株の基礎知識

総資産利益率(ROA)で資本の使い方が上手な企業を見つけよう

総資産利益率ROAの解説
yuki
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今回は企業の財務状況を測る指標である自己資本利益率(ROE)と合わせて使われることが多い純資産利益率(ROA)のご説明です
カオチャイ
カオチャイ
企業の収益性を測る大切な指標ですのでぜひ理解してくださいね
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ROA(総資産利益率)とは?

総資産利益率は(ROA)はReturn On Assetsの略でして、企業が資産を使ってどれだけ効率的な経営をおこなっているかの指標です。

どちらかというと自己資本利益率(ROE)のほうが銘柄分析に使われることが多いのですが、自己資本比率が低かったり、借入金が多い企業などはROEでは正確な数値がだせないのでROAを使って比較をおこないます(後ほど詳しく解説)

欧米では以前からよく使われている指標ですが、日本もここ数年でROAを重視している投資家が増えてきています。

 

カオチャイ
カオチャイ
ROAはバフェットコードなどのサイトで確認ができますよ!

 

総資産利益率(ROA)の計算方法

総資産利益率(ROA)は企業がもっている資産をどれだけ効率よく使っているかの指標です。

会社の総資産は、現金だけでなく工場や店舗、銀行からの借入金や在庫などすべて含まれます。要するに会社まるごと全部ですね。

 

ROAの計算方法

総資産利益率(ROA)=当期純利益 ÷ 総資産 × 100

 

ROAは5%以上あれば優良企業と言えますが、日本企業の平均は2~3%程度と低く、欧米の平均4%に見劣りしています。

日本は長く賃金や物価が上がっていませんから致し方ないところですね。

また、ROAの数値は業種によっても異なり、例えば製造業では設備投資に多額の資金が必要ですから自己資本が大きく、利益は小さくなる傾向があるために、ROAも低くなります。

逆にIT業などは設備投資にお金がかかりませんのでROAが高くなる傾向があります。

そのため、ROAを使って株の銘柄を選定する時は他業種間ではなく、同業種の数値を見比べる必要があります。

 

ROAの高い企業としてはスマホのゲームで当てたガンホー、カカクコム、ZOZOなどITサービスを利用した企業が多いです。

逆にROAが低い企業としては、コカ・コーラ、日本郵船、三菱マテリアルなど設備が大きい企業が多い傾向があります。

 

ROAを改善するためには?

ROAの計算式は当期純利益÷総資産で求められるとご説明しました。

つまり、企業の利益が大きいほどROAの値は高くなります。また、売上高に対して総資産が小さい場合もROAの数値は大きくなります。

ではROAの値を良くするために総資産を減らすのは良いことなのか?と疑問もでてきますが、総資産を減らすことは悪い事だけではありません。

余剰在庫を少なくしたり債権を処理したり、稼働していない設備を売却などすることで総資産は良い意味で減らすことができます。

 

カオチャイ
カオチャイ
より筋肉質な会社になるとROAは上がると言うことですね!

 

ROAを使えばROEの問題点を補える

さきほど少し名前がでましたが、ROAと似ている指標に自己資本利益率「ROE」というものがあります。

自己資本利益率(ROE)= 当期純利益 ÷ 自己資本 ×100

ROEは株主から見ると投資したお金をいかに効率よく稼いでいるかを測る指標ですが、ROEの弱点として、財務レバレッジを利用すると数値が変化します。

財務レバレッジとは「負債÷自己資本」の事なのですが、簡単に言いますと手持ちの資産に対して借金が多ければ多いほどROEの値は上がります

つまりROEの値が高いだけで利益率の高い企業だから「買い」という判断は危険だということです。

毎年借金の額で騒がれるソフトバンクなどは、ROEが50%近くもありますが、実は10兆円以上もの借金があります。

ですので、借金の多い企業はROEの数値だけでは正しく財務状況が把握できません。そこでROAを利用すると簡単に企業の健全性を測ることができます。

下記は無借金経営で有名な7974任天堂の3期分のROEとROAです。

任天堂のROAとROE

実は借金が少ない企業はROEとROAの差が少なくなります。上記の任天堂をみると数値の差は20%程度の範囲内ですね。

 

次に9984ソフトバンクの3期分のROEとROAです。

ソフトバンクのROAとROE

ROAとROEを比較すると実に5~7倍もの差があります。これはソフトバンクが積極的にお金を借りて大きな利益を狙いにいっているということを表しています。

ROAに比べてROEがかなり高い企業は事業が順調なときは良いですが、コロナなどで経営環境が変わったときは倒産がささやかれたりしますので株価の下落が大きくなることがあります。

ROAとROEの差は留意しておきましょう。

 

ROEとROAを使った分析方法

自己資本利益率ROEは株主の出資に対するリターンですので、異業種間で比較する際にも用いることができます。

一方、ROAは企業の総資産に対するリターンですが、業種によって総資産は大きく差が出ます。(IT業と製造業など)

つまり、ROAは異業種間での比較には適していません。しかしROEに比べるとより広い視点から企業を見て稼ぐ能力を測る指標とも言えます。

 

ROEとROAの比較でわかる企業の健康状態

さきほど、ROEが高くてROAが低いソフトバンクの例で両指標の差がある企業は借金が多いというお話をしました。

ではROEが低くて、ROAが高い場合はどうでしょうか?借金が少ないということを表して株価にはプラスに働くのでしょうか?

 

カオチャイ
カオチャイ
これは残念ながら財務状況は健全と言えますが、株価には決してプラスに働かないようです
ROEとROAを比較したときに・・

ROEが高くてROAが低い場合=大きな負債があり倒産リスクがある

ROEが低くてROAが高い場合=経営が慎重すぎて資本をうまく活用できていない

カオチャイ
カオチャイ
もちろん業態によって値は変わりますが、極端なものは一度詳しく企業情報に目を通したほうが良いでしょう

 

ROEとROAは下がっても気にしない?

ROEとROAが下がると基本的に投資家からは嫌気されますが、実は一概に悪いことではない場合があります。

それは四季報を眺めただけではあまりわからないのですが、企業が大きな先行投資をしている場合です。

例えば車の会社に例えてお話しますと、欧米に工場を建設しようとなると何千億円もの投資が必要ですが、投資してすぐに利益が産まれるわけではありません。

土地の購入から工場で使う機械の設備投資、そこへ何百人単位の人件費をかけて数年単位で工場は立ち上がります。しかし工場立ち上げの準備期間というのは利益はゼロの状態なわけです。

すると純利益は増えませんが、投資した分、総資産は増加することになります。そのためROEとROAはともに下がってしまいます。

ですので、ROEやROAを使って企業分析をする時は、10%や4%などといった絶対値を参考にするのではなく、前期と今期の数値の推移などを見て業務内容を理解するのに使うのが正しいと言えます。

 

総資産利益率(ROA)で資本の使い方が上手な企業を見つけよう まとめ

yuki
yuki
ROEとROAは企業分析ではよく使われる指標ですのでしっかり覚えておいてくださいね!
カオチャイ
カオチャイ
当サイトでおすすめしているサヤ取り手法を使った取引の際も、できれば同業種でROAの数値も近い企業ペアを選ぶことを推奨しています
yuki
yuki
同業種でROAが近いと値動きの相関も高まる要因になりますからね!
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