複利ってなあに?
相対性理論で有名なアインシュタインが「人類史上最大の発見」と言ったのが複利運用です。
ルカ・パチョーリというイタリアの数学者が15世紀に「スムマ」という数学全集の中で商業における複式簿記を体系的に紹介しているのですが、その中で複利計算の公式である72の法則を紹介したのが初めてと言われています。
複利は運用において、元本だけではなく利息に対しても利息がつくということなのですが、低金利が定着した日本ではイメージがつきにくく、意識して使っている人は少ない印象です。
単利運用と複利運用の違い
複利が元本と利息に利息がつくものに対して、単利は元本にのみ利息が付くことですが、資産運用する場合の単利か複利の違いを説明しますと・・
単利は投資額(元手)は一定です。出た利益には手を付けません。
複利は利益がでたらそれを再投資して、投資額(元手)をどんどん増やしていく考え方です。
例えば元手が100万円で年10%を10年間単利で運用しますと・・・
年数 | 元手 | 年数 | 元手 |
1年 | 1100000円 | 6年 | 1600000円 |
2年 | 1200000円 | 7年 | 1700000円 |
3年 | 1300000円 | 8年 | 1800000円 |
4年 | 1400000円 | 9年 | 1900000円 |
5年 | 1500000円 | 10年 | 2000000円 |
次に同じく元手が100万円で年10%を10年間複利で計算してみますと・・
年数 | 元手 | 年数 | 元手 |
1年 | 1100000円 | 6年 | 1771561円 |
2年 | 1210000円 | 7年 | 1948717円 |
3年 | 1331000円 | 8年 | 2143588円 |
4年 | 1464100円 | 9年 | 2357947円 |
5年 | 1610510円 | 10年 | 2593742円 |
さらに、投資をする人は毎月多少なりとも貯金ができる方が多いかと思います。そこで、100万円の元本に毎月5万円ずつ積立して、年間10%の利益をだしますと・・
色々なところで紹介されている複利効果ですが、実際に計算してみるとその凄まじさはおわかりいただけたかと思います。
複利の計算方法
複利の計算ですが、例えば100万円を元手に年利8%で10年間運用する場合を下記の式に当てはめてみます。
資産の量 = M(1 + I)N
M=元本 I=年間の金利 N=投資年数
1年後: 100万 × (1 + 0.08)^1 = 108万円
2年後: 100万 × (1 + 0.08)^2 = 116万6400円
:
10年後: 100万 × (1 + 0.08)^10 = 215万8924円
複利で2倍になる年数の簡単な計算方法
複利の簡単な計算方法に、さきほど少しご紹介しました72の法則というものがあります。これは投資を始めてから元手が2倍になる年数がすぐに分かる法則です。
やり方はとても簡単で、「72」を年利で割るだけです。例えば年利10%の場合・・・
72÷10(%)=7.2年
とっても簡単なので、覚えておきましょう。
複利効果で運用すれば資産は雪だるま式に増える
複利の凄さはだいたいおわかりいただけたかと思いますので、ここからは現実的なお話をさせていただきます。
投資の神様ウォーレン・バフェットは資産運用に関して、「ルールその1: 絶対に損をするな。 ルールその2: 絶対にルール1を忘れるな。」という名言を残していますが、これは複利効果を最大限に利用しているバフェットならではの言葉です。
さて、ここでひとつ疑問が生まれます。バフェットの言う「損をしない」なんてことは投資をしていく中で可能なのでしょうか?
日経平均の騰落率を見てみると・・
複利の計算方法はすでにお話しましたが、前提として安定して年○%の利益を得ることが前提となっています。マイナスになることは前提条項にはいっておりません。
しかし実際に運用を行ってみるとほとんどの方がコツコツ増えてドカンと損をするパターンが多いのです。
年度 | 騰落率 |
2011年 | -17% |
2012年 | 22% |
2013年 | 56% |
2014年 | 7% |
2015年 | 9% |
2016年 | 0.4% |
2017年 | 19% |
2018年 | -12% |
2019年 | 18% |
2020年 | -1% |
上記は2011年からの日経平均10年分の騰落率ですが、この期間は非常に安定して上昇した期間でありながらもブレ幅が非常に大きいことが分かるかと思います。
株やFXの世界ですが、8割~9割が負けると言われています。資産がマイナスになってしまったなんて話はよく聞きますよね。
残念ながら投資成績がマイナスの場合、複利で利益を再投資しても何のメリットもありません。利益を再投資している分、資産の減るスピードが早くなるだけです。
複利効果が得られる確率が高いインデックス投資
上記はアメリカの格付け会社(スタンダード&プアーズ)が選んだ500企業銘柄の平均を表したものです。S&P500と呼ばれている有名な指標でここ何十年と右肩上がりで、コロナ暴落のときには大きくぶれましたが、現在は上昇の勢いはもどっています。
このS&Pに連動した投信やETFが数多く販売されておりますので、多くの投資家から安定した運用方法として認知されており、実際に利益もあげています。
長期投資で資産の増え方はゆっくりになりますが、複利効果がきちんと見込める数少ない投資先といえるでしょう。
資産運用中に大きなマイナスが無い株のサヤ取り
次にご紹介する複利効果が安定して見込める運用方法に株のサヤ取りがあります。
上記は2020年3月の日足でコロナウィルス関連のニュースが世界を飛び交い暴落が起こっています。Twitterを覗きますとかなりの人がこの暴落で退場した模様。
しかし株のサヤ取りで抽出した銘柄のポジションを見てみますと・・・
どうでしょうか?サヤ取りは相関のある銘柄を売りと買いで両建てしますので、コロナ暴落の規模でもびくともしません。
買いでもっているSOMPO600株は-405900円ですが、相方の東京海上600株は+399799円で、合計-6101円と若干のマイナスですが、平時の動きとほぼ変わりません。
あくまで相関のある2つの銘柄の価格が離れた時にポジションを持って、価格の差が収縮するのを待つだけの手法ですので、本来の2銘柄の価格に戻れば自然と利益がでます。
突発的な暴落の影響を完全に無効化することができるサヤ取りならば、絵に描いた餅と言われる複利効果を現実的に考えることができます。
このサヤ取り手法は仕組みがややこしく、銘柄の抽出も従来の方法では難しかったために運用方法では不人気ですが、BLSシステムを使うことによって、プロでなくとも実践で利用できる手法へと昇華しました。
サヤ取りと複利の組み合わせは、S&P500への投資よりもよりも少しリスクがとれて早く資産を増やしたい方向けの投資方法です。