新株予約権

新株予約権とは、事前に決められた条件で会社の株を買うことができる特別な権利です。

この権利を使うと、決められた価格で株を手に入れられます。会社は、新株予約権を行使されたとき、その価格で新しい株を発行するか、既に持っている株を渡さなければなりません。

新株予約権の種類と目的

新株予約権の主な形態にはストックオプション、社外向け発行、無償割当、有利発行の4つがあります。

ストックオプション

ストックオプションは、社内向けに発行される新株予約権で、取締役や従業員に対して報酬として付与されます。従業員が一定期間在籍したり、業績目標を達成することで権利を行使できるようになります。これにより、従業員のモチベーション向上や長期的な経営に貢献する人材の確保が期待されます。

社外向け発行

社外向け発行は、社内向けのストックオプションと対照的に、社外の投資家に対して発行される新株予約権です。

株主割当と第三者割当の2種類があり、株主割当は既存株主に対し、第三者割当は特定の投資家に対して発行されます。社外向け発行は、資金調達や敵対的買収防止の手段として利用されることが多いです。

新株予約権の影響と課題

無償割当

無償割当は、既存株主に対して保有株式に応じて新株予約権を無償で割り当てることを指します。

大幅な増資が行われる際に、既存株主の経済的利益を守るために無償割当が行われます。無償割当には非上場型とライツ・オファリング(上場型)があり、ライツ・オファリングでは新株予約権自体が市場で売買されるため、株主は権利を行使しなくても新株予約権を売却して利益を得ることができます。

有利発行

有利発行は、特定の対象者に対して特に有利な価格で新株予約権を発行する手続きを指します。

第三者割当での有利発行は、新たに株主を募る際に活用できる方法です。ただし、既存株主が株価下落や議決権割合の減少などの不利益を被ることがあります。

そのため、有利発行の際は原則として、株主総会での特別決議が必要であり、取締役は同時に株主総会で有利発行を行う理由の説明義務が課されます。

まとめ

新株予約権は、資金調達や社員へのインセンティブ、株主の保護を目的として発行される権利で、ストックオプション、社外向け発行、無償割当、有利発行の4つの主な形態があります。

それぞれの形態は異なる目的や利用方法があり、企業は状況に応じてこれらの方法を選択して活用しています。

しかし、新株予約権の発行は、株価や議決権などに影響を与えるため、既存株主の利益や企業価値にも慎重に配慮する必要があります。企業は、新株予約権の発行方法や条件を適切に設定し、資金調達や人材確保の効果を最大化しながら、既存株主の利益を守ることが求められます。