FRB(Federal Reserve Board、連邦準備制度理事会)は、アメリカ合衆国の中央銀行制度である連邦準備制度(Federal Reserve System)の中核を成す機関です。以下にFRBについて詳しく説明します。
目次
FRBの概要
1. 設立と目的
- 設立:FRBは1913年に設立されました。設立の目的は、金融システムの安定性を確保し、経済成長を促進することです。
- 目的:FRBの主な目的は、物価の安定、最大限の雇用の促進、長期的な金利の適正化です。
2. 構成
- 理事会:FRBは7人の理事から構成され、理事は大統領によって任命され、上院の承認を受けます。理事の任期は14年です。
- 地区連邦準備銀行:全米に12の地区連邦準備銀行があり、それぞれが地域の金融機関を監督・規制しています。
FRBの役割と機能
1. 金融政策の運営
- 金利の調整:FRBは、連邦公開市場委員会(FOMC)を通じて政策金利を設定し、経済活動を調整します。これには、フェデラルファンド金利(短期金利)の目標値の設定が含まれます。
- オープンマーケット操作:FRBは、国債やその他の証券を売買することで、市場の流動性を調整します。
2. 銀行監督と規制
- 金融機関の監督:FRBは、全米の商業銀行やその他の金融機関を監督し、健全な運営を確保します。
- 金融システムの安定:FRBは、システム全体の安定性を維持するための規制を制定し、金融危機の予防に努めます。
3. 支払いシステムの管理
- 決済システムの運営:FRBは、米国の金融システムの決済インフラを提供し、効率的かつ安全な資金移動を支援します。
4. 経済調査とデータ提供
- 経済分析:FRBは、経済の動向を分析し、政策決定の基礎となるデータを提供します。
- データ公開:FRBは、経済データや金融統計を公開し、透明性を確保します。
FRBの政策手段
1. 金融政策
- 利上げ・利下げ:FRBは、インフレ率や失業率の動向に応じて政策金利を調整します。利上げはインフレ抑制、利下げは経済刺激を目的とします。
- 量的緩和(QE):FRBは、金融危機や経済不況時に、国債やモーゲージ担保証券(MBS)の大量購入を通じて市場に資金を供給します。
2. マクロプルーデンス政策
- システミックリスクの管理:FRBは、金融システム全体のリスクを監視し、システミックリスクを軽減するための規制を実施します。
最近の動向とニュース
1. インフレ対策
- 利上げ:2022年以降、FRBはインフレ率の上昇を抑えるために複数回の利上げを実施しました。これにより、経済活動の過熱を防ぎ、物価の安定を図っています。
2. コロナウイルス対応
- 緊急措置:新型コロナウイルスのパンデミックに対応して、FRBは緊急利下げや量的緩和を実施し、経済の安定化を図りました。また、企業や個人向けの融資プログラムを導入し、資金繰りを支援しました。
3. デジタル通貨の検討
- CBDC(中央銀行デジタル通貨):FRBは、デジタルドルの導入可能性を検討しています。これは、金融システムの革新と効率化を目指す取り組みの一環です。
FRBは、アメリカの金融システムの安定と経済成長を支える重要な機関であり、その政策は国内外の経済に大きな影響を及ぼします。
歴代のFRB議長
- チャールズ・S・ハムリン (1914-1916)
- ウィリアム・P・G・ハーディング (1916-1922)
- ダニエル・R・クリッシンジャー (1923-1927)
- ロイ・A・ヤング (1927-1930)
- ユージン・メイヤー (1930-1933)
- ユージン・R・ブラック (1933-1934)
- マリナー・S・エクルズ (1934-1948)
- トマス・B・マッケイブ (1948-1951)
- ウィリアム・M・マーティン (1951-1970)
- アーサー・F・バーンズ (1970-1978)
- G・ウィリアム・ミラー (1978-1979)
- ポール・A・ボルカー (1979-1987)
- アラン・グリーンスパン (1987-2006)
- ベン・S・バーナンキ (2006-2014)
- ジャネット・L・イエレン (2014-2018)
- ジェローム・H・パウエル (2018-現在)