電力会社のサヤ取り
今回は電力会社のサヤ取りです。
最近は電源調達コストの増加で各社軒並み悪い決算を出していますが、電力会社の値動きは比較的安定しているイメージで、経営の多角化を行なっているもののどこも横並びの業態で、特定の会社が飛び抜けるということがあまりなく長期的なサヤ取りに向いている業態のペアでございます。
BLSシステムでの2銘柄の比較
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こちらはBLSシステム5年期間での比較で、中部電力が買い、東京電力が売りの指示がでています。
散布図は広めの分布ですが相関OKで、ヒストグラムは安定の正規分布を描いています。
黄色い矢印の適正乖離率に関しては中部電力が今期経常を59%下方修正したことで5年期間のレンジを飛び越えた位置にいます。
10年期間の適正乖離率をみると・・
5年間の適正乖離率のレンジは飛び抜けてしまいましたが、10年期間で見るとまだ上部に余裕があるようです。
ちなみに2012~13年ころの乖離率が荒れていますが、これは東京電力の福島原発事故の賠償金の話題がでていた時期です。
ひとまず赤枠が当面見るべきレンジですが、まだこのレンジが続くと想定してトレードをすることになります。
2銘柄の決算・チャート比較
こちらは2021年11月16日時点のチャートと決算内容です。月初めに両社の決算が発表されています。
東京電力HDのPERなどは現状計測不能ということで表示されおりませんが、信用倍率などは両社問題ありませんね。
決算については両者とも悲惨な内容で、特に東京電力が酷いですが大きく売られているのは今期経常を59%下方修正した中部電力です。
しかし利益構造が似ているので今後東京電力も悪い見通しを出す可能性が高いですのでそこはサヤ取りの戻りを狙えるチャンスです。
GMOの財務分析
上記はGMOの便利な財務分析ツールの結果です。これは負債などから出した理論株価と現在の株価を比較してどれくらい割高・割安なのかをひと目で教えてくれるツールです。
短期で反応するデータではないのですが、長期的な判断では効果絶大なデータです。
そして内容を見てみると、両社とも割安との評価で、この程度の差でしたら現在価格はほぼ同じ判断と考えて良いでしょう。
エントリータイミングと注意事項
上記は直近1年期間の中部電力と東京電力の散布図です。現在の位置は突発的な異常値と言えるところですね。
今回のエントリーの肝は、利益構造が似た業態にあって、中部電力が早々に悪い見通しを出したことで開いたサヤの戻りを狙うものですが、電力株は値動きが鈍いので長期的な目線で待つことになります。
また、リスクとしては岸田政権が原発推進を表明しておりますので、ここが活発になってくるとまず買われるのが東京電力となります。
損切りとしては10年の適正乖離率のレンジを突破した所となりますが、電力各社は特殊な業態で利益構造が変わりにくく、長い目で見ればサヤは戻りますので耐えられる人は損切り設定を深めにするか無しにしてもいずれはサヤが戻るかと思います。
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