NISAとは?
NISAの正式名称は「少額投資非課税制度」といい、名前の通り少額の投資の税金を免除してくれる大変オトクな制度なんです。
20歳以上でしたらどなたでも証券会社や銀行などにNISA口座を開設することで利用できます。
期間は2014年から2023年までの限定(伸びる可能性あり)ではありますが、毎年120万円までの投資に対しての利益や配当金に最長で5年間税金がかかりません。
例えば、100万円をNISA口座にいれてソフトバンクの株を購入したとします。その後ソフトバンクの株が上がって、100万円が130万円になった場合、通常ですと利益の30万円に約20%の税金がかかりますので、6万円ほど納めなければいけません。
しかしNISA口座ならば120万円までの投資には非課税なので30万円がまるまる懐に入り、さらに確定申告なども必要がないというすばらしい制度なのです。
なぜNISAが始まった?
NISAが創設された大きな理由としては、日本の金融資産の多さにあります。2020年3月時点で、家計がもつ株や現金などの金融資産はなんと1903兆円。
ここ最近日本の貯蓄率は日本の低成長が原因で先進国でもかなり低いですが、高齢者が溜め込んでいる資産は相当なのです。
そしてNISAが始まった理由は色々言われていますが、一番の本音は経済の活性化のために、この動いていないお金を動かしたいからです。
日本の金融資産1903兆円のうち、株式等はわずか211兆円。1995年を1として基準にした場合、アメリカは3.11倍に対して日本は半分の1.47倍なんです。
家や銀行でお金を眠らせたままなので経済が回転しないんですね。そこで政府はこのNISAという制度で眠っている資金を掘り起こそうと必死なんですね。
NISA口座の開き方は?
証券会社 銀行 投信会社 郵便局
農協 信用金庫 生命保険会社 信用組合
NISAの非課税の恩恵を受けるためには専用のNISA口座を解説する必要があります。こちらのページにいらしてくれた方の多くは株取引が目的だと思いますので、ほとんどの方は証券会社でNISA口座を開きますね。
申込みは各証券会社によって変わりますが、口座開設申請書類の中にNISA枠がありますし、口座開設後もHP上からNISA口座の開設は可能です。
しかしNISA口座を開設するにあたって一点気をつけなければいけないのは、NISA口座は「一人一つしか持てない」ということです。
そのため、NISA口座を開設した後に口座を重複して持っていることが発覚しますと、NISA口座で買い付け済の株式は一般口座に移されてしまいます。
ですのでどこの証券会社にNISA口座を開くかというのも重要なのです。
NISAで税金が免除されるのは株だけ?
なお、NISA口座で購入した株の配当金やETFなどの分配金は、受け取り方式を「株式数比例配分方式」に指定しないと非課税にはならないので注意が必要です。
損益通算ができないデメリットに注意
NISA口座の最大の弱点は、通常の口座(特定口座や一般口座)との損益通算ができないということです。これがどういうデメリットかと言いますと・・・
例えば特定口座で50万円の利益が出た場合、税金は約20%の10万円取られてしまいます。しかしNISA以外の口座で損失50万円を出していた場合は、損益通算をして±0円ということで税金はかかりません。
しかしこの時に、NISA口座で50万円の損失を出した場合は、利益と相殺して±0円にするということができないのです。
つまり利益は±0円なのに、50万円にかかる税金10万円がまるまる取られてしまうのです。
また、通常の口座ですと損失は確定申告をすることで3年間は繰越が可能ですが、NIS口座では売買損失はないものとされてしまいますので、この繰越控除もできないんです。
NISA非課税期間終了時には注意
NISA口座の非課税期間は5年間の期限があります。
では5年間を過ぎたらどうすればよいかと言いますと、次の3つの方法があります。
・株式を売却する
この場合の利益は全額非課税となります。
・課税口座へ移管する
5年を超えて保有を続けたい場合は、同じ証券会社内の特定口座か一般口座に移すことができます。しかし移した後に売却すると税金がかかります。ですので株の移管は、そんなに利益がでていないNISAを持ったままにしたいけれども、翌年の非課税枠で別の株式を購入したいという人向けの方法です。
・ロールオーバーする
NISAの非課税期間終了が近い時に含み損を抱えているが、将来的に含み損が解消される株を持っている場合はロールオーバーを選択します。
ロールオーバーは所定の手続きと、翌年のNISA非課税枠を消費する代わりに、5年間の非課税期間が終了する商品を、最長で5年間まで延長できる方法です。
ただしNISA口座を開いている金融機関によってはロールオーバーの期限が11月というところもあるので早めの申込が必要です。
つみたてNISA(積立NISA)とは?
つみたてNISAは長期で少額の投資向けに設計された非課税制度です。2018年からのスターですのでまだまだ知らない人も多くいらっしゃいます。
つみたてNISAの大きな特徴として、投資可能期間が2018年~2037年とNISAよりも長く設定されていますが、非課税枠がNISA口座は毎年120万円までに対して、つみたてNISAは毎年40万円が上限と少し物足りないです。(未使用分の繰越も不可)
そしてもう一つの大きな特徴が、非課税対象がNISAよりも絞られており、手数料が安く、安定して利益が見込めるコストの安い投資信託やETFに限られています。
これは投資初心者でも損を出さないように安全に設計されているということですね。
NISA口座とつみたてNISAは同時に開設できない
つみたてNISAは証券会社に申込時に普通のNISAかつみたてNISAのどちらかを選ぶことになります。
運用される方の本音としてはNISAとつみたてNISAを両方を活用して節税したいところですが、残念な事にNISA口座とつみたてNISAはどちらか一つしか選ぶことができないのです。(年単位でどちらかに変更可)
また、つみたてNISA口座を解説した金融機関の変更は可能ですが、その年の9月末までに金融機関での変更手続きをしなければいけません。
損益通算や損失繰越もNISA口座と同じくできないところも注意が必要です。
NISAとつみたてNISAはどちらがおすすめ?
NISAとつみたてNISAの大きな違いは、まず年間の非課税枠がNISAは120万円(5年で最大600万円)、つみたてNISAが40万円(20年で最大800万円)と3倍の開きがあります。
最大非課税枠はつみたてNISAが多いですが、年間120万円以上を投資に回している人ならば、迷わずNISA口座を選ぶべきです。
ただし、つみたてNISAの目的はあくまで「安定した長期投資」です。つみたてNISAで購入できる非課税対象の商品は殆どが投資信託で、200種類に満たないですが、それらはかなり安全な商品が選ばれており、月に3万円程度の貯金をしたい人にはぴったりの資産運用方法でもあります。
つまり同列の商品として考えるのではなく、投資経験がそれなりにあり、売買利益を狙う人はNISAを、投資経験がなく貯蓄感覚で運用したい人はつみたてNISAをそれぞれ選べばよろしいかと思います。