ETF(上場投資信託)とは?
ETFは、日経平均株価やTOPIX、NYダウなどの特定の指数に連動する事をめざした投資信託のことです。“Exchange Traded Funds”の頭文字をとってETFと呼ばれています。
ETFは簡単に言うと債権や株式、不動産などを袋詰にしたような商品です。そしてその袋詰の種類として日経225に連動して動くものや、エネルギー関連に連動するものなど細かく分かれています。
連動を目指すということは、その指数が参照している銘柄を複数組み合わせて、なるべく同じ様な動きをするように調整するということですね。言い換えると平均的な動きを狙う事とということです。
通常、個別株の場合は色々な銘柄を分散させて購入しますが、ETFは最初から複数の銘柄を購入することと同義で、個別株よりも突発的な動きが少なく予測が立てやすいということがあります。
有名なETFとして、「NEXT FUNDS 日経225連動型上場投信」略して日経225ETFというものがありますが、この中身を見てみますと・・・
1321 | NEXT FUNDS 日経225連動型上場投信 (NEXT FUNDS Nikkei 225 Exchange Traded Fund) | ||||
No. | コード | 銘柄 | 株数(※) | 評価金額(円) | 純資産比率 |
1 | 9983 | ファーストリテイリング | 10,030,000 | 861,978,200,000 | 11.47% |
2 | 9984 | ソフトバンクグループ | 60,180,000 | 437,628,960,000 | 5.82% |
3 | 8035 | 東京エレクトロン | 10,030,000 | 355,764,100,000 | 4.73% |
4 | 6954 | ファナック | 10,030,000 | 254,410,950,000 | 3.38% |
5 | 6367 | ダイキン工業 | 10,030,000 | 237,359,950,000 | 3.16% |
6 | 2413 | エムスリー | 24,072,000 | 231,620,784,000 | 3.08% |
7 | 9433 | KDDI | 60,180,000 | 179,486,850,000 | 2.39% |
8 | 4063 | 信越化学工業 | 10,030,000 | 171,864,050,000 | 2.29% |
9 | 4543 | テルモ | 40,120,000 | 166,377,640,000 | 2.21% |
10 | 4519 | 中外製薬 | 30,090,000 | 151,773,960,000 | 2.02% |
この様に複数銘柄が組み込まれております。上記は組み込み比率の多い10銘柄だけここには書きましたが、全部で225銘柄がこのETFには組み込まれています。
これは日経225に確実に連動させるならば225銘柄とその比率を調整するのが一番確実に連動するからですね。
ひとまずこの考え方がETFの銘柄組み込みの基本でございます。
ETFは分散投資を徹底してリスクを軽減できる
ETFは袋詰とお話しましたが、これは分散投資を行っている事と同義です。
分散投資はリスクを小さくできるというメリットがあり、ETFを購入するということは分散投資のいわば究極系です。
株式市場では日々たくさんのニュースが出るのですが、ニュースには大きく分けて2種類ありまして、コロナのように経済全体に影響を及ぼす大きなニュースと、個別の決算や風評、事故などの小さなニュースがあります。
個別株の場合は大きなニュースにも小さなニュースにも翻弄されますが、ETFの場合は完全に分散されているので小さなニュースには反応しません。
これはつまり投資家が取引する時に考慮するべきリスク(小さなニュース)を排除できるということを示しています。
どんなETFがあるの?
ETFは2020年時点ではおよそ250銘柄ほどあり、年間15~20銘柄ずつ増えている状況です。
国内株式に連動するものから、外国株式、債権、商品に連動するものなど様々です。また、規模やテーマや業種別のものも用意されています。
また、運用の方針について大きくインデックス型とアクティブ型に分けることが出来ます。これは市場との連動を目指すインデックス型に対し、アクティブ型は市場の平均を超えることを目標にしています。
あとETFを選ぶときのコツなのですが、TOPIXや日経225に連動するETFなどは複数上場していますが、その中で売買高が少ないものは値動きも荒くなりますので、なるべく売買高が多く流動性が高いETFを選ぶのがコツです。
国内株式に連動する総合型・・1306 TOPIX ETF
小型の国内株式を集めたETF・・1312 ラッセル野村小型コアETF
高配当銘柄を集めたETF・・1489 日経高配当株50ETF
業種別ETF・・1615 銀行業ETF
インバース型・・1357 日経ダブルインバース指数ETF
など
ETFにかかるコスト
ETFには次の3つのコストがかかります。
・購入時の手数料(0~3%程度)
・保有している間に支払う信託報酬(0.1%~3%)
・売却時の手数料(0~3%程度)
購入時と売却時の手数料は証券会社によって異なりますが、株式の売買と同じですのでご存知かと思います。
普段聞き慣れないのは、保有時に支払う信託報酬ですね。投資信託やETFにはそれを管理している運用者がいますので、その運用手数料のことですね。
指標に連動を目指すインデックスファンドと呼ばれるETFですとだいたい年率0.1%~1%が多く、積極的に運用していくアクティブファンドと呼ばれるETFですとだいたい年率1%~3%程度の信託報酬がかかります。
料金は基本的に証券会社によって差異はありません。同じETFであればどの証券会社で購入しても同じ料金がかかります。
信託報酬の見方
信託報酬はETF購入時に事前に見ることが出来ます。上記は東京取引所ブループに上場しているETF一覧ですが、表に「信託報酬」という欄があります。
信託報酬の特徴として・・・
・国内よりも海外資産向けのものは信託報酬が高くなる
・商品を取り扱うETFは信託報酬が高い
・インデックスファンドよりもアクティブファンドが高い
・高くても0.5%が目安
という特徴があります。また、リスクとリターンが大きいレバレッジ型(指標に対して2倍の動きをするなど)とインバース型(指数とは逆の値動きをするタイプ)は信託報酬が0.8%前後と高くなります。
ETFと投資信託の違い
ETFも投資信託もどちらも投資信託ですが、大きな違いとしては上場しているかどうか、つまり証券取引所で取引できるか出来ないかがあります。
投資信託は上場していないので銀行や郵便局などで販売され、通常は購入手続きをしてから受け渡しまで4営業日ほどかかるために、買いたいと思ったときの値段とずれるのが常です。
しかしETFの場合は上場しているので株式と同じ様にネットでリアルタイム注文が可能です。価格はリアルタイムで変動し、成行きや指値注文も可能です。
一般的にETFのほうが手数料や信託報酬が安い傾向がありますので、サヤ取りを行うのならば投資信託よりもETFの方が向いています。
ETF | 投資信託 | 株式 | ||
上場・非上場 | 上場 | 非上場 | 上場 | |
価格 | リアルタイムで変動 | 1日1回算出される | リアルタイムで変動 | |
どこで購入できる? | 証券会社 | 証券会社や銀行、郵便局など | 証券会社 | |
買い方 | 証券会社で指値/成行注文 | 上記の販売会社から購入 | 証券会社で指値/成行注文 | |
信託財産留保額※ | なし | あり | なし | |
コスト | 普通 | 普通~高め | 安い |
※信託財産留保額:中途解約した場合のペナルティで解約時に徴収されます
ETFの買い方
ETFは証券会社と一部のインターネットバンクで購入することができますが、取扱数やお手軽さを考えると証券会社になるでしょう。
その証券会社ですが、主に実店舗をもつリアル証券(野村證券や日興コーディアル証券など)と実店舗での運営は控えめでにネット取引を中心としているネット証券(楽天やSBI証券)があります。
株のサヤ取りを行う場合は両建てをするために、手数料の安さが大事になってきますが、2021年の時点でおすすめは、株式会社SBIネオトレード証券がシンプルで使いやすいかつ手数料が安いのでおすすめです。
ETFで株のサヤ取りの特徴
株のサヤ取りBLSシステムを使ってETF市場ペアを見てみると、市場の動きを違った視点から見ることが出来ます。
例えば上記はジャスダックとマザーズに連動する2つのETFのコロナを含んだ1年期間を比較したものですが、現在位置をサヤチャートや適正乖離率チャートを見ますと、9月くらいからぐんぐん下がっています。散布図も相関がくずれて異常値がでていますね。
これはジャスダックかマザーズのどちらか一方にお金が入っていることを示します。
この時はマザーズが強く、市場は成長株(=マザーズ)に投資するのがトレンドということでしたが、実際に株の情報サイトやTwitterなどで「今は成長株がトレンドです!」と言われても大抵はポジショントークであることが多いので鵜呑みにしてはいけないのが投資の世界。
しかしこのように特定の市場と連動しているETFをBLSシステムで比較することでデータとして確かなお金の流れを判別することができ、判断材料として利用することができます。
相関が強すぎるペアに惑わされてはいけない
ETFのサヤ取りでよくあるのが、上の画像のように完璧な相関がでているパターンです。
上記ペアは1569TOPIXベア上場投信と1368ダイワTPXダブルインバースなのですが、この2つのETFはともにTOPIXとの連動を目指しているため、日足レベルでの乖離はほぼありません。
適正乖離率チャートをみると小さいながらも乖離があるように見えますが、これをリアルタイムでエントリーしようとしても無理なものかと思われます。
(適正乖離率チャートは始値と終値のみ参照していますので、寄りと引けで注文が偏っていた時は上記のように1日だけ大きな線がでる乖離したデータにはなりますが、その多くは物理的にエントリーできません)
ETFに個別銘柄をあわせたサヤ取り
ある特定の市場との連動を目指すETFの中には「1615NEXT FUNDS 東証銀行業株価指数連動型上場投信」のように、銀行業との連動を目指すものが存在します。
そのETFと個別の銀行株などを比較すると、たまに上記のように散布図などで異常値(サヤが広がっている)がでている銘柄がでてきます。
これは銀行セクター全体に対して、その個別の銀行株だけに何かが起こっている事を表しています。その内容は決算だったり風評だったりしますが、銀行株のように国からの規制がガチガチで技術革新も起こりにくいセクターの場合はかなりの率でETFと元サヤに戻ります。
(例えばある個別の銀行だけがぐんぐん売上を伸ばしたとしても、その方法は他社が真似を始めて競争がはじまりますので、結局一時的に飛び出しても銀行全体の平均的なところ、つまり元サヤに戻るのです)
このような特性を利用し、銀行ETFからサヤが広がった銀行株ポジションを持ち、サヤが縮まった所で決済を繰り返していく事を続けると長期的な目線で収益がプラスになる率は非常に高いです。
銀行ETF(銀行株の平均)と個別の銀行株のサヤ取りのように「ETF✕個別銘柄」の利点は、「ETF✕ETF」のサヤ取りよりも、利益確定までの期間が比較的早いことがあげられます。
また、片側がETFのため、個別株✕個別株よりもニュースで大きくブレるリスクが少ないという利点があります。
王道の組み合わせはやはり日経✕ダウ
最近報告をトレードをサボり気味でしたが再開です。
ダウと日経225ペアのETFでサヤ取りです。このペアの相関は相当なものなので、中長期で戦略的にナンピンをいれていく予定です。#先出しトレード pic.twitter.com/OlD3R9rNwd
— YUKI(株サヤ取り&バイナリーオプション自動売買) (@fxealabo_yuki) November 17, 2020
ETF同士の取引として王道はやはり日経とダウの相関です。この両者は過去数年間相関を大きく崩さずに一定の距離を保っております。
日米の経済は密接に繋がっておりますので、いきなり相関が崩れるということはなかなかありません。
ただし、大きな利益を狙えるものではないということと、基本的には長期トレードになりますので注意が必要です。
また、ETFにたまにあるのが決算シーズンで配当落ちで売建てポジションで配当を払わされたりして思わぬコストが掛かったりすることもあるのは注意が必要です。
ETFをもう少し知りたい人はこの本を読めば大丈夫
ETFや投資信託に関しては種類が多く細かいルールなどもありますので、もう少し深く理解しておきたい人はETF書籍の書籍をおすすめします。
ETF関連の書籍は非常に多くの種類があり値段も結構しますが、基本的にサヤ取りを行う場合はアマゾンでデジタル書籍の読み放題プランであるUnlimitedで読める下記の2冊で十分です。
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