トレードの勉強

為替変動リスクを初心者向けに解説

為替変動リスク
yuki
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ここでは初心者さん向けに、為替変動がもたらすリスクについて解説しておきます
カオチャイ
カオチャイ
世の企業がどのようにリスク対策をおこなっているかの具体例も載せておきますので、しっかり読んでおいてくださいね!

為替変動リスクとは?

為替変動リスク

為替変動リスクとは、為替レートの変動により外貨建て資産の価値が変動する不確実性のことです。

これはFXや海外投資に伴う避けられないリスクですが、このリスクを事前に把握しておくことで、大きな損失を避ける可能性を高めることができます。

為替変動リスクの主な特徴と影響は以下の通りです。

 

為替換算リスク

為替換算リスクとは、外国のお金で表された資産や借金の価値が、為替レートの変化によって変わってしまうリスクのことです。

簡単に言えば、外国のお金を日本円に換算したときの金額が、為替レートによって変わってしまう危険性のことです。

具体例

アメリカの銀行に1000ドル預金していると仮定しましょう。為替レートが1ドル=100円のとき、この預金は10万円の価値があります。

しかし、為替レートが1ドル=110円に変わると、同じ1000ドルの預金が11万円の価値になります。このように、為替レートの変動で資産の円換算額が変わってしまうのが為替換算リスクです。

 

為替取引リスク

為替取引リスク

為替取引リスクとは、外国との取引で、契約したときと実際にお金のやり取りをするときの為替レートが違うことで生じるリスクです。

つまり、取引を決めた時点と実際にお金を払ったり受け取ったりする時点で、為替レートが変わることで損をしたり得をしたりする可能性があるということです。

具体例

日本の会社がアメリカの会社から100ドルの商品を買う契約をしたとします。契約時の為替レートが1ドル=100円だったので、10,000円払う予定でした。

しかし、実際に支払う1ヶ月後に為替レートが1ドル=110円になってしまいました。すると、同じ100ドルを払うのに11,000円必要になってしまいます。このように、為替レートの変動で実際の支払額が変わってしまうのが為替取引リスクです。

 

為替経済性リスク

為替経済性リスクとは、為替レートの変動が会社の競争力や生産の仕方に影響を与えるリスクのことです。

簡単に言えば、為替レートの変化によって、会社の製品が海外で売りやすくなったり売りにくくなったりする可能性があるということです。

具体例:

日本の自動車メーカーが海外に車を輸出しているとします。為替レートが1ドル=100円から1ドル=80円に変わると(円高になると)、日本円で見た車の価格が上がってしまいます。

例えば、200万円の車が以前は2万ドルだったのに、2万5千ドルになってしまいます。これにより、海外での販売が難しくなり、会社の競争力が下がってしまう可能性があります。このように、為替レートの変動が会社のビジネスに大きく影響するのが為替経済性リスクです。

 

為替変動リスクへの対処方法

為替予約

為替予約

将来の特定の日に、現在の為替レートで外貨を売買する契約を銀行と結びます。これにより、将来の為替レートを固定し、為替変動リスクを回避できます。

具体例で言うと、例えば日本の輸出企業Aが3ヶ月後に100万ドルの代金を受け取る予定があるとします。現在の為替レートが1ドル=110円で、3ヶ月後に円高になることを懸念しています。

Aは銀行と為替予約を結び、3ヶ月後に100万ドルを1ドル=110円で円に換金することを約束します。3ヶ月後、実際の為替レートに関わらず、Aは100万ドルを1億1000万円で換金できます。

この取引により、Aは為替変動リスクを回避し、確実な収入を確保できます。ただし、為替予約は銀行との契約であり、原則として取り消しはできません。実需に基づいた適切な利用が重要です

 

債権・債務のマリー

債権・債務のマリーは、為替リスクを軽減する手法の一つです。外貨建ての債権(受け取るお金)と債務(支払うお金)を意図的に同額にすることで、為替変動の影響を相殺します。

例えば、100万ドルの売掛金がある場合、同じく100万ドルの買掛金を作ることで、為替変動の影響を最小限に抑えます。この方法のメリットは、為替予約などの金融商品を使わずにリスクヘッジができるため、コストを抑えられることです。

ただし、完全に債権と債務を一致させることは難しく、取引のタイミングや金額の調整が必要になる場合があります。主に輸出入を行う企業にとって有効な手法ですが、他のリスクヘッジ方法と組み合わせて使用されることが多いです。

 

リーズ&ラグズ

リーズ&ラグズは、決済のタイミングを調整して為替リスクを管理する手法です。

リーズは支払いを早めるか受け取りを遅らせること、ラグズはその逆を指します。例えば、円安予想時に輸入代金の支払いを早めたり(リーズ)、円高予想時に輸出代金の受け取りを早めたり(ラグズ)します。

この方法は金融商品を使わずにリスクヘッジができる利点がありますが、為替予測の難しさや取引先との関係への影響といった課題もあります。

通常、他の為替リスク管理手法と組み合わせて使用されることが多いです。

 

通貨スワップ

通貨スワップ

異なる通貨間で元本と金利を交換する取引です。これにより、為替変動リスクを軽減しつつ、有利な金利条件を得ることができます。

例えば日本企業Aが1億円を3%の固定金利で借り入れ、アメリカ企業Bが100万ドルを5%の固定金利で借り入れたとします。

両社が通貨スワップ契約を結ぶと、契約時に、AはBに1億円を渡し、BはAに100万ドルを渡します。

契約期間中、Aは毎年Bに5万ドル(100万ドルの5%)を支払い、BはAに300万円(1億円の3%)を支払います。

契約終了時、AはBに100万ドルを返し、BはAに1億円を返します。

この取引により、両社は自国通貨で借入れながら、実質的に外貨での資金調達と同じ効果を得られます。また、為替変動リスクを軽減できます。

 

為替のパス・スルー

為替レートの変動を販売価格に転嫁する方法です。ただし、販売先の了解が必要で、価格変更には時間がかかる場合があります。

 

これらの方法を適切に組み合わせることで、企業は為替変動リスクを効果的に管理できます。ただし、各方法にはメリットとデメリットがあるため、自社の状況に合わせて最適な対策を選択することが重要です。

 

通貨オプションについて

通貨オプション

通貨オプションは、為替リスクを管理するための金融商品の一つです。個人でおこなっている人は少ないですが、こういう商品もあるということで解説しておきます。

 

通貨オプションの基本的な考え方

通貨オプションは、将来の特定の日に、決めた為替レートで外貨を買う(または売る)権利を購入することです。この権利を使うかどうかは、購入者が自由に決められます。

具体例

例えば、3ヶ月後に100ドルが必要なトレーダーがいるとします。現在の為替レートは1ドル=100円です。

このトレーダーは、3ヶ月後に1ドル=105円でドルを買う権利(コールオプション)を購入します。

この権利を買うために、少額の「オプション料」を支払います。

そして3ヶ月後の状況が・・・

もし為替レートが1ドル=110円になっていたら、105円で買う権利を使って得をします。

もし為替レートが1ドル=100円のままなら、権利を使わずに市場で100円でドルを買います。

 

オプションのメリット:

為替が不利に動いても、最大の損失はオプション料に限定されます。

為替が有利に動いた場合、その利益を得ることができます。

オプションのデメリット:

オプション料を支払う必要があります。

仕組みが少し複雑で、理解するのに時間がかかる場合があります。

通貨オプションは、為替変動のリスクを抑えつつ、有利な変動の恩恵も受けられる柔軟な方法です。

カオチャイ
カオチャイ
ただしオプション取引は専門知識が必要なので、企業や金融機関が主に利用しており、個人が手を出すには少々ハードルが高い部分があります
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YUKI
MT4をこよなく愛する開発者です。FX-EAラボの他に、サヤ取りを追求した株ラボ、MT4、MT5のツール制作に特化したシストレファクトリー、EAやインジケーターに認証やペイパル決済機能が付けられるMQLAuthシステムなどの開発にも関わっています。 YUKIプロフィール