金融ライセンスとは?
投資を事業とする企業は世界中どこでも必ず営業許可証が必要です。
これを「金融ライセンス」と言いまして、会社が本拠地としている地域の金融当局の審査を受けて発行してもらいます。
金融ライセンスを取るためには顧客の管理方法や、入出金の条件、システムや運営状況などの項目がありますが、国によって顧客の資産状況や法令、求められるニーズが違うために国によって金融ライセンス取得の難しさが異なります。
例えば世界で一番厳しいと言われるイギリスのFCAの金融ライセンスは消費者保護の観点や外部機関の監査などが非常に厳しく、顧客に不利益がでる経営をするとすぐに監査がはいります。
その厳しさと引き換えに信頼性はあり、イギリスのFCAのライセンスがあればEU全体でサービスの提供が可能になり、多くの取引カバー先銀行との契約も可能になります。
日本の金融ライセンス
日本国内でFX業を営むためには日本の金融ライセンスを取得し、金融庁の監視下に会社を置かなければなりません。
日本の厳しい金融規制法も適用されますので投資家保護が保証される反面、FX業者は勧誘などを容易に行うことができなかったり、レバレッジが最大25倍までの規制、顧客の損失がマイナスにならないゼロカットシステムなどが採用できません。
また日本の金融庁は世界的に見てもかなり閉鎖的で、海外業者の締め出しを投資家保護を理由に次々おこなっています。かなりガラパゴス化していますね。
これが世界的な金融機関が日本への参入が少ない理由の一つですが、代わりに国内の投資家は資産の入出金や資産保護に関しては非常に強く守られていますので、利便性はさておき、利用に関しては非常におすすめできます。
なぜ日本の金融規制法で投資家保護を目的としたセロカットシステムが採用されないかといいますと、ゼロカットシステムは顧客の損失を業者が請け負うものです。
一見聞こえがいいですが、いざ金融危機が起こった場合にFX業者の倒産を招く可能性はゼロではなく、連鎖倒産などが起こった結果、結局投資家の保護が行われないということにもつながりますので日本では禁止されています。
国によって金融ライセンスの内容は異なる
金融ライセンスは国によってまったく取得難度が異なります。特にイギリスやアメリカ、オーストラリアなどの国々で取得するとなると審査期間は1年以上。金額は1億円以上かかると言われています。
これでは新しく証券会社を立ち上げようと思っても敷居が高すぎでできません。
そこで新興のFX業者は以下の国などで金融ライセンスを狙います。
ベリーズ、セーシェル、バミューダ、バヌアツ、マーシャル、モルジブ、SVG(セントヴィンセントグレナディーン)
これらは一部ですが、ライセンスの審査期間は1ヶ月から半年、値段も30万円から100万円程度でとることが出来ます。
しかし金融審査がザルの代わりに金融当局は顧客保護や金融業者の監視などは積極的ではありません。
しかしトレーダーの多くはライセンスがどこであろうが気にする人は少ないです。金融ライセンスがあればいいという程度の認識かと思います。
信用のない金融ライセンス業者の事情
顧客さえ気にしなければ金融ライセンスが安くて簡単に取れる国で取得するというのは理解できますが、しかし業者にとって不都合なことがあります。
FX業者というのは、抱えている顧客の注文を取引先の「銀行」に流してカバーしてもらうのですが、まともな「銀行」は信用がない国のライセンス業者とは取引をしません。
銀行にカバーしてもらう時に銀行が掲示する外国為替の価格はFX業者が顧客に掲示する価格のベースにもなります。
信用のある金融ライセンスを持っているFX業者は複数の銀行を取引先として選べますので、一番レートがいい銀行にカバーしてもらえば業者に有利なレートで営業ができますが、信用のない国の金融ライセンスの場合は取引してくれる銀行が少ないので、FX業者は良いレートを選ぶことができません。
つまり長い目で見ると高コスト体質になりまして、そのコストは最終的には顧客に転嫁されます。ですので、信用がある国でのライセンス業者を使うことをおすすめします。
弱い金融ライセンス業者は営業が派手
金融ライセンスの信用が無い業者は派手なボーナスや、狭いスプレッドをウリにして顧客の勧誘を行います。
これは厳しい金融ライセンスの国では顧客の勧誘方法も厳しく管理されていますが、緩いライセンスの場合はそこまで厳しく管理されていないから可能なのです。
しかし緩いライセンス業者は先程書いたとおり複数の銀行と契約を結ぶことができません。そこにボーナスや狭いスプレッドをウリにしたら大手のFX業者には勝てません。
ではいったいどこで利益を出しているのでしょうか?
実はここが信用のないライセンス業者が危ないと言われている根本的な原因の部分なのですが、利益の少ない業者は顧客の出金を拒んだり、エントリーをずらしたりして会社の利益をつくります。
以前は計画倒産で顧客の資金が返ってこなかった事例もありますので注意が必要なのです。
日本人が口座を作ることができる金融ライセンス
イギリスのFCA
世界で最も審査が厳しいと言われているのがイギリスのFCAの発行のライセンスです。
イギリスにはPRAとFCAの2つの組織が金融監督をおこなっており、PRAは金融システムの安定化を目的として銀行や投資会社などを監視します。
そしてFCAはFX業者を含む全ての金融業の金融行為を監視し、金融機関の効率的な競争を促進することを目的としています。
FX業者はFCAで金融行為の審査が通ると、PRAとFCAの監視下に入ります。
資本金や経営状況、顧客の資産管理などの報告を逐一行うことが必要で、万が一出金拒否など顧客に不利な行為を行った場合はすぐに監査がはいります。
保証などに関する規定も厳しく、顧客保護にも厳しく非常に信用できる金融ライセンスと言えるでしょう。
ニュージーランドのFMA
以前までのニュージーランドでは、金融免許を持っていなくとも営業が可能だったのですが、最近規制が厳格化され、FMAの金融ライセンスが国の公式ライセンスとなっています。
2011年に設立された比較的新しい組織で、それまではニュージーランド証券取引委員会のルールのもとで事業登録を行って金融行為を行っていた業者が、厳しいFMAのライセンス取得ができずに営業停止に追い込まれました。
もともとニュージーランドのライセンスは世界的に見ると信用がなかったのですがこの一件で信用度があがりました。さらに2019年にも規制レベルが引き上げられ、現在では信用できるライセンスと言えるでしょう。
ニュージーランドにはFSPRという組織もありますが、こちらは金融ライセンスではなく事業登録業者であり、金融監査などはおこないません。
ケイマン諸島(CIMA)
ケイマン諸島はカリブ海の小さな島の一部なのですが、ここは世界的な金融セクターとなっております。
租税回避地として有名なタックスヘブンの国ですので、「セーシェル」「ベリーズ」の隣に「ケイマン諸島」と並べても違和感のない胡散臭さですが、ケイマン諸島に関しては国をあげて信頼を作ってきた過去があり、イギリスの金融法に準拠して金融ルールが作られています。
世界の300以上の銀行、800以上の保険会社を監督しており、格付け会社のムーディーズからもAA-の評価を受けています。
FX業者ではTradeviewがこちらの金融ライセンスを取得しています。