委託保証金維持率とは?
まず委託保証金ですが、信用取引の担保として証券会社にあずけるお金のことです。委託保証金の3.3倍までを証券会社が肩代わりしてくれて自己資金よりも大きい額の資産運用を行うことができます。
そして委託保証金維持率ですが、こちらは株の約定代金に対する委託保証金の割合です。
例えば株ラボでおすすめしていますSBIネオトレード証券ですと、委託保証金維持率が20%ラインを下回ると追証が発生します。(この追証が発生するラインのことを最低委託保証金維持率といいます)
委託保証金維持率 =(委託保証金 – 含み損)÷ 約定代金×100
ちなみに上記の式から初心者が注意するべきは、委託保証金は含み損が出れば減ってしまうということです。
突発的なニュースにはどのように対応する?
どの様な手法も用いても突発的なポジティブ&ネガティブニュースには翻弄されるのが投資の世界です。
昨日まで利益がでていたポジションが一夜にして一気にマイナスを抱えるということは投資をやっている人ならば経験があることでしょう。
当サイトでご紹介している資産を守る力が高いサヤ取り手法でも、突発的なニュースは一般的な手法に比べれば耐性があるとは言え、完全には避けられません。
ですので、ある程度取引経験があるトレーダーさんがサヤ取りを行う際には委託保証金維持率は80%以上はキープするのが理想ですが、これとは別に取引の際にあることに気をつければこの様なリスクを高い確率で避けることができます。
ストップ高ストップ安になる銘柄を持たない
「S高S安になる銘柄を持たない」というのは昔から株取引では王道の予防方法です。
S高S安で値がつかずに、予期せぬサヤの動きになる銘柄の多くは流動性が低い銘柄です。
BLSシステムですとマザーズ、ジャスダックの市場が当てはまります。ですので、最初からこのような市場を避けて、日経225に絞って取引をするというのは一つの方法です。
もちろん225銘柄でもストップ高(安)はありますが、低位株に比べれば数日連続で値がつかないなんてことはありませんし、発生率も10%以下です。
ただし、このストップ高ストップ安は損失と利益になるパターンは上下50%ですので、長い目で見ればあまり気にする部分ではないとも言えます。
なお、流動性の低い株に手を出す場合ですが、短期のサヤ取りの場合は、サヤが限界まで開いたところでエントリーすることが多いのですが、その場合、直近ですでに大きなニュースが出ている場合が多いです。
そのような銘柄でしたら突発的なニュースは避けることができるといえるでしょう。
決算日が近い銘柄は避ける
こちらはBLSシステムの銘柄情報にも決算日が表示されるので意識されている方は多いかと思います。
決算が近い銘柄はそこへ向けて一方的な動きをする場合が多く、さらには決算日に予想外の決算内容が飛び出すこともありますので、最初から取引をしないという方法は有効です。
ただしサヤ取りの場合、平時にポジションを持ったとして、しばらく損益がマイナスだった場合、決算日をきっかけにサヤが急に縮みだすというパターンはよくありますので、中長期投資の場合はチャンスの日でもあります。
優待や配当が人気の銘柄は避ける
こちらは突発的な話ではなく、予想が可能な内容です。
企業には投資家を集める目的で魅力的な株主優待や配当を多く分配しているところが少なくありません。
そういった銘柄に関しては、優待などを獲得する事ができる権利付き最終日まで一方的に上がることが多いです。
特にイオン、すかいらーく、オリックス、日清、マクドナルドなどの銘柄が有名ですね。
この値上がりに関してはとにかく「権利がほしい」という個人投資家の願いが詰まっているので、合理的な動きをせずにサヤ取りの限界値を突破することが度々あります。
ですので、優待や配当が人気の銘柄の権利付き最終日には注意が必要です。
委託保証金維持率はいくら位に設定するべき?
サヤ取りは大暴落があったとしても一日で大きな損失はなかなか出にくいです。
そのため通常よりも委託保証金維持率を低くしても大丈夫な手法ではあり、ある程度取引経験のある投資家さんには80%程度のキープを推奨いたしております。
しかしこれはあくまで的確な損切り、ルールの基づいた損切りができる方を対象としておりまして、初心者さんがいきなり委託保証金維持率80%までポジションを持つのは危険ですので、資金管理の考え方をご紹介します。
初心者はまず委託保証金は100%くらいで
評価損益の許容度は人によって違いますが、投資を始めたばかりの人はまず委託保証金維持率は100%程度で取引を行いましょう。
両建てのコストが安いので株ラボでオススメしているSBIネオトレード証券をご利用でしたら、メニューの「余力照会(信用)」から下記のリアル時価の保証金預託率(委託保証金維持率)を見ることができます。
ここはリアルタイムで現在の保証金預託率(委託保証金維持率)を計算してくれています。別項目にも保証金預託率は表記されていますが、こちらのリアル時価のほうが正確です。
100%というのは、もし100万円を口座に入れた場合に、100万円分の株式を持つということです。ペアでしたら一つの銘柄辺り50万円分ということですね。これで100%です。
そして取引に慣れていくと追証維持余力(20%)をみて「100%だと意外と余裕がある」ということにお気づきになるかと思います。
そのあたりを見ながらご自身のちょうどよい数値を見極めていくのがよろしいかと思います。
サヤ取りは暴落時でも一気に損失が膨らむということが少ないので、通常取引よりは余裕があるのです。
世界的な金融緩和のときは委託保証金維持率に注意
実体経済では景気が良くなっている実感がなくても、株価はなぜか上がリ続けている。
こういう経験はある程度のトレード経験がある方でしたらご存知かと思いますが、このような違和感のある時はサヤ取りも注意が必要です。
金余りの時はサヤが一方的に開く
コロナが経済に与える影響が大きいということで、世界中で一斉に金融緩和が行われました。コロナウィルスの影響が鮮明になった2020年4月にアメリカだけで2兆2000億ドルの経済対策費が用意されましたが、その後も3兆ドル規模の対策の話がでるなど、ここ数年で一番大きな規模です。
しかしこのようなお金は庶民の生活に直接は届きません。多くは債券市場や株式市場にまわることになります。
ひとまず未曾有のお金が市場になだれ込んでくるので、もしサヤの限界に位置していてもそこへ大きなお金が入ってくるのがこういう金余りの相場です。
そのため相関が崩れてしまうことがあるんですね。そのため平時よりも委託保証金維持率を20~30%ほど余裕をもたせた資金管理を推奨します。
大口が入った時はサヤが一方的に動く
「大量保有報告制度」というルールをご存知でしょうか?別名5%ルールとも言われるものです。
これは上場企業の発行済み株式の5%を保有した株主は、個人法人関係なく、保有した日から5営業日以内に「大量保有報告書」財務局に提出しなくてはならないというルールです。
この大量保有報告書は株探やヤフーファイナンスなどの株情報サイトで一般投資家も見ることができます。
そしてこの保有報告書ですが、「もともと持っていた大口の比率が0.3%増えた~」程度でしたら良いのですが、「新規で大口がでてきた」時は少し注意が必要です。
流動性の高い株でしたら影響は少ないですが、マザーズやジャスダックの銘柄ですと一方的に株価が進むこともあります。
その場合はもちろん相関がくずれることもありますので資金管理には注意が必要です。