為替変動リスクとは?
為替変動リスクとは、為替レートの変動により外貨建て資産の価値が変動する不確実性のことです。
これはFXや海外投資に伴う避けられないリスクですが、このリスクを事前に把握しておくことで、大きな損失を避ける可能性を高めることができます。
為替変動リスクの主な特徴と影響は以下の通りです。
為替換算リスク
為替換算リスクとは、外国のお金で表された資産や借金の価値が、為替レートの変化によって変わってしまうリスクのことです。
簡単に言えば、外国のお金を日本円に換算したときの金額が、為替レートによって変わってしまう危険性のことです。
具体例
アメリカの銀行に1000ドル預金していると仮定しましょう。為替レートが1ドル=100円のとき、この預金は10万円の価値があります。
しかし、為替レートが1ドル=110円に変わると、同じ1000ドルの預金が11万円の価値になります。このように、為替レートの変動で資産の円換算額が変わってしまうのが為替換算リスクです。
為替取引リスク
為替取引リスクとは、外国との取引で、契約したときと実際にお金のやり取りをするときの為替レートが違うことで生じるリスクです。
つまり、取引を決めた時点と実際にお金を払ったり受け取ったりする時点で、為替レートが変わることで損をしたり得をしたりする可能性があるということです。
具体例
日本の会社がアメリカの会社から100ドルの商品を買う契約をしたとします。契約時の為替レートが1ドル=100円だったので、10,000円払う予定でした。
しかし、実際に支払う1ヶ月後に為替レートが1ドル=110円になってしまいました。すると、同じ100ドルを払うのに11,000円必要になってしまいます。このように、為替レートの変動で実際の支払額が変わってしまうのが為替取引リスクです。
為替経済性リスク
為替経済性リスクとは、為替レートの変動が会社の競争力や生産の仕方に影響を与えるリスクのことです。
簡単に言えば、為替レートの変化によって、会社の製品が海外で売りやすくなったり売りにくくなったりする可能性があるということです。
具体例:
日本の自動車メーカーが海外に車を輸出しているとします。為替レートが1ドル=100円から1ドル=80円に変わると(円高になると)、日本円で見た車の価格が上がってしまいます。
例えば、200万円の車が以前は2万ドルだったのに、2万5千ドルになってしまいます。これにより、海外での販売が難しくなり、会社の競争力が下がってしまう可能性があります。このように、為替レートの変動が会社のビジネスに大きく影響するのが為替経済性リスクです。
為替変動リスクへの対処方法
為替予約
通貨オプションは、為替リスクを管理するための金融商品の一つです。個人でおこなっている人は少ないですが、こういう商品もあるということで解説しておきます。
通貨オプションの基本的な考え方
通貨オプションは、将来の特定の日に、決めた為替レートで外貨を買う(または売る)権利を購入することです。この権利を使うかどうかは、購入者が自由に決められます。
具体例
例えば、3ヶ月後に100ドルが必要なトレーダーがいるとします。現在の為替レートは1ドル=100円です。
このトレーダーは、3ヶ月後に1ドル=105円でドルを買う権利(コールオプション)を購入します。
この権利を買うために、少額の「オプション料」を支払います。
そして3ヶ月後の状況が・・・
もし為替レートが1ドル=110円になっていたら、105円で買う権利を使って得をします。
もし為替レートが1ドル=100円のままなら、権利を使わずに市場で100円でドルを買います。
オプションのメリット:
為替が不利に動いても、最大の損失はオプション料に限定されます。
為替が有利に動いた場合、その利益を得ることができます。
オプションのデメリット:
オプション料を支払う必要があります。
仕組みが少し複雑で、理解するのに時間がかかる場合があります。
通貨オプションは、為替変動のリスクを抑えつつ、有利な変動の恩恵も受けられる柔軟な方法です。