小麦ETF
小麦ETFは、主に小麦の先物価格に連動する上場投資信託で、シカゴ商品取引所(CBOT)で取引される小麦先物契約の価格動向に連動している投資商品です。
これにより、投資家は小麦市場の価格変動から利益を得ることができます。小麦先物契約に基づく投資成果を目指すため、商品市場への直接的な投資手段となります。
サヤ取り分析で使えるETFも豊富で、東証だと以下の5種類が上場しています。
1687 アグリ ETF (WisdomTree農産物上場投資信託)
1688 穀物 ETF (WisdomTree穀物上場投資信託)
1695 小麦 ETF (WisdomTree小麦上場投資信託)
1696 コーン ETF (WisdomTreeとうもろこし上場投資信託)
1697 大豆 ETF (WisdomTree大豆上場投資信託)
分散投資としての小麦ETF
小麦ETFは分散投資の一環として利用されることが多く、伝統的な金融商品とは異なる資産クラスとしてポートフォリオに組み込むことができます。
この特徴により、投資家は市場の価格変動に対するリスクを分散しつつ、異なる投資機会を活用することが可能です。
小麦相場の変動理由
小麦の価格変動の要因は様々ですが、小麦の生産量が多い国の状況によって変動することが大きいです。
小麦の生産量が多い国のランキングは以下の通りです。
小麦生産量ランキング(2019年)
①中国
②インド
③ロシア
④アメリカ
⑤フランス
生産量だけではなく、輸出量の多い国の動向も変動の大きな要因となります。
小麦輸出量ランキング(2019年)
①ロシア
②アメリカ
③カナダ
④フランス
⑤ウクライナ
【出典】FAOSTAT
生産地の天候や自然災害
小麦は農作物であるため、生産地の天候や自然災害の発生状況によって生産量に影響を与えます。
例えば、小麦の生育期に雨・もしくは干ばつなどが長期間に及んで発生すると小麦の供給が減少することが予想され、価格が上昇する可能性があります。
消費量が多い国の生産・需給状況
生産量のランキングを見ても、中国やインドは小麦の生産量がとても多い国です。
ただ、中国・インドは共に消費量も高く、2ヶ国とも自国で生産した小麦はほとんど自国で消費しています。
もし、この2ヶ国が天候状況や災害などで小麦が不作となり、自国の生産量で間に合わなくなってきたときは、輸入量が急増して小麦の世界的な需給が乱れることが考えられ、価格が上昇する可能性があります。
作付面積・期末在庫
小麦は作付面積によっておおよその生産量が予想できるため、作付面積は投資家にとって注目すべきポイントです。
また、世界の小麦の在庫が減少したか増加したかも小麦の価格に影響を与えます。
例えば、作付面積が少ない、または期末在庫が減少したなどは小麦価格が上昇する要因の一つとなります。
なので作付面積・期末在庫の公表には注目しておきましょう。
バイオ燃料の生産
近年、原油価格の高騰を受けて、バイオ燃料に注目が集まっています。
バイオ燃料とは、動植物などから生まれた生物資源であるバイオマスを原料として作られる燃料の事で、石油などの限りある枯渇性資源とは異なる非枯渇性資源であり、二酸化炭素の排出量も増えないため石油燃料の代わりとしても期待されています。
穀物類はバイオ燃料の原料となるため、小麦自体も原料になる事がありますが、バイオ燃料の原料としてはトウモロコシが主に利用されています。
直接的にバイオ燃料の原料となることは多くない小麦ですが、バイオ燃料の需要を受けて小麦農家がトウモロコシ農家へと移行するケースがあり、小麦の生産量が減少傾向にあります。
よって今後のバイオ燃料の需要によって小麦の価格も変動する可能性があります。
サヤ取りで小麦と相性の良い「とうもろこし」
小麦でサヤ取りを行う場合、小麦ETFを利用します。
その際に相性のよいETFとして、とうもろこしETF(1696)があげられます。
理由は、小麦とトウモコロシ、ここに米を加えて世界三大穀物になぞられるほどの収穫量があるため、小さなニュースでは反応せずに国レベルでの大きなニュースに反応しますので、細かい情報が手に入りにくい個人投資家でも相場が見えやすいこと。
また、栽培環境ですが、小麦は成長期に涼しく、年間の降水量が500~800mm程度とする気候が適しておりますが、トウモロコシは高温多湿な気候(アメリカ中部・ブラジルなど)が栽培に適しています。
そのため、両者の相関は高いですが、ニュースの出処がしっかりと区切られているので、突発的な価格の乖離が期待できます。
小麦の価格変動要因 まとめ