
ほぼノーリスクで株主優待を手に入れる「優待クロス」のやり方!
「株主優待に興味はあるけど、株価が下がって損をするのが怖い…」
そんな方にこそ知ってほしいのが、株価変動のリスクをほぼゼロに抑えながら、優待だけをお得に手に入れる「優待クロス(クロス取引)」というテクニックです。
この記事では、優待クロスの基本的な仕組みから、具体的なやり方、手数料を抑えるための証券会社の選び方、そして今年おすすめの銘柄まで、わかりやすく解説します。
優待クロス(つなぎ売り)の基本
優待クロスとは、「現物買い」と「信用売り」を同時に行う取引のことです。
現物買い: 通常の株式購入と同じです。
信用売り: 証券会社から株を借りてきて、それを売ることです。
同じ銘柄を同じ株数で「買い」と「売り」のポジションを同時に持つため、その後株価が上がっても下がっても、損益はほぼゼロになります。
そして、現物買いで保有している株式によって株主優待の権利だけが手元に残る、という仕組みです。この手法は「つなぎ売り」とも呼ばれます。
優待クロス取引の3ステップ
優待クロスは、以下の3つのステップで完了します。2025年の権利確定日に合わせて、スケジュールを確認しながら進めましょう。
ステップ1:権利付き最終日までに「現物買い」と「信用売り」を注文
株主優待の権利を得るためには、「権利付き最終日」の取引終了時点(15:00)で株を保有している必要があります。
▼2025年 主要な権利確定日と権利付き最終日
権利確定月 | 権利付き最終日 | 権利落ち日 |
2025年6月 | 6月26日(木) | 6月27日(金) |
2025年7月 | 7月29日(火) | 7月30日(水) |
2025年8月 | 8月27日(水) | 8月28日(木) |
2025年9月 | 9月26日(金) | 9月29日(月) |
2025年10月 | 10月29日(水) | 10月30日(木) |
2025年11月 | 11月26日(水) | 11月27日(木) |
2025年12月 | 12月26日(金) | 12月29日(月) |
権利付き最終日:この日に現物で株をもっている人が、2日営業日後の権利確定日に株主の権利をもらうことができます。
権利落ち日:権利付き最終日の翌日です。ここで下記の現渡を行い株を早々に手放します。
ステップ2:権利落ち日に「現渡し」で決済する
権利付き最終日の翌営業日である「権利落ち日」になれば、株を売却しても優待の権利はなくなりません。
この日、朝一番で「現渡し(品渡し)」という決済方法を実行します。これは、保有している現物株式を、信用売りで借りている株式の返済にあてる方法です。これにより、すべての取引が完了します。
🔰 現渡(げんわたし)は持っている現物の株を信用取引の売りの返済に当てるものですが、よく似た言葉の現引(げんびき)は、信用取引で購入した建玉分の資金を預け入れて現物株式を手に入れるものです。(どちらも手数料無料)
なので手数料のかかる現物株購入時に、直接買わずに「信用取引買い→現引→現物株を手に入れる」というひと手間をかけると現物株を購入する手数料が無料になります。
ステップ3:株主優待が届くのを待つ
権利確定日から2〜3ヶ月後に、企業から株主優待が送られてきます。
優待クロスの手数料と注意点
優待クロスはほぼノーリスクですが、完全に無料ではありません。以下のコストがかかります。
取引手数料(売買手数料):楽天証券の「ゼロコース」やSBI証券の「ゼロ革命」など、多くの証券会社で国内株式の売買手数料が無料になっています。これらのプランを活用すれば、取引手数料はほぼ気にしなくてよくなりました。
貸株料(金利):信用売りで株を借りるためのレンタル料です。これが実質的な主要コストになります。年率2%〜4%程度が一般的で、株を借りている日数分だけかかります。
逆日歩(ぎゃくひぶ):最も注意すべきコストです。「制度信用」取引で、自分と同じように信用売りをする人が殺到し、証券会社が保有する以上の株の申し込みが入った場合に発生する追加のレンタル料です。人気銘柄では高額になることがあります。
優待クロスの手数料を下記にまとめますと・・・
現物買いのコスト:売買委託手数料(※信用取引で購入してから現引きすると、現物株を買う時にかかる手数料は無料)
信用売りのコスト:売買委託手数料 + 信用取引貸株料 + 逆日歩(制度信用のみ)

優待クロスは先に一般信用売りの在庫を確保
一般信用はこんな感じに売建可能数量というものが証券会社によって決まっています
人気の銘柄は売建可能数量がまったく無いことがザラです
こちらは証券会社の一般信用の在庫を教えてくれるサイトです
優待クロスではぜひ使って欲しい一般信用の空売りですが、証券会社ごとに売りの在庫がありまして、優待クロス人気銘柄は争奪戦となります。
ですので優待が充実している銘柄は3ヶ月前でも一般信用の売り在庫が0何ていう話はよくあります。(その場合はマメにチェックして入荷を待ちます)
そんな時、貸借銘柄(信用度が高い銘柄)でしたら制度信用で空売りができまして、一般信用のように在庫を気にする必要がなく空売りできますが、さきほども書いたように、制度信用の場合は逆日歩の可能性もあります。
特に優待クロス銘柄は逆日歩が多いので、欲を出さずに在庫のある一般信用のできる銘柄を狙うことをおすすめしますよ。
権利付き最終日に向かって株価は上がる

優待がもらえる権利が得られる権利付き最終日ですが、株価はこの日に向かって上がり、この日を境に下がるというパターンが良く見られます。
特に株主優待が人気のイオンやオリックス、すかいらーく、マクドナルドなど個人投資家に好まれる銘柄によくみられる現象です。個人投資家の皆さんは権利だけ手に入れたら手放してしまうんですね。
なので取引をする際にはこの特性を理解してポジションを持つほうが勝利につながるかと思います。
優待クロスにおすすめの銘柄
優待クロスで狙い目の定番おすすめ銘柄をいくつかご紹介します。
すかいらーくホールディングス (3197)
権利確定月: 6月, 12月
優待内容: ガストやバーミヤンなどで使える食事券
ポイント: 優待の定番で人気も高いですが、その分、一般信用の在庫争奪戦は激しくなります。早めの準備が必要です。
ヤマダホールディングス (9831)
権利確定月: 3月, 9月
優待内容: ヤマダ電機で使える割引券
ポイント: 比較的少額から投資でき、利回りも良いため初心者にもおすすめです。
楽天グループ (4755)
権利確定月: 12月
優待内容: 楽天キャッシュや楽天トラベルクーポンなど
ポイント: 楽天のサービスをよく利用する方には非常に魅力的な優待です。
優待クロス取引におすすめの証券会社TOP3
1. SBI証券
【総合評価】取扱銘柄数とチャンスの多さで選ぶなら、最有力候補
優待クロス取引を行うほぼ全ての投資家が利用していると言っても過言ではない、業界最大手のネット証券です。
- 貸株料(一般信用)
- 短期(15日):3.9%
- 無期限(HYPER空売り対象銘柄など):1.1%
- 取扱銘柄数・在庫数
- 一般信用売りの取扱銘柄数は業界最多クラスの約3,000銘柄以上。他の証券会社では取り扱っていないニッチな優待銘柄が見つかることもあります。
- 利用者数・取引量が多いため、在庫も豊富に用意されています。人気銘柄の争奪戦は激しいですが、在庫が追加される「在庫補充」のチャンスも比較的多めです。
- こんな人におすすめ
- とにかく多くの優待の中から選びたい方
- 他の証券会社では在庫がなかった銘柄を探したい方
- メイン口座として一つの証券会社で取引を完結させたい方
2. SMBC日興証券
【総合評価】低い貸株料と豊富な在庫。コストを最重視するなら必須の口座
低コストと在庫の安定性で、多くの優待投資家から絶大な信頼を得ています。特にコスト意識の高い投資家には必須の証券会社です。
- 貸株料(一般信用)
- 年率1.4%(※信用取引手数料は無料)
- 貸株料が非常に低く、長期でポジションを保有してもコストを抑えられるのが最大の魅力です。
- 取扱銘柄数・在庫数
- 取扱銘柄数は約2,000銘柄と非常に豊富です。
- 在庫数も多く、SBI証券と並んで優待クロスの主要な選択肢となります。貸株料の安さから人気が集中しやすいため、人気銘柄は早めの確保が重要です。
- こんな人におすすめ
- 少しでも取引コストを抑えたい方
- 人気の定番銘柄を確実に狙いたい方
- 権利日の数週間前から余裕をもってクロス取引を仕込みたい方
3. 三菱UFJ eスマート証券 (旧auカブコム証券)
【総合評価】業界最大級の銘柄数と独自の優遇プログラムが魅力
三菱UFJフィナンシャル・グループのネット証券で、特に一般信用売りのサービスに力を入れています。
- 貸株料(一般信用)
- 長期:2.25%
- 売短(13日):3.79%
- 信用取引の残高に応じて金利が優遇される**「大口優遇」**が適用されると、さらにコストを下げることが可能です。
- 取扱銘柄数・在庫数
- 一般信用売りの取扱銘柄数は約2,400銘柄と、SBI証券に匹敵する業界最大級のラインナップを誇ります。
- 独自の在庫確保ルートを持っていると言われ、他の証券会社にない銘柄の在庫が見つかることがあります。「かぶれん」という銘柄横断検索ツールも在庫探しに便利です。
- こんな人におすすめ
- SBI証券やSMBC日興証券で在庫がなかった場合の「第3の選択肢」として
- 取引額が大きく、大口優遇プログラムのメリットを享受できる方
- マニアックな銘柄の優待クロスに挑戦したい方
特徴比較表
証券会社 | 貸株料(一般信用) | 取扱銘柄数 | 在庫の安定性・特徴 |
SBI証券 | 短期3.9% / 無期限1.1% | ◎ 非常に多い (約3,000+) | ◎ 豊富だが人気銘柄は争奪戦。在庫補充も期待できる。 |
SMBC日興証券 | ◎ 非常に安い (1.4%) | ◯ 多い (約2,000) | ◎ 安定している。低コストゆえに人気が集中しやすい。 |
三菱UFJ eスマート証券 | 長期2.25% / 売短3.79% | ◎ 非常に多い (約2,400) | ◯ 多い。他社にない在庫が見つかることも。大口優遇あり。 |
これらの3つを押さえておけば、優待クロス取引のチャンスを大きく広げることができるでしょう。


リスク無しで優待券を手に入れる「優待クロス」まとめ


