株の確定申告のやり方を初心者向けに完全解説|必要書類・提出方法・記入例【2026年版】
株の確定申告は、すべての投資家に必要なわけではありません。
特定口座の源泉徴収ありを利用している場合は、証券会社が口座内の税額を計算して納付するため、通常は申告不要です。
一方、源泉徴収なしの特定口座や一般口座で利益が出た場合は、所得やほかの収入によって確定申告が必要になることがあります。
- 株の確定申告が必要になる主なケース
- 口座ごとの申告要否の違い
- 申告前に準備する書類
- 確定申告書等作成コーナーへの入力の流れ
- e-Taxと書面提出の違い
株の確定申告が必要になる人・不要な人
株の確定申告が必要かどうかは、口座の種類だけでは決まりません。
源泉徴収の有無、年間の所得、ほかの所得、損失を繰り越すかどうかを順番に確認します。
| 口座の種類 | 所得税の確定申告 | 主な扱い |
|---|---|---|
| 特定口座(源泉徴収あり) | 原則不要 | 証券会社が口座内の税額を計算して納付 |
| 特定口座(源泉徴収なし) | 利益やほかの所得により必要 | 年間取引報告書を使って申告できる |
| 一般口座 | 利益やほかの所得により必要 | 売却額や取得費を自分で計算する |
| NISA口座 | 非課税となった利益は申告対象外 | 損失は課税口座との通算に使えない |
確定申告が必要になりやすいケース
- 源泉徴収なしの特定口座や一般口座で利益が出た
- 複数の証券会社の損益を合算する
- 株の売却損を翌年以後へ繰り越す
- 前年からの繰越損失をその年の利益から差し引く
- 上場株式等の売却損と一定の配当所得を通算する
源泉徴収なしの特定口座や一般口座で利益が出ても、すべての人に所得税の確定申告義務が生じるわけではありません。
例えば、年末調整を受けている一定の給与所得者は、給与所得と退職所得以外の所得金額の合計が20万円以下であれば、所得税の確定申告が不要になる場合があります。
この20万円基準は、株の利益だけではなく、副業などほかの所得も含めて判断します。また、所得税の確定申告が不要でも、住民税の申告が必要になることがあります。
特定口座(源泉徴収あり)でも申告を検討するケース
源泉徴収ありの特定口座は、利益が出ても原則として確定申告は不要です。
ただし、次のケースでは申告によって税金が戻ったり、損失を翌年へ残せたりすることがあります。
- 別の証券会社で売却損が出ている
- 同じ年に使い切れない損失を3年間繰り越したい
- 前年から繰り越した損失がある
- 配当金と売却損を申告分離課税で通算する
申告した方が必ず得になるわけではありません。
配当所得を申告へ含めると、住民税や国民健康保険料、扶養判定などに影響する場合があります。還付額だけで判断せず、申告後の負担も確認してください。
NISA口座の利益は原則として申告しない
NISA口座内で非課税となった売却益や配当金は、原則として確定申告の対象外です。
NISA口座で損失が出ても、特定口座や一般口座の利益と損益通算したり、翌年以後へ繰り越したりすることはできません。
国内株の配当金については、受取方法によってNISAの非課税扱いにならない場合があるため、証券会社の配当金受取方式も確認してください。
株の確定申告前に準備するもの
必要な書類は、利用している口座や申告内容によって変わります。
「全員が同じ書類をそろえる」のではなく、自分が申告する所得と控除に必要なものを準備します。
| 準備するもの | 必要になる主なケース |
|---|---|
| 特定口座年間取引報告書 | 特定口座の売却損益や配当を申告する |
| 一般口座の取引記録 | 一般口座の売却額・取得費・手数料を計算する |
| 配当等の支払通知書 | 特定口座へ受け入れていない配当等を申告する |
| 前年の確定申告書控え | 前年から繰り越した損失を使う |
| 給与の源泉徴収票 | 会社員が給与所得を含めて申告する |
| 本人確認に必要なもの | e-Taxまたは書面で申告する |
| 本人名義の銀行口座 | 還付金を受け取る |
年間取引報告書は証券会社から取得する
特定口座を利用している場合は、証券会社のマイページから特定口座年間取引報告書を確認します。
PDFやXMLで交付されることが多く、複数の証券会社を申告する場合は各社分を用意します。
対応している証券会社では、マイナポータル連携を使って特定口座情報を取得し、確定申告書等作成コーナーへ自動入力することもできます。
e-Taxはマイナンバーカード方式が基本
e-Taxでは、マイナンバーカード方式を利用すると、本人確認から送信までオンラインで進められます。
対応するスマートフォンやICカードリーダーを使ってカードを読み取ります。スマホ用電子証明書を設定している端末では、カードを毎回読み取らずに利用できる場合もあります。
すでにID・パスワード方式の届出を済ませている方は、引き続き利用できる場合があります。ただし、新規発行は停止されているため、これから始める場合はマイナンバーカード方式を確認してください。
マイナンバーカードを使わない場合は、確定申告書等作成コーナーで書面を作成し、印刷して郵送または税務署へ提出する方法もあります。
株の確定申告の流れ
株の確定申告は、国税庁の「確定申告書等作成コーナー」を使うと進めやすくなります。
特定口座年間取引報告書や一般口座の損益計算を手元に用意し、画面の案内に沿って入力します。
- 確定申告書等作成コーナーを開く
- 所得税の申告書作成を選ぶ
- 給与所得など株以外の所得を入力する
- 株式等の譲渡所得や配当所得を入力する
- 控除や納付・還付口座を確認する
- e-Taxまたは書面で提出する
画面の名称や配置は年度によって変わることがあります。実際の申告では、その年分の確定申告書等作成コーナーに表示される案内を確認してください。
確定申告書等作成コーナーを開く
国税庁の確定申告書等作成コーナーへアクセスし、「作成開始」から申告書の作成を始めます。
提出方法を選び、画面の案内に沿って本人確認や申告年分の設定を進めます。
マイナポータル連携を利用する場合は、給与の源泉徴収票、特定口座年間取引報告書、各種控除証明書などを取得できることがあります。
給与など株以外の所得も入力する
会社員であれば、源泉徴収票を見ながら給与所得を入力します。
副業、事業、不動産、年金など、ほかにも申告する所得がある場合は、それぞれ該当する欄へ入力してください。
株の利益だけを見て申告要否や税額を判断すると、20万円基準や所得控除の判定を誤ることがあります。申告書全体に必要な所得を入力したうえで税額を確認します。
特定口座の売却損益を入力する
特定口座の取引を申告する場合は、特定口座年間取引報告書の内容を入力します。
XMLデータを取得できる証券会社では、ファイルを読み込むことで、売却額や取得費、源泉徴収税額などが自動入力される場合があります。
証券会社ごとに年間取引報告書を入力する
複数の証券会社を申告する場合は、申告対象とした口座の年間取引報告書を証券会社ごとに入力します。
自分で複数社の数字を一つにまとめてから入力するより、証券会社ごとに追加した方が、源泉徴収税額や配当等の入力漏れを確認しやすくなります。
| 主な入力項目 | 確認する資料 |
|---|---|
| 譲渡対価の額 | 特定口座年間取引報告書 |
| 取得費および譲渡費用 | 特定口座年間取引報告書 |
| 差引金額・譲渡損益 | 特定口座年間取引報告書 |
| 源泉徴収税額 | 所得税・住民税の記載欄 |
入力項目の名称は証券会社の書式や作成コーナーの年度によって異なることがあります。金額を推測せず、年間取引報告書と画面上の説明を見比べながら入力してください。
一般口座は売却損益を自分で計算する
一般口座では、証券会社が年間の譲渡損益をまとめた特定口座年間取引報告書を作成しません。
取引履歴をもとに、売却額、取得費、売買手数料などを確認し、譲渡損益を計算して入力します。
- 売却した銘柄と数量
- 売却金額
- 取得価額
- 売買手数料などの譲渡費用
取得価額が分からない場合は、過去の取引報告書や証券会社の取引履歴を確認します。取得費の扱いには個別判断が必要になることがあるため、不明なまま入力しないようにしてください。
配当金を申告する場合の入力
特定口座年間取引報告書に配当等が記載されている場合は、売却損益とあわせて入力できます。
特定口座へ受け入れていない配当金を申告する場合は、配当等の支払通知書などを見ながら入力します。
申告する配当の課税方式を選ぶ
上場株式等の配当を確定申告へ含める場合は、総合課税または申告分離課税を選びます。
- 国内株の配当などで配当控除を検討する場合は総合課税
- 上場株式等の売却損と通算する場合は申告分離課税
どちらが有利になるかは、課税所得、配当の種類、売却損、住民税や社会保険への影響によって変わります。
この確定申告記事では入力の流れだけを扱い、課税方式の詳しい比較は次の記事に分けています。
損失を通算・繰り越す場合の入力
別の証券会社にある利益と損失を合算する場合は、対象となる各口座の損益を入力します。
前年から繰り越した損失を使う場合は、前年の申告書控えに記載された繰越額を確認し、作成コーナーの案内に沿って入力します。
その年の損失を翌年以後へ繰り越す場合も、必要な明細書や付表が作成されているかを確認してください。
損益通算できる組み合わせや、3年間の繰越控除を受ける条件は、次の記事で詳しく解説しています。
控除と税額を確認する
株の損益を入力した後は、医療費控除、寄附金控除、生命保険料控除など、その年に適用する控除を確認します。
ふるさと納税のワンストップ特例を申請していても、別の理由で確定申告をするとワンストップ特例は適用されません。確定申告へ寄附金控除を含める必要があります。
すべての所得と控除を入力すると、納付する税額または還付される金額が表示されます。
- 入力した証券会社に漏れがないか
- 一般口座の取得費や手数料が正しいか
- 配当の課税方式が意図した選択になっているか
- 前年からの繰越損失を入力したか
- 源泉徴収税額を重複して入力していないか
税額が想定と大きく違う場合は、すぐに送信せず、年間取引報告書や前年の申告書控えと見比べてください。
e-Taxまたは書面で提出する
申告書の作成が終わったら、e-Taxで送信するか、印刷して郵送・持参します。
e-Taxで提出する
マイナンバーカード方式を利用する場合は、電子証明書の暗証番号を入力し、申告データを送信します。
送信後は、受付結果が正常に届いているかを確認し、申告書や受信通知を保存しておきます。
書面で提出する
書面提出を選んだ場合は、申告書を印刷し、必要な本人確認書類などを確認して税務署へ提出します。
郵送する場合は、提出期限に間に合うように発送してください。控えが必要な場合は、提出前に自分でコピーやPDFを保存しておくと安心です。
株の確定申告で間違えやすいポイント
株の確定申告では、計算そのものよりも、口座の入力漏れや課税方式の選択で間違えることがあります。
送信前に、次の項目を確認しておきましょう。
申告対象にした証券口座を入力し忘れる
複数の証券会社を申告する場合は、申告対象に決めた口座の年間取引報告書をすべて入力します。
源泉徴収あり特定口座は、口座ごとに申告するか申告不要とするかを選べます。申告対象に含めない口座まで入力する必要はありません。
- 特定口座年間取引報告書を証券会社ごとに用意する
- 一般口座の取引が混ざっていないか確認する
- 前年からの繰越損失を忘れずに入力する
ただし、源泉徴収あり特定口座の配当や譲渡益は、必ずすべて申告へ含めなければならないわけではありません。
申告する口座や所得の選択によって税額や社会保険への影響が変わることがあるため、申告対象を決めてから入力します。
一般口座の取得費を誤って入力する
一般口座では、売却金額だけでなく取得費や譲渡費用を自分で確認します。
取得費を入れ忘れると、実際より利益が大きく計算され、税額が増えることがあります。
取引履歴、売買報告書、過去の口座移管書類などを確認し、取得価額を推測だけで入力しないようにしてください。
配当金の課税方式を確認せずに送信する
配当金を申告する場合は、選択した課税方式が意図した内容になっているか確認してください。申告後は課税方式を変更できない場合があるため、送信前に申告書の配当所得欄を見直します。
ふるさと納税の入力を忘れる
ワンストップ特例を申請していても、株の損失申告など別の理由で確定申告をすると、ワンストップ特例は適用されません。
確定申告をする場合は、ワンストップ特例を申請した寄附分も含めて寄附金控除を入力します。
確定申告後に確認すること
納付がある場合は期限内に支払う
確定申告書を提出しても、納付が自動的に完了するとは限りません。
納付税額が表示された場合は、選択した方法で期限内に納付します。
振替納税を利用する場合は、事前の手続きや振替日も確認してください。
還付金の振込状況を確認する
還付申告になった場合は、申告時に指定した本人名義の口座へ還付金が振り込まれます。
処理状況はe-Taxのマイページなどで確認できる場合があります。振込までの日数は、提出方法、申告時期、申告内容によって異なります。
申告書の控えを保存する
株の損失を翌年以後へ繰り越す場合は、申告書の控えが次回の入力に必要です。
繰越損失額、申告した証券口座、配当の課税方式を翌年に確認できるよう、PDFや紙で保存しておきます。
株の確定申告についてよくある質問
原則として不要です。
ただし、別の証券会社の損失と通算する場合、損失を翌年以後へ繰り越す場合、前年からの繰越損失を使う場合などは確定申告を検討します。
申告によって住民税や国民健康保険料などに影響することもあるため、必ず有利になるとは限りません。
20万円基準を利用できるのは、年末調整を受けた一定の給与所得者など、条件を満たす人です。
株の利益だけでなく、給与所得と退職所得以外の所得金額を合計して判断します。
所得税の確定申告が不要でも、住民税の申告が必要になる場合があります。
一般口座では、特定口座年間取引報告書は発行されません。
証券会社の取引履歴や売買報告書を確認し、売却額、取得費、手数料などから譲渡損益を計算します。
できます。
確定申告書等作成コーナーで申告書を作成し、印刷して郵送または税務署へ提出する方法があります。
すでにID・パスワード方式を利用している方は、引き続き利用できる場合があります。
NISA口座内で非課税となった売却益や配当金は、原則として確定申告へ入力しません。
NISA口座内の損失も、課税口座の利益との損益通算や繰越控除には使えません。
確定申告によって、保有銘柄や取引内容が勤務先へ直接通知されるわけではありません。
ただし、住民税額の変化などから給与以外の所得を推測される可能性はあります。徴収方法は自治体の扱いによっても異なります。
まとめ|株の確定申告は口座確認から始める
株の確定申告では、最初に利用している口座と年間損益を確認します。
- 特定口座(源泉徴収あり)は原則として申告不要
- 源泉徴収なしの特定口座や一般口座は所得により申告が必要
- 20万円基準は一定の給与所得者に限られる
- 特定口座は年間取引報告書、一般口座は取引履歴を確認する
- 株式等の譲渡所得は証券会社ごとに入力する
- 配当の課税方式と繰越損失は送信前に確認する
- 提出後は受付結果と申告書控えを保存する
損益通算や配当課税の詳しい条件まで一つの記事で覚える必要はありません。
まずは申告が必要かを判断し、年間取引報告書などの資料をそろえて、確定申告書等作成コーナーへ入力します。
申告内容に迷う部分がある場合は、税務署や税理士へ確認してから提出してください。



