EAとサインツール、インジケーターの違い
まず最初に、少々ややこしいインジケーター、EA、サインツール(サインインジケーター・シグナルツールなどとも呼ばれます)といった用語の使い分けについてのお話です。
特にオリジナルサインツールを制作する時や、FX-EAラボにお問い合わせをされる時に、EAやインジケーターという用語を区別せずに使ってしまうと正確に伝えたいことが伝えられなくなります。
まず、なぜこんなにややこしいことになっているかと言いますと、もともとMT4が開発された初期には移動平均線やボリンジャーバンドなどのテクニカルをチャートに描写するインジケーターが世にでてきました。
インジケーターの拡張子は(.ex4)で、トレードに役に立つツールとして使われており、MT4のIndicatorsフォルダにいれて利用します。(ちなみにこの頃はまだエントリーの矢印はありませんでした)
そしてその少し後にEAがでてきました。これはエキスーパートアドバイザーというもので、FXで自動売買を行ってくれるMT4独自のプログラムです。拡張子はインジケーターと同じ(.ex4)で、MT4のExpertフォルダにいれて利用し、チャートに描写はおこないませんが、エントリーと利益確定のロジックを持っています。
サインツールの登場
しかしある日、どこかの賢いインジケーターの開発者さんがきっと気づいてしまったんでしょうね。
「インジケーターを改造して条件が揃った所でエントリーサインを出すツールをつくれるんじゃないか?これを見ながらFXで取引すれば初心者でも利益をだせるんじゃないか?」・・と。
というわけで作られたのが、移動平均線などのテクニカルを描写しつつエントリーの矢印を出してくれるサインツールです。ただし矢印を表示するだけでEAのように直接売買は行いません。
また、ベースはインジケーターですので拡張子はもちろん同じ(.ex4)で、MT4のIndicatorsフォルダにいれて利用します。
しかしこのサインツール、業界で仕様が統一されていないため、サインの形にバッファ型、オブジェクト型、ステルス型や情報を持たないもの、リペイントするもの、1つ前のローソクにサインを出すものなど、種類が数多く存在します。
そこへ突然の自動売買ツールの登場
そしてさらに話がややこしくしているのが、サインツールを自動化するツールたちの登場です。
例えばバイナリーオプション自動売買システムのAutoMultiTrader(AMT)などは、サインツールを読み取ってハイローオーストラリアでの自動売買を実現してくれるツールですが、従来は「EA=自動売買」という分け方だったのに、AMTを使うとサインツールでも自動売買ができてしまうので、ここでEAとサインツールの違いがわからなくなることが多いです。
また、ChangeToEAというものもありまして、これはFX-EAラボが公開しておりますがサインツールをEA化するもので、サインツールのロジックでMT4の自動売買ができるものです。
そのため現状ではEAとサインツールの境界がわかりにくく、上級者の間でも結構ごちゃまぜに使われています。
ただし、「ハイローオーストラリアのEAの使い方がわからない」や、「EAがテクニカルを表示しない」なんて相談がたまにきますが、EAに関してはMT4専用の取引プログラムなので、FX取引は可能ですがハイローオーストラリアでは使えません。
また、テクニカルも表示しませんのでこのあたりは明確です。ですので、EAとサインツールに関してはしっかり線引きが必要です。
・EA:主にFXで使用するメタトレーダー専用の自動売買ロジック。エントリーや決済機能が利用できる反面、チャートへのテクニカル描写はおこないません。
・インジケーター:基本はテクニカル指標をチャートに表示する機能がメインですが、たまにサインをだすものもあります。主に裁量(手動)でチャート分析に使うものでインジケーターからEAにはほぼ干渉しません。
・サインツール:エントリーサインを出すインジケーター全般を指します。自動エントリーや決済機能はありませんが、AMTなどと組み合わせてバイナリーオプションの自動売買ができたり、CHangeToEAを使えばEAとしてエントリー機能や決済機能をもたせることが可能です。
サインを出すチャートソフトにはどういうものがある?
こちらはバイナリーオプション自動売買用のサインツール
さて、ややこしいインジケーターやサインツールですが、肝心のチャートソフトがなければ動かすことができません。
そこで日本のトレーダーに主に使われているMT4、MT5、そしてトレーディングビューの3種類をご紹介しておきます。
この3つのソフトを使う上で大切なのは、各チャートソフトで動くサインツールはそれぞれ互換性がないということです。
MT4のインジケーターやサインツールはMT5では動きませんしその逆もです。
ですので、サインツールを使うチャートソフトを選ぶことはとても大切なことなんですね。ここでは各チャートソフトのメリット・デメリットも記載しておきますね。
世界で一番有名なチャートソフト「MT4」
MT4は2000年にロシアの企業がベースを作り、有名になったのは2003年にMeta Trader3という名前でリリースされてからですね。
そしてその2年後の2005年にMT4にバージョンアップしたことがきっかけで爆発的に広がり、約600社の企業に採用、それから15年以上も世界中のプラットフォームとして使われているという人気のソフトです。
今でも多くの人に使われている理由は、豊富なチャートとカスタマイズ性で、MT4用のプログラミング言語である「MQL4」が無料で公開されているおかげで、多くのツールが作られているという事があります。
MT4のメリット
カスタマイズが自由 サインツールの種類が多い(1万以上)
対応している業者が多い
MT4のデメリット
仕様が古いため新しい機能が使えない 使い勝手はあまり良くない
シングルコアしか扱えないため、動作スピードが遅い
MT4の完全上位互換だけどイマイチ人気がない「MT5」
こちらはMT4の次世代バージョンであるMT5です。
見た目はMT4と一緒なのですが、色々な部分でパワーアップしており、特に動作の速さはCPUを効率的に使えるようになっているため体感でわかるくらいに速いです。
ハイローオーストラリアで17通貨を動かすときなどはMT4よりもMT5のほうが圧倒的に安定します。
ただし、サインツールの種類がMT4に比べて少ないので、どうしても人気はMT4に比べると劣ります。
制作元のメタクオーツ社がMT4からMT5への移行を強く促しておりますが、MT4よりもインジケーターの制作がややこしいのと、MT4がトレードツールという面ではすでに完成されているのでMT5への移行がなかなか進まない状況です。
MT5のメリット
カスタマイズが自由 時間足の種類が多い インジケーターが豊富
処理速度が速い モバイルアプリも高機能 板情報がある
MT5のデメリット
サインツールの数が少ない FX業者や開発側の対応が進んでいない
使い勝手の良い「トレーディングビュー」
トレーディングビューはアメリカ製のチャートソフトです。1万種類近くのカスタムインジケーターがあるので最近急速に人気がでているソフトです。
クラウド型なのでPCにインストールする必要もなくどこでも使え、後発のため操作性はMT4・MT5よりも使いやすく自由がききますが、ガチでトレードするならば有料プランに移行しないといけないので、イマイチ普及がゆっくりなプラットフォームです。
トレーディングビューのメリット
操作性が良い 動作が軽い ローソク足のダウンロードが不要
サインツールがそこそこ豊富(ただし自動売買で使えるものは少ない)
トレーディングビューのデメリット
有料プランにしないとすべての機能が使えない
FX業者の対応がそこまで進んでいない 情報が少ない
ハイローオーストラリアとの連結ソフトで一般向けのものが少ない
サインツールの矢印には種類がある
サインツールのサインの形にはバッファ型、オブジェクト型があるというお話をさきほどしました。
これはサインの表示方式によって2種類にわかれており、インジケーターをEA化するツールや、AMTで自動化を行う時に取り扱い方法が少し変わってきます。
矢印の値を読み込むバッファ型インジケーター
まずはバッファ型と呼ばれるタイプのサインツールです。
特徴としては、チャート上の矢印にマウスカーソルを当てると、MT4・MT5のデータウィンドウ(上記赤枠)にしっかりと価格データを出力します。
勝率計算や他のインジケーターとの相性もデータがきちんと存在するので拡張性が高い矢印の出し方と言えます。
多くの開発者様もこのバッファ型の形でツールを作られており、サインツールでバックテストを行う場合は、このバッファ型でないと動かすことが難しいです。
矢印の形を読み込むオブジェクト型
続いて、矢印にマウスカーソルを当てても、MT4のデータウィンドウ(左の赤枠)になにも値が表示されない場合は、多くの場合オブジェクト型のインジケーターになります。
また、チャート上に水平線やトレンドラインなどのオブジェクトを一切書き込んでいない状態で右クリックをした時に、『表示中のライン等』という項目が必ず表示されるのもオブジェクト型の特徴です。(バッファ型サインツールも表示されるものがあるので、これだけで判別できるというわけではありません)
オブジェクト型の矢印はバッファ型と異なり価格データなどの情報を出力しません。
そのため、自動化する場合にバッファ型ほど融通がきかず、勝率計算ソフトなどとの相性もあまり良くないという特性があります。
オブジェクト型は国産の有料ツールで多く見かけ、バッファ型のものよりも秘匿性は上がる反面、バックテスト対策がされているインジケーターやリペイントをしているツールも多く、販売側の思惑が見え隠れする型でもあります。
ただし、自動売買化の設定自体は簡単なので初心者さんには好まれる方式です。
特殊な矢印
矢印の型の話になったついでに、特殊な矢印の出し方についてもお話しておきます。
通常、サインツールの矢印はローソク足形成中にサインが点滅し始めて、00秒でローソクが確定したと同時に矢印も確定します。
しかし一部のインジケーターは矢印の出るタイミングが遅延したり、00秒で新規の矢印がでたら一つ前の足に矢印を出したり特殊な動作をするものがあります。
また、データウィンドウに数値をだしているものの、エントリーに使えるデータではなかったり、矢印を表示させないと言った特殊な作りのものもあります。
こういった矢印の出し方をするサインツールの場合、裁量トレードでしたら問題ない場合が多いですが、自動売買で動かすとエントリーが前後にずれたりする事が多々あります。
その場合、自動売買システムはどのように対応するかと言うと、「MT4のアラート」を読み込む方法を取ります。AutoMultiTrader(AMT)が採用しているシステムですね。
ただし、サインツールがアラートを鳴らすか鳴らさないかは開発者の判断によりますので、もしアラートが出ないサインツールを自動化する場合はAMT専用ツールで強制でアラートを表示したりします。
サインが出たらすぐにエントリーか、次の足でエントリーか?
次は矢印が出たときのエントリータイミングのお話です。
多くの初心者さんを悩ませる問題として、矢印がでたらすぐにエントリー(即エントリー)するべきか、矢印が確定した次の足でエントリーするべきかの2択があります。
これは一見、矢印がでたら即エントリーが正しくも見えますが、サインツールの矢印は条件を満たしている最中は表示されますが、その後価格が動いて条件を満たさなくなったら消えるもの、つまり点滅するタイプのものが多いです。
このタイプを自動売買システムで動かすと、矢印が出た瞬間にシステムがエントリーしても、その後矢印が消えてしまった時に後からチャートと履歴を見比べると、チャートに矢印がないのにエントリーしているという事が起こります。
また、MT4でバックテストを行う場合、基本はローソクの始値終値を使いますが、即エントリーの場合はローソク足形成中の価格であり、始値終値は使いませんので、バックテストの結果と乖離してしまいます。
そのため、基本的には「矢印が確定した次の足」でエントリーする形にたどり着きます。
色々なサインツール
さて次に、バイナリーオプション自動売買用のサインツールで実際に存在する特殊なものを解説です。
サインツールの表示関連はかなり自由がききます。
また、MQLAuthのような新しい技術もでてきており、未だにサインツールは進化を続けているのでございます。
テクニカル指標とサインを出す本体が分離しているツール
こちらは矢印を出す本体と、テクニカル指標が別々になっているインジケーターです。
上記の場合は「else Detector.ex4」が本体で、残りの2つはテクニカルのラインを表示する専用のファイルです。
なぜこのように分離させるかと言うと、多くの場合はツールの軽量化を目的としています。自動売買を稼働している最中はチャート自体は見ませんので、重くなる表示は省いたほうがエラーが少なくなります。
そのため、このように矢印と表示機能は別にするんですね。自動売買ソフトで動かすのは、矢印機能の本体だけということですね。
マーチンやロジックの設定をウィンドウ上から変更
こちらはチャート上に勝率やマーチンの回数を設定するボタンを表示したツールです。
マーチン設定ボタンをチャート上に表示するのはツールがとても重くなりますが、このタイプは国産のインジケーターに多いです。
裁量トレードの場合ですとチャート上から気軽に変更ができて便利かもしれませんが、最大の弱点として、自動化する際にアラートを読み取るAutoMultiTrader(AMT)ならば問題はありませんが、その他多くの自動売買システムは画面上から変更したパラメータを正しく読み取ることができません。
自動化する際には専用ツールを作って対応することが多いです。
サブチャートに矢印を表示するタイプ
こちらはサブチャートに矢印を表示するサインツールです。
サブチャート型は結構クセのある矢印の出し方をしている開発者さんが多く、自動売買がよくエラーを出してしまうツールの一つです。
アラートがでればAutoMultiTraderでは問題ありませんが、その他の自動売買システムで正しく稼働するかどうかはテストが必要です。
SYSFAC_AMT_AUTOを使っても対応できたりできなかったりと、造りに依る部分が大きいので、とりあえずは一度試してみることが必要です。
リペイントするツール
こちらはバックテストで矢印を書き換えるリペイントの様子です
リペイントとは一度確定した矢印を後からこっそり変えてしまうことです。
販売向けの有料サインツールに多く存在しますが、リペイントの目的の多くは勝率をよく見せかけるというもので、ものによっては詐欺のようなツールもあります。
そのため自動化を行うと殆どの場合で負けることが多いです。
もちろんリペイントを見破る方法もありまして、やり方は下記の記事に書いておきましたので、ぜひ参考にしてくださいね。