日経225やJPX400などの株価指数
今回お話するのは日経225やJPX400といった株価指数のお話です。
株価指数とは取引所全体の銘柄や特定の銘柄を集めて数値化したものです。
私達は株価指数を見ることで個別銘柄からはわからない景況感や、市場全体のリアルタイムの状態を把握することができます。
株価指数で重要なのは「連続性」で、これを保つために計算方法は単純平均ではなく、銘柄間の価格調整を行うなどの工夫がされています。
たとえば1株→10株といった株式分割が起こった場合、株価は10分の1になりますので、この株価を指数に採用してしまうと実態は変わっていないのに指数が変動してしまうということが起こりますからね。
連続性が保たれているおかげで、先週より「割安」「割高」や、「バブル時期の景気はすごかった」といった判断をすることができます。
それでは具体的な計算方法なども踏まえて日経225とJPX400の違いをご紹介していきますね。
エリート企業が集まった日経平均株価(日経225)
株式市場でもっとも利用されている株価指数は日経平均株価(日経225)です。
日本を代表する企業で構成されており、日本経済新聞社が東証一部銘柄の中から225企業を抽出して株価を平均したものです。
225という数値に特別な意味はなく、売買高の多い銘柄を全業種からバランス重視で選んだ結果、225銘柄になったということです。
採用銘柄は固定ではなく、毎年9月6日に日経新聞社から発表され、10月の第1営業日に変更されます。
日経225の計算方法
225銘柄の株価の合計 ÷ 24.917
実は日経225、単純に225銘柄の平均を出したものではないんです。
個別企業の株式を見ると長い期間中に分割されたり併合されたりと変化しています。それを単純に株価÷銘柄数で割ってしまいますと市場の景況感を表す正確な数値をだすことができません。
そこで、「除数の修正」と「みなし額面の調整」によって株価の連続性を保っています。
除数の修正
株式分割や株式併合された株価を日経225で利用するためには除数の修正を行います。
たとえば株式分割で1株を2株に分割すると、そこで株価は半分になってしまいます。その株価をそのまま日経225に採用してしまうと計算に大きなズレが発生しますので、過去に1株を2株にした銘柄はその株価を2倍して計算します。
もちろんその逆で2株を1株に株式併合した銘柄は1/2にして計算です。
この除数の修正を日経225銘柄で繰り返していくうちに、現在の日経225の除数は24.917となっています。
日経平均株価指数を開始した当初はもちろん225で割っていましたが大分小さくなってしまいましたね。
みなし額面の修正
みなし額面は、各銘柄の影響力を平均化するために調整しているものです。
今はありませんが、昔は「額面」という、「会社が設立されときに発行した株式の値段」がありました。この価格は昔の会社だと50円が多く、新しい会社は50000円の額面が一般的です。
そしてこの額面ですが、連続性を保つのが大切な株価指数にとっては少々厄介な存在なんです。
額面の価格というのは現在の株価のベースになっています。50円スタートと50000円スタートでは最初から株価に大きな差がありますし、株の値動きも、もともと50円の株が1000円になったのと、50000円が1000円になったのとでは意味合いがまったく変わります。
その辺りを修正せずに計算してしまったら、当然額面50000円の影響力が大きくなってしまいますね。
そこで日経225では、計算上は50000円の額面を50円に統一して計算します。額面50000円の銘柄は株価を1000分の1にして計算するということです。
これがみなし額面の修正です。
日経225には問題点も・・
日経225は連続性を保つために株価の修正はしますが、単純に225銘柄の平均なので、株価の高い「値がさ株」の影響を強く受けます。
特にユニクロで有名なファーストリテイリング社だけで全体の値動きの8%も影響します。
そのため海外ファンドなどの投機マネーがファーストリテイリングにはいり、意図的に日経225の上昇をつくることもできてしまいます。
また、KDDI・ファナック・ソフトバンクグループ・京セラをいれると全体の20%の値動きに影響するため、日経225と実態経済の乖離があり、そのため海外では東証株価指数(TOPIX)を重視する傾向があります。
※東証株価指数(TOPIX)は東証一部の全銘柄を対象とした指数で、1968年1月4日を基準日の「100」として、2020年6月16日の時点では「1589」となっています。
日経225の過去最高値と最安値
日経225の過去最高値は1989年12月29日の終値で3万8915円87銭です。
この年は政府の財政政策と日銀の低金利政策で好景気が起こっており、この1年で株価が8750円も上昇しました。バブル経済というやつですね。
逆に日経225の過去最低値ですが、これは2008年10月28日リーマン・ショック時の「6994円90銭」です。
前年のサブプライムの暴落の余韻がまだあり、市場は下げることに多少慣れてはいましたが、一旦2008年3月に底らしい動きをみせて反発してからの、6月~10月の5ヶ月で14000円台から7000円台までの落ちは誰もついて行けない相場でした。
資本を有効活用している企業が集まるJPX400
JPX400は、JPX(証券取引所グループ)と日本経済新聞社が、2014年から公表を始めた株価指数です。
特徴としては日経225のように単純に平均を取ったものではなく、過去3期以内に赤字を出していなかったり、株主資本利益率が魅力的な値だったりの基準を満たす「投資家にとって投資魅力の高い400社」で構成されています。
比較として、JPX400採用銘柄の3年平均ROE(自己資本利益率)は12.5%であり、東証一部の平均8.2%を大きく上回っています。
また、GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)が運用指標として使っていたり、日銀がJPX400に連動するETFを買い入れしていることから、新しい指標ながら十分に認知されていると言って良いでしょう。
銘柄入れ替えは年に1回、8月に行われます。年の途中に上場廃止銘柄がでてもそのつど補充はせずに、8月の定期入れ替えで補充されます。
JPX400の算定方法
JPX400の算定方法ですが、まず東証一部と二部、マザーズにJASDAQから、次の適正基準を満たしていない企業をふるいにかけます。
「上場後3年未満」「過去3期で債務超過がある」「過去3期が赤字」
「整理銘柄に該当」した企業
そして直近3年間の売買代金と時価総額をみて市場流動性を満たしていないものも外します。
その後、残った銘柄を次の3項目でスコアリングします。
3年平均ROE:40%
3年累積営業利益:40%
選定基準日時点における時価総額:20%
さらに、次のコーポレートガバナンスなどに関する評価を加えます。
独立した社外取締役の選任(2人以上)
IFRS採用(ピュアIFRSを想定)または採用を決定。
決算情報英文資料のTDnet(英文資料配信サービス)を通じた開示
JPXの弱点
JPX400構成銘柄の成績はよくTOPIX(東証1部上場の全銘柄が対象の指数)や日経225と比較されます。
実際のところは日経225にちょっと負けてTOPIXとそこまで変わらないというのが現状でしょうか。
なぜ将来性のある銘柄で構成しているJPX400がTOPIXと比べてそこまで変わらないのか?
これは銘柄選考の時に過去三年間のROEや営業利益などが参考にされるのですが、JPX400に採用されるほど良い成績を上げているということは、株価はその三年間で上がりきっているということで、採用時には上値余地がすでに無くなっている場合があり、好成績が出せないという理由があります。
また、業績によって入れ替えがされるのですが、選定の基準が読みやすく、証券会社などの予想はかなりの率で当たるため、8月の銘柄入れ替えの時期が近くなると不採用銘柄と採用銘柄の株価が激しく動きます。
ただし業績が悪いところはどんどん退場させられるので企業努力を焚きつける役目としてはしっかり機能しているかと思います。
日経225とJPX400を重複している銘柄
日経225は東証一部銘柄、JPX400もその9割以上は東証一部銘柄で構成されていますので、当然2つの指数を重複している銘柄が存在します。
このような銘柄は流動性が高く、特に一つの銘柄に絞ってひたすら売買する「うねり取り」などの手法をおこなっている人たちは、重複銘柄を主戦場にする方が多いです。
実際、サヤ取りのBLSシステムの場合ですと重複している銘柄ペアは異常値がでてもすぐに戻る傾向があり、重複銘柄に絞ってトレードするのは有効だと考えられます。
ただし、銘柄入れ替えの8月には各証券会社からJPX400入れ替え予想がバシバシでるので、値動きには注意しておかなければいけませんよ。
日経225とJPX重複銘柄一覧(2020年9月時点)
(株)IHI | 7013 | (株)あおぞら銀行 | 8304 |
旭化成(株) | 3407 | アサヒグループHD(株) | 2502 |
(株)アドバンテスト | 6857 | アルプスアルパイン(株) | 6770 |
味の素(株) | 2802 | アステラス製薬(株) | 4503 |
(株)アマダ | 6113 | ||
イオン(株) | 8267 | いすゞ自動車(株) | 7202 |
出光興産(株) | 5019 | 伊藤忠商事(株) | 8001 |
宇部興産(株) | 4208 | エーザイ(株) | 4523 |
AGC(株) | 5201 | ANA HD(株) | 9202 |
(株)NTTデータ | 9613 | (株)NTTドコモ | 9437 |
ENEOS HD(株) | 5020 | MS&ADインシュアランスGHD(株) | 8725 |
エムスリー(株) | 2413 | 王子HD(株) | 3861 |
大塚HD(株) | 4578 | (株)大林組 | 1802 |
小田急電鉄(株) | 9007 | オムロン(株) | 6645 |
オリンパス(株) | 7733 | ||
花王(株) | 4452 | カシオ計算機(株) | 6952 |
鹿島建設(株) | 1812 | 関西電力 | 9503 |
キッコーマン(株) | 2801 | キヤノン(株) | 7751 |
京セラ(株) | 6971 | 協和キリン(株) | 4151 |
キリンHD(株) | 2503 | ||
(株)クボタ | 6326 | (株)クラレ | 3405 |
京成電鉄 | 9009 | 京王電鉄(株) | 9008 |
KDDI(株) | 9433 | 国際石油開発帝石 | 1605 |
コナミHD(株) | 9766 | コニカミノルタ(株) | 4902 |
(株)小松製作所 | 6301 | コムシスHD(株) | 1721 |
(株)コンコルディア・FG | 7186 | (株)サイバーエージェント | 4751 |
(株)SUMCO | 3436 | JFE HD(株) | 5411 |
(株)ジェイテクト | 6473 | J.フロントリテイリング(株) | 3086 |
塩野義製薬(株) | 4507 | (株)資生堂 | 4911 |
清水建設(株) | 1803 | 昭和電工(株) | 4004 |
信越化学工業(株) | 4063 | (株)新生銀行 | 8303 |
(株)SCREEN HD | 7735 | スズキ(株) | 7269 |
(株)SUBARU | 7270 | 住友化学(株) | 4005 |
住友金属鉱山(株) | 5713 | 住友重機械工業(株) | 6302 |
住友商事(株) | 8053 | 住友電気工業(株) | 5802 |
住友不動産(株) | 8830 | セイコーエプソン(株) | 6724 |
積水ハウス(株) | 1928 | セコム(株) | 9735 |
(株)セブン&アイ・HD | 3382 | 双日(株) | 2768 |
ソニー(株) | 6758 | ソフトバンクグループ(株) | 9984 |
SOMPO HD(株) | 8630 | 第一三共(株) | 4568 |
第一生命HD(株) | 8750 | ダイキン工業(株) | 6367 |
大成建設(株) | 1801 | 大日本住友製薬(株) | 4506 |
太平洋セメント(株) | 5233 | 太陽誘電(株) | 6976 |
大和ハウス工業(株) | 1925 | (株)大和証券グループ本社 | 8601 |
武田薬品工業(株) | 4502 | (株)千葉銀行 | 8331 |
中外製薬(株) | 4519 | 中部電力(株) | 9502 |
(株)T&D HD | 8795 | (株)ディー・エヌ・エー | 2432 |
帝人(株) | 3401 | テルモ(株) | 4543 |
デンカ(株) | 4061 | (株)デンソー | 6902 |
(株)電通グループ | 4324 | 東海カーボン(株) | 5301 |
東海旅客鉄道(株) | 9022 | 東急不動産HD(株) | 3289 |
東京エレクトロン(株) | 8035 | 東京海上HD(株) | 8766 |
東ソー(株) | 4042 | 東武鉄道(株) | 9001 |
東宝(株) | 9602 | 東レ(株) | 3402 |
TOTO(株) | 5332 | 東京建物(株) | 8804 |
DOWA HD(株) | 5714 | (株)トクヤマ | 4043 |
トヨタ自動車(株) | 7203 | 豊田通商(株) | 8015 |
トレンドマイクロ(株) | 4704 | (株)ニコン | 7731 |
西日本旅客鉄道(株) | 9021 | (株)ニチレイ | 2871 |
日産化学(株) | 4021 | 日東電工(株) | 6988 |
日本軽金属HD(株) | 5703 | (株)日本取引所グループ | 8697 |
日本水産(株) | 1332 | 日本精工(株) | 6471 |
日本たばこ産業(株) | 2914 | 日本通運(株) | 9062 |
日本電気(株) | 6701 | 日本電信電話(株) | 9432 |
日本ハム(株) | 2282 | ||
野村HD(株) | 8604 | (株)長谷工コーポレーション | 1808 |
パナソニック(株) | 6752 | (株) バンダイナムコHD | 7832 |
東日本旅客鉄道(株) | 9020 | 日立建機(株) | 6305 |
(株)日立製作所 | 6501 | 日野自動車(株) | 7205 |
(株)ファーストリテイリング | 9983 | ファナック(株) | 6954 |
(株)ファミリーマート | 8028 | 富士通(株) | 6702 |
富士電機(株) | 6504 | (株)ブリヂストン | 5108 |
古河電気工業(株) | 5801 | 本田技研工業(株) | 7267 |
松井証券(株) | 8628 | マツダ(株) | 7261 |
(株)丸井グループ | 8252 | マルハニチロ(株) | 1333 |
丸紅(株) | 8002 | (株)みずほFG | 8411 |
(株)三井E&S HD | 7003 | 三井化学(株) | 4183 |
三井住友トラスト・HD(株) | 8309 | (株)三井住友FG | 8316 |
三井物産(株) | 8031 | 三井不動産(株) | 8801 |
(株)三菱ケミカルHD | 4188 | 三菱重工業(株) | 7011 |
三菱商事(株) | 8058 | 三菱地所(株) | 8802 |
三菱電機(株) | 6503 | (株)三菱UFJ FG | 8306 |
ミネベアミツミ(株) | 6479 | 明治HD(株) | 2269 |
(株)安川電機 | 6506 | ヤマトHD(株) | 9064 |
ヤマハ(株) | 7951 | ヤマハ発動機(株) | 7272 |
横河電機(株) | 6841 | 横浜ゴム(株) | 5101 |
(株)リクルートHD | 6098 | (株)りそなHD | 8308 |