サヤ取り実践

正規分布していない価格データでトレードしてはいけない

サヤ取りの正規分布解説
yuki
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この記事では、株のサヤ取りに使ってはいけない価格データのお話です
カオチャイ
カオチャイ
統計的手法での分析は、効くデータと効かないデータがありまして、特にボリンジャーバンドなどを使ってサヤ取りをしている人にはぜひ読んでいただきたい記事ですよ!
yuki
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最後にここで紹介する株価データ分析ツールの無料チケットなどもご紹介しているのでお付き合いくださいね
サヤ取りがよくわからないという方はまずこちらの記事から
株のサヤ取りとは?
正しい株のサヤ取りとは?聖杯手法と言われているサヤ取りなのになぜ勝てないのか?それには明確な理由がはっきりと存在します。これまでサヤ取りで勝てていなかった人向けに理由と、無料の統計ソフトを使った分析をご紹介します。 ...

 

こんなトレードしたことありませんか?

ボリンジャーバンド

上記はボリンジャーバンドを表示したドル円のチャートです。

ボリンジャーバンドの一番外側(チャートだと3シグマ)にタッチで、「さすがに価格が行き過ぎたから逆張りショートのエントリー」なんてことは誰でも一度は考えたことがある場所かと思います。

しかしこの「行き過ぎた」という考え方は、統計的に滅多にない位置だからこその発想ですが、実は取り扱っているデータが正規分布(ランダムに動いている)している時のみに有効であり、正規分布していないデータには通用しません。

ですので、たとえボリンジャーバンドの3シグマで価格が跳ね返ったとしてもそれは偶然であり、統計的には優位なものとは言えないのです。

カオチャイ
カオチャイ
統計的手法は正規分布に従うデータに最も効果的に働くことが一般的です。その理由は次から詳しく解説していきますのでお付き合いくださいね

 

正規分布しているデータとは?

正規分布wikipediaより「正規分布」

正規分布とは、統計学でよく使われる「釣鐘型(つりがねがた)」のグラフを描きます。

ベルのような形状から「ベルカーブ」とも呼ばれ、統計の世界では最も重要と言っていいほどの分布です。

データの多くが中心に集まっていて、両端に行くほどデータが少なくなる形状をしており、例えばクラスのテストの点数が正規分布に従っているとすると、平均点の周辺(中央付近)に多くの生徒がいて、高得点や低得点の生徒は両端に分布されて少なくなります。

そして正規分布しているデータというのは変なバイアスがかかっておらず、正規分布の範囲の中で完全にランダムに動いていることを表します。

 

正規分布を実例で見てみましょう

さて、一旦難しい話は置きまして、正規分布を描くランダムな分布を動画で見てみましょう。

下記の動画はガルトンボードというおもちゃの動画です。

 

ガルトンボードは上部の中央から大量の小さな球を流すと12段に別れた杭に当たりながらランダムに下の仕切りに散らばっていきます。

球は杭に当たるたびに1/2の確率で左右に別れていき、最終的には下の溝に溜まっていきます。

これが何を意味しているかと言うと、例えば杭に当たるたびに右→右→右→右→右→右→右→右→右→右→右→右とすべて右へ転がった球は一番右側にはいり、逆に左→左→左→左→左→左→左→左→左→左→左→左と転がった球は一番左にはいります。

杭に球があたって転がる方向は1/2の確率で「左と右」に分かれますので、全て同じ方向に流れなければたどり着けない端っこは、かなりレアな現象ということになります。

そのため、中央が高くて両端が低くなる正規分布に収まるわけですね。

この正規分布の形は非常に重要で、例えば一番端っこの3σまで株価データが飛んでも、もし正規分布しているデータならばそれは非常にレアケースということが言え、いずれ中央値に戻ってくることが期待できます。

 

正規分布していないデータとは?

正規分布していない所得金額

参考:民間給与実態統計調査|統計情報|国税庁

 

次に正規分布していないデータ、つまりランダムではないデータもご紹介しておきましょう。

上記の画像は正規分布していない例としてよく出される、「世帯別の収入」です。100万円ごとに区切っていますが左側に偏っていますね。上限の位置もよくわかりません。

このデータを見て、「国民の平均所得は549万円6千円!」

なんて言われても、実生活を考えるといまいちピンと来ない人が多いと思います。

それはつまり正規分布になっていないデータで平均を出されても、データが偏っているので上位、または下位のデータに引っ張られて全体の平均を動かしてしまうのです。

これは株価や為替のデータに当てはめた場合も同じで、ボリンジャーバンドを表示して「3σにタッチしたらからいずれ真ん中のラインまで戻ってくるはず!」といってエントリーしても、データが偏っているせいで価格がいつまでたっても戻ってこないということが起こります(とても頻繁に)

 

価格の異常値

さてここで、価格の異常値について考えてみます。

まずさきほどのガルトンボードに一つだけ赤い玉を入れてみましょう。これを上から落としてみるとどうなるでしょうか?殆どの場合、中央付近に赤い玉は入っていくかと思います。

ここでボリンジャーバンドがでてくるのですが、統計的に玉が分布する確率は決まっておりまして、2シグマ以内のどこかに玉が収まる率は95%と言われ、3シグマ以内だと99.7%の確率でその中に収まると言われています。

つまり2シグマを超えるのは5/100回(5%)、3シグマを超えるのは3/1000回(0.3%)ということになります。これは結構な異常値といえまして、もしガルトンボードで赤い玉が3シグマを超えたら、次に超えるのはまた300回くらいは落とさないと確率的に超えてこないということになりますね。

この考えは、株価や為替のデータが正規分布していれば同じような考え方が通用します。

例えば株価がボリンジャーバンド+3シグマを超えたところで逆張りのショートをすれば、ほぼ100%に近い確率で勝つことが出来るのですが、残念ながら現実には勝てませんよね。

それはお察しの通り、株価や為替は正規分布していないデータだからなんです。

正規分布に従っていないデータの場合だと、3σまで株価が飛んでもそれはその方向へバイアスがかかっているだけであり、そのまま4σ、5σへと突き進んでしまいます。

株や為替の世界にはトレンドがありますので、サヤ取りでエントリーしてもサヤが戻ってこないというのは、この正規分布に従っていないデータを使ってしまっているのが原因です。

 

正規分布している株価データの見つけ方

正規分布しているデータ

株価が正規分布しているかどうかですが、残念ながら企業単体の銘柄で正規分布しているものは存在しません。

これは会社が「成長し続けることを目的」としているためで、ほぼ全ての株価に一方向の値上がりバイアスがかかっているからです。

そこで1つの方法として、似たような動きをする2銘柄のサヤ(価格差)だけに絞って分析する方法があります。

例えば『イオン北海道株式会社』は『イオン㈱』の子会社で、同じ業態なので株価は似たような動きをします。景気が上向けば両社とも株価は上がり、コロナなどでは両社とも大きく株価が下がりました。

社内で大ヒットした商品があれば両社で共有しますし、イオン㈱の組織改革でうまく機能した事例や失敗した事例は、イオン北海道株式会社でも共有されます。

イオンの株価比較イオン㈱とイオン北海道株式会社の株価比較、似た動きをしていますね。

 

ということは、両社の株価の動きは、どちらかが一方的に上がり、どちらかが一方的に下がるということは起こりにくく、株価は違えど両社とも同じような株価の間隔(サヤ)を保ったまま株価は動き続けます。

そしてこの『同じような株価の間隔』というのが、実は先程お話した『正規分布の中央値』として利用することができます。

つまりどちらかの株価が行き過ぎても、時間が経てば『同じような株価の間隔』に戻ってくるというわけなので、この間隔よりも高い銘柄を売り、安い銘柄を買って両建てをすれば、正規分布に従ったトレードが可能になるというわけです。

当サイトで公開しているBLSシステムを使うと、2銘柄の株価を比較してサヤ(2銘柄の価格差)データの分散をヒストグラムで表すことができ、株価が正規分布しているペアを見つけることができます。

正規分布している日本とアメリカの経済

日経225とS&P500こちらは日経225と米国S&P500の価格差の散らばり

 

上記は日経225インデックスと米国S&P500インデックスの価格差の分布です。ちょっと右肩が出っ張っていますが、ほぼ正規分布の形に近くなっていますね。

なぜこのように正規分布の形になるのかと言いますとちゃんと理由がありまして、それは日本と米国との経済は密接な関係にあるからです。

アメリカには多くの日本企業が進出していますし、日本にも多くのアメリカ企業が進出しています。クレジットカードやスマートフォンなど、日本人が何気なく使っているものの多くがアメリカの利益に直結しているので、日本の不景気はアメリカにも影響がでます。

また、アメリカと日本の貿易関係に限って言うと、円高になれば日本の輸出企業は落ち込みアメリカの輸出企業が潤い、逆に円安になれば日本企業が潤いアメリカの企業は落ち込みます。

いろいろな要因がありますが、このように経済を共存していると、ビルトインスタビライザー(経済の自動調整機能)が働きますので、どちらかだけが行き過ぎるといったことが起こりにくく、サヤデータは正規分布を描きやすくなるのです。

 

正規分布しているグループ企業

正規分布のグラフこちらは8267イオンと7512イオン北海道

 

企業に落としこんで正規分布しやすいサヤデータと言いますと、先程チラッと紹介したイオン㈱とイオン北海道株式会社のように、営業形態が近い企業同士などのデータが正規分布の形になりやすいです。

例えばイオン北海道の経営状況が悪くなれば、イオンから役員が飛んできてイオンで成功した事例を使ったテコ入れが始まりますし、ヒット商品などの情報データ、工場の機能などもグループ内で共有ができます。

そのため、どちらかの株価が極端に高くなり、どちらかが極端に低くなるということが起こりにくく、その結果、正規分布の形に収束していきます。

カオチャイ
カオチャイ
BLSシステムではこのように正規分布しているペアを見つけてサヤ取りを狙っていきます

 

データを分析する期間はどこ?

BLSシステムでは正規分布を見つけるために、データの検証期間を自由に変更することができます。

この際に疑問として浮かぶのが、多少形が崩れていても多くのデータが含まれている長い期間を重視するべきか、それとも期間は短くなるものの、直近の最新データを取るかです。

この答えですが、業態が変わってない範囲で長い期間をとってください。

例えば富士フィルムは元々はカメラや写真関連の企業でしたが、現在では化粧品・医薬品事業に転換しています。

カメラ事業をメインに行なっていた時と、化粧品・医薬品事業を行っている現在の価格データではまったく別の企業になります。

統計というものは前提条件が同じデータの中での数値のばらつきを見るものですので、もし正規分布の山が2つに分かれたりする特殊な状態があれば、おそらく過去に業態が変わっているので、業態が変わる以前のデータは混ぜないほうが良いということです。

 

BLSシステム有料プラン2週間おためしチケット

2週間無料チケット

BLSシステムの無料版では日経225の分析が可能ですが、有料版では東証一部銘柄、マザース、ジャスダックなどの分析も可能になります。

有料版をお試しになりたい方は、BLSシステムメニュー画面の【設定】→【月額利用料お支払い】画面の下部に、2週間フルバージョンの無料チケットがございます。

お一人様一回のみご利用いただけますので、ひとまず無料プランを一通りお試しいただいて一通りの機能を把握してからからぜひご利用くださいませ。

 

正規分布でわかるボリンジャーバンドの真実【ガルトンボード】 まとめ

yuki
yuki
これまで正規分布の重要性を説明するのに結構な手間がかかっていたのですが、ガルトンボードのおかげで、完璧ではないにしろ、かなりの方に理解してもらえるようになってきました!
カオチャイ
カオチャイ
トレードで勝つためには正しいデータの扱い方は絶対に知っておかなければいけませんからね
yuki
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BLSシステムには他にも一般的なソフトにはない統計分析が詰まっていますので、ぜひお試しくださいね!
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