日本円 (JPY) – 安全資産の代表格

日本円は代表的な安全通貨として知られています。
世界的な金融不安や景気後退など、市場がリスクを回避するリスクオフの局面では、資金の避難先として買われる傾向が強く、円高が進みやすくなります。
逆に、世界経済が好調で投資家が積極的にリスクを取るリスクオンの局面では、低金利の円は売られて高金利通貨を買う「キャリートレード」の対象となりやすく、円安が進む傾向があります。
トレンドが発生すると一方向に動きやすい特徴もありますが、日本の経済指標よりも世界経済の動向や米国の金融政策に影響されやすい通貨です。
米ドル (USD) – 世界の基軸通貨

米ドルは世界の基軸通貨であり、圧倒的な流動性と取引量を誇ります。FX市場の中心的な存在で、多くの通貨ペア(ドルストレート)で取引されます。
基本的にリスクオフ局面では「有事のドル買い」として買われますが、時にはリスク回避の円買いと競合することもあります。
最も影響を受けるのは、米国の金融政策(FRBの利上げ・利下げ)や、雇用統計、消費者物価指数(CPI)といった重要な経済指標です。
トレンドが明確に出やすく、ゴールド(XAU/USD)とは逆相関の関係になりやすいという特徴も押さえておきましょう。
ユーロ (EUR) – 第二の基軸通貨

ユーロは米ドルに次いで取引量の多い第二の基軸通貨です。
ドイツやフランスなど、ユーロ圏主要国の経済状況や、欧州中央銀行(ECB)の金融政策に大きく影響されます。
特に、ユーロ圏全体のインフレ率や失業率などの経済指標が注目されます。ロシアや東欧に近いという地理的な要因から、地政学的リスクの影響を受けやすい側面もあります。
トレンドは比較的長く続く傾向が見られますが、参加国が多いため、各国の経済状況の違いから方向感が出にくくレンジ相場になることもあります。
ポンド (GBP) – 値動きの激しい投機的通貨

ポンドはボラティリティ(値動きの幅)が非常に高いことで有名です。「殺人通貨」の異名を持つほど値動きが激しく、投機的な取引が多いのが特徴です。
イングランド銀行(BOE)の金融政策や英国の経済指標が主な変動要因ですが、ブレグジット(EU離脱)以降は政治的なニュースにも敏感に反応します。
トレンドが発生すると一方向に大きく動くため、大きな利益を狙える可能性がある一方、急な反転も多くハイリスク・ハイリターンな通貨と言えます。初心者には扱いの難しい通貨かもしれません。
豪ドル (AUD) – 資源国通貨の代表

豪ドルは、鉄鉱石や石炭などの資源を主な輸出品とするオーストラリアの通貨で、代表的な資源国通貨です。
そのため、これらのコモディティ価格の動向に連動しやすい特徴があります。また、最大の貿易相手国である中国の経済指標(特にPMIなど)にも大きく影響を受けます。
世界経済が好調なリスクオン局面で買われやすく、景気後退懸念が強まるリスクオフ局面では売られやすい傾向があります。高金利通貨としての一面も持ち、オーストラリア準備銀行(RBA)の金融政策にも注目が集まります。
NZドル (NZD) – 豪ドルと連動しやすいオセアニア通貨
ニュージーランドドルは、豪ドルと同じくオセアニア通貨に分類され、資源国通貨としての側面を持ちます。
オーストラリアと経済的な結びつきが強いため、豪ドルと非常に似た値動き(高い相関性)をするのが最大の特徴です。主な輸出品は乳製品であり、その価格動向がNZドルに影響を与えることがあります。
豪ドルと同様に中国経済の動向にも左右されます。市場規模が豪ドルよりも小さいため、時に豪ドル以上にボラティリティが高くなることもあります。
トルコリラ (TRY) – 超高金利だがリスクも高い

トルコリラは、非常に高い政策金利が特徴のエキゾチック通貨です。高いスワップポイントを狙った長期投資家に人気がありますが、その分リスクも極めて高い通貨です。
トルコ独自の経済政策や、大統領の発言といった政治的な要因、地政学的リスクによって、価格が乱高下することが頻繁にあります。
流動性が低く、買値と売値の差(スプレッド)が広がりやすいというデメリットもあります。取引する際は、急激な価格変動によるロスカットのリスクを常に念頭に置く必要があります。
南アフリカランド (ZAR) – 金価格と新興国リスクに注意
南アフリカランドもトルコリラと並ぶ高金利の新興国通貨です。南アフリカは金やプラチナ、ダイヤモンドなどの鉱物資源が豊富なため、これらのコモディティ価格、特に金価格に影響を受けやすい特徴があります。
新興国通貨全般のリスクセンチメントに左右されやすく、リスクオフ局面では急落する傾向があります。国内の政情不安や高い失業率なども価格の不安定要因です。トルコリラ同様、流動性の低さとスプレッドの広さに注意し、徹底したリスク管理が求められます。
スイスフラン (CHF) – 円と並ぶ究極の安全通貨

スイスフランは、永世中立国であるスイスの通貨であり、日本円と並んで究極の安全通貨とされています。
政治的・経済的な安定性が非常に高く、世界的な金融不安や地政学的リスクが高まるリスクオフ局面で、真っ先に資金の逃避先として買われる傾向があります。
地理的にユーロ圏と近いため、ユーロの値動きに連動することもあります。ただし、過去にスイス国立銀行(中央銀行)が大規模な為替介入を行ったことがあるため、中央銀行の動向には常に注意が必要です。
ゴールド (XAU) – 有事の頼れる実物資産

ゴールド(金)は、「有事の金」として知られる代表的な安全資産です。通貨ではありませんが、FX市場では米ドル建て(XAU/USD)で活発に取引されています。
金融危機や地政学的リスクが高まる局面で買われる傾向が強いです。ドルの代替資産と見なされるため、米ドルとは逆相関の関係になりやすく、ドルが売られるとゴールドが買われる傾向があります。
また、金利を生まないため、インフレ懸念が高まると、資産価値を保全する目的で買われる(インフレヘッジ)という特徴も持っています。
FX通貨ペア 取引スタイル別ランキング
順張りに向いている通貨ランキング
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🥇 ポンド (GBP) 関連通貨 (例: GBP/JPY, GBP/USD)
理由: 値動きが非常に激しく、一度トレンドが出ると一方向に大きく伸びる傾向が最も強い通貨です。明確なトレンドに乗りたいトレーダーに向いています。
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🥈 豪ドル (AUD) 関連通貨 (例: AUD/JPY, AUD/USD)
理由: 資源価格や世界経済の動向を背景に、長期間にわたるはっきりとしたトレンドを形成しやすい特徴があります。
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🥉 米ドル (USD) 関連通貨 (例: USD/JPY, EUR/USD)
理由: アメリカの金融政策という大きなテーマによって、数ヶ月〜数年にわたる長期的なトレンドが生まれやすいためです。
逆張りに向いている通貨ランキング
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🥇 ユーロ/ドル (EUR/USD)
理由: 世界で最も取引量が多く、市場参加者の思惑が交錯するため、方向感が出ずに一定のレンジ相場になる期間が多く見られます。
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🥈 ドル/円 (USD/JPY)
理由: 140円、150円といったキリの良い数字や重要な経済指標の発表前後で、多くのトレーダーが反発を意識するため、逆張りのポイントが見つけやすいです。
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🥉 ユーロ/ポンド (EUR/GBP)
理由: 経済的な結びつきが強い地域同士の通貨ペアのため、どちらか一方が極端に強く(弱く)なることが少なく、比較的安定したレンジを形成しやすい傾向があります。
レンジ相場が多い通貨ランキング
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🥇 ユーロ/スイスフラン (EUR/CHF)
理由: 地理的・経済的に密接な関係にあるため、値動きが非常に似通っており、大きなトレンドが発生しにくい代表的なレンジ通貨ペアです。
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🥈 ドル/スイスフラン (USD/CHF)
理由: 米ドルとスイスフランは共に安全通貨としての側面を持つため、市場に大きな材料がない時はお互いの価値が拮抗し、動きが鈍くなりやすいです。
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🥉 ユーロ/ドル (EUR/USD)
理由: 取引量が多すぎるがゆえにエネルギーが相殺され、トレンドが発生しない「凪」のような状態が頻繁に発生します。
スキャルピングに向いている通貨ランキング
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🥇 ドル/円 (USD/JPY)
理由: なんといってもスプレッドの狭さは全通貨ペアでトップクラスです。取引コストを極限まで抑えたいスキャルピングに最適です。
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🥈 ユーロ/ドル (EUR/USD)
理由: 世界No.1の取引量を誇り、流動性が非常に高いため、いつでも好きな時に取引が成立しやすいのが最大の魅力です。スプレッドも狭いです。
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🥉 ポンド/円 (GBP/JPY)
理由: スプレッドはやや広めですが、圧倒的なボラティリティ(値動きの大きさ)が魅力です。短時間で大きな利益を狙う攻撃的なスキャルパーに人気です。
長期トレードに向いている通貨ランキング
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🥇 米ドル (USD)
理由: 世界の基軸通貨であり、米国の金融政策は透明性が高く情報も得やすいため、長期的な方向性を最も予測しやすい通貨と言えます。
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🥈 豪ドル (AUD)
理由: 世界経済の成長と連動しやすく、長期的な上昇・下降トレンドを形成します。また、比較的金利が高い時期が多く、スワップポイントも期待できます。
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🥉 南アフリカランド (ZAR) / トルコリラ (TRY)
理由: スワップポイント狙いの長期保有に特化した選択肢です。ただし、為替レートの変動リスクが非常に高いため、ハイリスク・ハイリターンな投資であることを理解した上で取引する必要があります。
主要通貨とゴールドの値動きの「クセ」を徹底解説 まとめ