信用二階建てとは?
信用取引口座は皆さん作られてますか?今回は「信用取引はやらない!」「現物株のみで勝負!」という方には関係のない話でございます。
信用取引では委託保証金を差し出してレバレッジをかけて、株の場合ですと約3.3倍もの取引が可能になります。
為替の世界なんかを見ると、国内のFX業者では25倍、海外なら100倍までレバレッジをかけられるところもたくさんありますね。
さて、株のレバレッジ3.3倍ですが、FXと比べてしまうとちょっと見劣りしてしまいますね?このレバレッジの少なさに希望が持てずに株よりFXを選ぶ方も多いんです。
そして今回のお話の信用二階建てですが、そんな株のレバレッジの低さを補うために行われる手法で、やり方としては・・・
1,A社の現物株を購入する
2,A社の現物株を信用取引の担保にしてA社の株を信用取引でさらに買い増す
(※現物株を担保にする場合は、通常掛け目80%で計算されます。100万円の現物株だったら80万円が担保として有効)
信用二階建ては何が危険?
信用二階建てですが、ベースが担保に差し出した現物株、その上に信用取引が乗っかってくるので二階建てと呼ばれるんですね。
現物株を担保にしていますので建前として、株の価格が上がることを前提に証券会社が受け入れるという仕組みです。ですので、一部証券会社では下がる前提の空売りは信用二階建てができない会社もあります。
さて、この信用二階建てですが、取引方法として危険だということで証券会社からは良く警告がだされていますが、いったい何が危険かと言いますと「信用取引分と現物株の価値がダブルで下落する」という部分に尽きます。
相場の下落局面で評価損が増えるスピードが早いのは当然として、担保の現物株の価値も下がるので維持率が悪化して追証が発生することにも繋がります。
信用二階建て制限
多くの証券会社では信用二階建てをリスクの高い取引として認識していますので、証券会社ごとに独自の制限を設けていることが多いです。
例えばよくある制限が、「担保に差し出す現物株が時価換算で担保総額の50%超を占める」場合に、担保の銘柄と同じ銘柄の新規買建ができなかったりします。
上の図ですと、現物株である銘柄Aを担保にした場合、現金と合わせた担保総額の50%を超える場合は銘柄Aの新規注文はできなくなるといった制限がかかることが多いです。
信用二階建ての実行方法
それでは実際に信用二階建てのシュミレーションをしてみましょう。
ここではカオチャイさんが手数料が安いSBIネオトレード証券で4755楽天株を信用二階建てするという例でお話します。
4755楽天の株価が1000円の時、軍資金100万円を持つカオチャイさんが現物で1000株購入しました。そしてこの購入した楽天の現物株1000株を担保にして二階建ての信用取引で購入することにします。
SBIネオトレード証券では現物株の価値を8掛けで評価しますので・・・
そして信用取引は委託保証金30%が必要ですので、80万円を担保にすると約260万円分の信用取引が可能ですので、キリの良い2500株を追加で購入しました。
株価が値下がると損失が大きい
カオチャイさんは信用二階建てのおかげで、軍資金100万円なのに350万円分の楽天株を持っています。ですので、株価が上昇した場合に大きく利益を得ることができます。
しかし株価が値下がりした場合はどうなるのでしょう?
例えば楽天株が800円になった場合、担保として預けている現物株の価値は・・
この場合、信用取引で持っている建玉2500株分(200万円)×保証金最低維持率20%=40万円を下回っています。
SBIネオトレード証券は保証金維持率が20%を切ると追証が発生しますので、期限内に保証金の入金が必要になってしまいました・・・
信用二階建てで怖いのはストップ安
上記のケースではひとまず追証で済みますのでまだやり直しがききます。しかし信用二階建てが本当に怖いのは大きな暴落がおこり値幅制限がかかった時です。
例えばですが、もし楽天が粉飾決算などを行っていた事が発覚した場合は暴落して2~3日値段がつかないなんてことが起こります。
先程の例で楽天株800円時からの下落で2日間ストップ安になったとして話を進めますと、値幅制限内で初日は800円から650円へ下落、次の日に650円から550円への下落が起こります。この期間は損切りしたくても買い手がいないので指をくわえて見ているしかありません。
550円でようやく買い手が出てきて注文が通り始めますが、この時持っている信用取引分の株は(1000円-550円)×2500株=112万5000円の損失が発生、現物で所有している分は550円×1000株×80%で44万円分の担保にしかなりません。
信用二階建てはこのようにストップ安が起こると一気に追い込まれてしまうので、過去の暴落でもたくさんの人が退場することになっています。
成功しても地獄。信用二階建てはおすすめできない
信用二階建てはインサイダー情報でも手に入れて確実に上がるのがわかっているくらいでないとおすすめしません。
昔は大口が価格をコントロールして値段を釣り上げる仕手株が散見していて、そこへ信用二階建てで飛び乗って大儲けした人たちもいましたが、現在は規制が厳しくなりそのような株はめったに出てこなくなりました。
基本的に信用二階建ては丁半博打のギャンブルです。買ったら2倍、負けたら0とゲームと大して変わりません。
たとえ成功したとしても、株式投資というものは損失を受け入れながら長期的に勝ち続けなければいけないもので、毎回信用二階建て前提で取引を始めるとそれはもうただのギャンブルと化してしまい、長期的に見ると必ずどこかで負けることになり割りに合わない戦略ですので、皆さんは手を出さないようにして下さいね。