、「新規空売り禁止措置(売り禁)」というものがあります。
こちらはどういうものかといいますと、空売りは個人が証券会社から株を借りて空売りしますが、証券会社が個人に貸し出す株の在庫が枯渇した状態の時に売り禁が入ります。
こちらも空売りが一時的に禁止されるので株価が上がりそうなものですが、最近の相場ですと一概に言えませんので飛び乗ったりするのは避けたほうが無難ですよ。
空売りの期限とは?
信用取引には返済期限があり、制度信用取引と一般信用取引かによって期限が変わります。
制度信用取引・・・ポジションを持ってから6ヶ月後までに決済
一般信用取引・・・原則無期限。ただし、上場廃止がおこったり、貸借銘柄の選定取り消しがあった場合などには返済期日が設定されます。
空売りは長期で持つと貸株料も毎日かかりますので、そこまで長く持たれる方はなかなかいらっしゃらないとは思いますが、株の注文時に期限についての表記がある証券会社も多いので知識としては知っておいたほうが良いですね。
空売りを使った最強の守備力を誇る投資法は「サヤ取り」
さてこちらは、今回の記事でお話した空売りを利用した特殊な株取引手法です。
おそらく現在世の中に現存する手法の中で、暴落しても資金が減らない最高の守備力を誇る手法で、名前を「株サヤ取り手法」と言います。
やり方ですが、例えば8015豊田通商と8058三菱通商のような、普段から似たような値幅を保って動いている銘柄(相関がある)が、突発的なニュースなどで一時的に動きが膨らんだ時を狙って、値段が高いものを空売り、値段が安いものを買いでエントリーする手法です。
詳しくは下記の記事で説明してありますのでぜひ御覧ください。
暴落を無効化できる唯一の投資法は両建てサヤ取り
空売りを利用した株のサヤ取りは一見地味な手法でありながら、プロの現場でも取り入れられている手法です。
しかし初心者の方にとってはわかりにくく、相関があるペアを見つけるのが難しいということもあり、実は一般には広く伝わっていません。
しかし現在、株やFXの世界で勝っている有名な方の中で、サヤ取りという名前は使っていなくとも、相関を分析せずにトレードしていない人はほぼいないかと思います。
この株のサヤ取り手法は投資初心者こそ早めに手を出して習得するべき技術です。
ドル円 vs. VIX先物…この相関は無視できないのでは?! by 管理人 @PanRolling_TV @PanRollingInfo @Barchart @ishiharajun pic.twitter.com/ZBQpa8zm2i
— トレーダーズ・アルマナック_なりた・ひろゆき (@LWjapan) April 30, 2020
テクニカルで有名なラリー・ウィリアムズは様々な相関を目安にトレードしています
金とドル円について。
ゴールド、つまり金のチャートが下落したことでリスクオン相場になっていると認識し、ドル円を買う。金のチャートが上昇したことでリスクオフ相場になっていると認識し、ドル円を売る。これ、テッパンです。
金と日本円は相関。金と米ドルは逆相関。
ぜひRTを。#FX#ドル円 pic.twitter.com/JnkQvsrh5U
— 大手企業為替担当DakarのFX雑記! (@111coffeeBreak) January 16, 2019
金と円の相関は昔から有名で、相関が崩れた時に上級者は警戒モードに入ります
https://twitter.com/toushi_like/status/781681270669635584
さな株さんも相関はチェックされているみたいですね。初心者さんがフォローするべきアカウントです。
このようにTwitterの大御所も皆さん相関は意識されています。ただし、「相関」だけで勝てるほど相場の世界は甘くないです。
株ラボでは、この「相関」に「統計」のビックデータを組み合わせて、サヤ取りをより簡単に、より実践的に使えるようにしたバフェットロングショートシステムという最新の株サヤ取り手法を下記の記事で公開しています。
みなさんの今後の投資人生が変わるものですのでぜひご覧になって下さいね。
【はじめてのサヤ取り】空売りをわかりやすく解説します まとめ