マーチンゲール法とは?
マーチンゲール法とはカジノの古典的手法で、主にリターン(バイナリーの場合はペイアウト率)が賭け金に対して2倍程度になるゲームで使われるもので、勝負して負けた場合に賭け金を2倍にして次の勝負をする手法です。倍プッシュなんて呼ばれ方もします。
資金が無限にあるならば理論上は絶対に負けない手法ですが、現在のカジノなどではテーブルごとに賭金のリミットが決められていますので限界があります。
それでもマーチンは根強い人気を誇る手法で、勝率が50%に近いゲームであるルーレット(赤黒・ハイロー賭け)、ブラックジャック、バカラなどでは3倍マーチンゲール(負けたら3倍の額を賭ける)なるものも考案されていたりします。
当サイトで紹介しているバイナリー自動売買システム「AutoMultiTrader」でも自動マーチンゲール機能は装備していますし、世の中に出ている半数以上の自動売買システムが同様の機能を備えているかと思います。
マーチンゲール法のエントリーの勝率
さて、資金があれば理論上は絶対に負けないマーチンゲールですが、実際行った場合の利益、勝率などをシュミレートしてみました。
こちらの表はハイローオーストラリアで1000円賭金で、勝率が50%として、マーチンゲールを10回までおこなった場合の表です。(1回目は通常エントリー、2回目からがマーチン)
この表の勝率だけを見ると、マーチンゲールでゲームを3回行えば勝率87.5%、4回なら93.75%は勝てるというポジティブな見かたができます。
しかし賭金に対して利益を見ると、3回目では4000円賭けて1000円の利益、しかもここまでに1000円、2000円と賭けているので合計は7000円賭けていることになります。そこまで賭けているのに、買った時に貰えるのはたったの1000円利益という切ない結果。
つまりマーチンは勝率は高く保てますが、賭金に対してのリターン率、つまりリスクリワードは非常に悪く、実益としてはあまり意味のない手法ということがわかりますね。
マーチンの勝率を冷静に考えてみると・・・
ハイローオーストラリアでマーチンゲールを使ってエントリーする根拠とはなんでしょうか?
裁量でトレードされている方は、水平線やトレンドライン、ローソクの形など優位性のある部分を判断してエントリーされているかと思います。
自動売買のロジックを稼働させている方はそのロジックがもつ優位性の高い場所でエントリーすることになります。自動売買のロジックを作るには膨大なバックテストが必要ですし、開発者様もかなりの時間をエントリーテストに注いでいるはずです。
しかしですね、マーチンゲールのエントリー条件って・・・
「負けたら次の足で倍がけエントリー」
だけではないですか?そこには裁量トレードで磨いたテクニカル手法は介入しませんし、膨大なデータから導き出した自動売買ロジックも介入しません。
だって「負けたら倍がけエントリー」だけなのですもの。そこに優位性のあるロジックはありません。
つまりマーチンエントリーって、スプレッドとかボラはこの際おいておきまして、単純に上か下かの勝率50%なのです。目をつぶって適当にエントリーするのと同じことなんです。
ハイローオーストラリアでマーチンゲールは禁止?
さて、マーチンゲールですが、ハイローオーストラリアで使うと口座が凍結されるという噂が囁かれています。
しかし実際の所、マーチンゲールだけが原因で口座凍結になったり出金拒否されるという事はありません。
なぜこんな事が言いきれるかといいますと、マーチン手法自体は「負けたら倍がけ」なので裁量であろうが自動売買であろうが、ハイロー側が取引履歴を見たら一発でわかるはずなんです。
しかし一般に広まっている自動売買システムなどはその殆どでマーチンゲールの機能が実装されています。
マーチンゲールは一回でもやったらハイローオーストラリア側は気付けるはずなんです。
・・・にもかかわらず口座凍結祭りはおきていません。
この理由としては、マーチンゲール自体はハイローオーストラリアにとっては大した痛手にならないどころか、あわよくば利益の源泉になるからです。
マーチンゲールは口座凍結とは無関係
マーチンゲールがハイローオーストラリアにもたらす利益を考えてみて下さい。
1000円を賭けて負けたらマーチンゲールで2000円を倍がけ、さらに負けたら次はマーチンで4000円がけです。
これでもしトレーダー側が取り戻したとしても、ハイローオーストラリア側は1000円に対するペイアウト率分の損ですが、もしトレーダーがマーチンが失敗していたらハイローは7000円手に入っていたわけです。
つまりハイローオーストラリア側からするとマーチンゲールをされても、リスクリターン率は圧倒的に有利な立場なのです。
これは率先して口座凍結にする理由がありませんね。
ハイローオーストラリアには取引上限がある
また、マーチンゲールに関してはハイローオーストラリア側に有利なことがもう一つあります。
それは「エントリー上限」です。
マーチンゲールは資産があるならは理論上は無敗の聖杯手法ではありますが、ハイローオーストラリアには一度の取引上限額が20万円までというルールが存在します。
つまりいくら資金があっても負け続ければ賭金が先に頭打ちになり、マーチンゲール理論が成立しなくなるということです。
ちなみに1000円賭金のスタートで負け続けると、8回目には128000円の賭金に、9回目はMAXの20万円ですので、そこでマーチン理論は成立しなくなります。
9連敗する率は0.2%と低いですが、じゃあ安全かと言いますと、万が一9連敗になった時の失うものが大きすぎる上、その9連敗の負けは最初のエントリー以外は手法やロジックの優位性が無い、ただ「負けたから倍がけでエントリー」しただけの上下50%のロジックなのです。
それならばマーチンゲールは最初からせずに、本来の手法が持つ勝率55%、60%といった優位性のあるエントリーをコツコツ続けていくべきなのです。
自動売買のマーチンゲールについて
国産のバイナリーオプションサインツール(エントリーの矢印を出すツール)にはマーチンゲールをロジックとして組み込んでいるものが多く存在します。特にマーチン2回までといった設定が多いですね。
FX-EAラボで目にする感覚では4割くらいの国産サインツールに搭載されている感じです。(海外のサインツールは意外と少ないです)
マーチンゲールを実装している自動売買ツールが多いわけ
『金融リテラシー調査2019年調査結果』
さきほど、国産のツールにマーチンゲールが実装されていること多く、海外のサインツールにはマーチンゲール実装は少ないと書きました。
この理由ですが、実は国民の投資に関するリテラシー(知識)と関係しています。
金融広報中央委員会が発表した金融リテラシーを測る試験において、日本の正答率はアメリカよりも6%低い結果がでています。
イギリス、フランス、ドイツの欧州3カ国と比べるとその中で最下位が日本で、残念ながら世界と比べると我々は金融リテラシーが高いとは言えません。
さて、そんな日本人に高額なサインツールを売るときはどうすればよいでしょうか?
やはりバイナリーオプション取引において一番重要な勝率を全面に出すべきですね。ではどのように勝率を表記しましょうか?
やはりお客さんの食いつきが良いのは「勝率60%!(マーチン無し)」よりも「勝率85%!(マーチンあり小声)」のほうがウケがいいんですね。人によっては「勝率90%超え(マーチン3回小声)」なんて売り出す人もいるでしょう。
特にバイナリーオプションはシンプルなゲームですから初心者の参入が多く、このような数値をみると「おお!すごいっ!」なんてすぐに食いついてしまう人が多いですが、これが海外、特にカジノが合法な国の人ですと、結構な率でマーチンゲールの存在を知っています。
つまり海外で勝率85%!なんていいう売り出し方をしてもお客さんは食いつかないのですよね。しかし日本は残念ながらマーチンゲールの具体的な勝率を知らない人が多く弊害も知らない方がほとんどです。
そのためにマーチンゲールを実装した国産ツールが売れて、それに味をしめた開発者が続編のツールを出すことで増えていってしまうのですね。
ちなみにマーチンを2回(通常エントリー+マーチン2回分の計3回エントリー)おこなうのならば、素人が適当にエントリーしても勝率は87.5%程度に収束します。
マーチンゲールはどういう時に使うのが効果的?
さて、ここまでご説明したマーチンゲール手法ですが、FX-EAラボの見解を申し上げますと「なるべくならマーチンゲールは使わないほうが良い」となります。
しかし通常のマーチンの賭け方とは異なりますが、勝率がある程度あるサインツールのエントリーで負けた時に「次の足」ではなくて「次のエントリーサインが出た時」に倍賭けではいるのは実はそこそこの優位性があります。
もちろんお使いのインジケーターの勝率にもよりますが、55%以上の勝率があるのならリスクはかなり低くなります。
ただし残念ながらバイナリーオプションの自動売買システムで、この次のエントリーで倍がけ対応しているシステムは確認できていないので、基本は裁量トレードになってしまいます。
マーチンゲール手法は麻薬のようなもの
上記は過去のローソク足◯本分の勝率を表示するインジケーターをチャートに適用したものです。マーチンゲールは2回で計算を出しています。
エントリーロジックはハイとローをただ交互に繰り返すだけの単純なテスト用ロジックですが、勝率を見ますと結構な数値を叩き出していますよね。
しかしこの勝率が麻薬のようなものでして、ハイローオーストラリアの口座はこれくらいの勝率がでているとなかなか減りません。
特に自動売買で回していますと、マーチンゲーツのおかげでコツコツ増えていくことのほうが多いのでリスクになかなか気づくことができません。しかしマーチンゲールはある日突然大きな損失が発生する、つまりコツコツドカンの典型例なのでやはり使うべきではないのです。