ETFでサヤ取りを狙うメリット
ETFは、日経平均株価やTOPIX、NYダウなどの特定の指数に連動する事をめざした投資信託のことです。“Exchange Traded Funds”の頭文字をとってETFと呼ばれています。
ETFは簡単に言うと債権や株式、不動産などを袋詰にしたような商品です。そしてその袋詰の種類として日経225に連動して動くものや、エネルギー関連に連動するものなど細かく分かれています。
連動を目指すということは、その指数が参照している銘柄を複数組み合わせて、なるべく同じ様な動きをするように調整するということですね。言い換えると平均的な動きを狙う事とということです。
通常、個別株の場合は色々な銘柄を分散させて購入しますが、ETFは最初から複数の銘柄を購入することと同義で、個別株よりも突発的な動きが少なく予測が立てやすいということがあります。
日経225と米国S&P500のETFの組み合わせ
野村の日経225インデックスファンド
こちらは日興のETF(1547)
今回ご紹介するETFのサヤ取り銘柄ですが、野村の日経平均インデックスファンド(1321)と日興アセットマネジメントのインデックスファンド米国株式(1547)の組み合わせです。
野村日経平均の時価総額は8兆円超え、対して日興アセットマネジメントの米国株式は350億円程度とかなり差がありまして、これがもし個別株だった場合は、市場の参加者の質が異なり、同じニュースでも反応が変わりますのでサヤ取りには適しませんが、ETFの場合は市場の動きと徹底して連動しますので、時価総額に差があっても気にしなくても大丈夫です。
サヤ取りに適しているかの相関を見ていきます
それではサヤ取りペアに相応しいかの分析をしていきます。まずは基本の散布図ですが、上記は10年期間をとっています。
もともと日経225と米国S&Pには相関があると言われていますが、散布図で見てもきれいな相関を持っていますね。
10年という長期でここまで綺麗な散布は個別株ペアでは同じグループ企業などの特殊な要因がなければ見られないものです。
サヤが離れれば戻り、戻れば離れるを繰り返してこの10年は無敗のペアということになります。
ヒストグラムで正規分布の形をチェック
5年のヒストグラム
10年のヒストグラム
続いてヒストグラムでデータがきちんと正規分布しているかを見てみます。
ボリンジャーバンドや回帰分析など、いきすぎた価格がいずれ戻るというのは、あくまで正規分布しているデータが前提です。
ですのでこのヒストグラムできちんと2銘柄のサヤの動きが正規分布しているかどうかの確認はとても重要です。
5年と10年のサヤの分布を見てみると、中央が高く、左右の端が低くなっており、きちんと正規分布している形と言えますね。この形でしたら価格はいずれ戻るということが言えるでしょう。
過去10年で最大までサヤが開いたところは?
2012年10月に適正値よりも40%以上のサヤの乖離がありました
適正乖離グラフで見ると2021年10月に2012年の値まで近づいていることがわかります
相関がしっかりあることを確認したらあとはエントリータイミングです。2021年10月時点で過去最大(-40%)にサヤが開いたところに近くなっていますので、まさに今がエントリータイミングです。
また、グラフの上部を見ますと2013年あたりに+40%までサヤが開いた箇所がありますが、見事にそこで反落しているので、日経225とS&Pのサヤの最大目安は±40%程度ということが言えますね。
ETF銘柄のサヤ取りの注意事項
今回ご紹介している、野村の日経平均インデックスファンド(1321)と日興アセットマネジメントのインデックスファンド米国株式(1547)の組み合わせですが、とても安定してサヤが戻る鉄板ペアではありますが、運用の際には気をつけなければいけないことがあります。
サヤの値動きは鈍い
ETF銘柄ペアでサヤ取りを狙う場合の注意事項として、市場平均を狙ったペアですので、まず値動きが鈍いということの理解が必要です。
個別株でしたらニュースへの反応が異なるため、突発的に利確チャンスがでてきますが、相関の強いETF同士の場合は突発的な動きというのは少ないです。
適正乖離率チャートを見ても、10%動くのに1年かかっている時期もあります。ですので完全に長期向けのサヤ取り銘柄ということが言えます。
何回かに分けてポジションを持つこと
長期向けの銘柄ということで、エントリーに関しては2~3回に分けて入ることが鉄則です。
特に今回の場合は市場と連動する2銘柄で、言い換えれば日本全体とアメリカ全体に投資するようなものです。
そのため、金利の動向、政権の動向については留意しつつエントリーをしていかなければいけません。
特に金利が上昇基調の時は経済が冷え込むことの理解、日本の政権の交代は日本人が思っている以上に海外の反応がシビアということは知っておかなければいけません。
そのため、金利にトレンドが出たときや、政権交代直後のサヤは時に行き過ぎた動きをしますので、エントリーは複数にわけることが安全です。
サヤ取りおすすめ銘柄(ETF同士の組み合わせ)まとめ