ハイローオーストラリアのスリッページ
スリッページとは狙った価格で約定せず、それよりもずれた価格で約定してしまうことを言います。
FXの世界ですと業者によっては「約定力」なんて呼ばれたりして、FX業者を選ぶ際に重要な項目として重宝されています。
ハイローオーストラリアにもスリッページはありまして、手動でエントリーするとボタンを押したところよりも不利なところで約定した経験は誰しもお持ちではないでしょうか。
特にスキャルピングなどの超短期売買を行う際は、スリッページが頻繁に起こると死活問題ですので重要視しなければいけません。
スリッページは通常0.1~0.3pips程度と小さいですが、短い時間ですとその小さなpipsの影響が大きいですからね。
スリッページはなぜ起こる?
ネットを少し探すと、FXのスリッページについての説明で、下記のような説明をたまに見かけます。
相場が活発に動いている時に、「注文をだす」⇒「FX業者がインターバンクに注文を流す」⇒「約定」という流れの中で、注文処理が間に合わずデータの遅延が起こって注文価格とズレが生じてしまい、スリッページが起こります。
しかし・・・
これに関して、スリッページを経験したことがある皆さんでしたらご存知だと思うのですが、ハイローオーストラリアの取引で起こるスリッページの9割以上が「顧客の不利益になる方向に動く」ということです。
この理由ですが、ハイローオーストラリアのビジネスモデルと関係しています。
ハイローオーストラリアは完全に相対取引
ハイローオーストラリアですが、その仕組みはお店とお客の間だけでお金のやりとりを行う「相対取引」です。一見、世界の市場を相手に取引しているように見えますがまったく違います。
相対取引というのは、別名「DD取引」と言って、お客さんの注文をすべてお店(ハイローオーストラリア)が呑み込んでいます。
簡単に言うとカジノやパチンコと同じ仕組みで、お客さんがお金を賭けて、お店がゲームの勝敗によって払い戻す仕組みです。
なので顧客の損がお店の売上になるビジネスモデルなのです。
ですので、スリッページは当然お客さんに負けてもらうためのシステムとして存在します。
ちなみに相対取引の逆で、お客さんの注文をすべて市場に流し、業者はお客さんの注文を呑み込まないNDD取引というものも存在します。
ここではハイローオーストラリアは相対取引と書いていますが、FX業者の場合は相対取引でも顧客の注文の一部は市場に流しますが、ハイローオーストラリアの場合は全く流すことはしないので、FX業者のDD取引とハイローオーストラリアの仕組みは厳密に分類すると異なるものではあります。
健全なNDD業者のスリッページ
価格 | 注文数 |
110.012 | 0.4カイ |
110.01 | 0.8カイ |
110.007 | 0.3カイ |
110.005 | 0.2カイ |
110.004 | 0.1カイ |
110.000 | 32.0カイ |
その状態で、3.0Lotの売り注文を出すと、その量を受けきるには32.0の買い注文が控えている「110.000」までいかないといけないので、3.0Lot全部が110.000で約定します。これがNDDのスリッページです
ハイローオーストラリアのスリッページ
ハイローオーストラリアの相対取引(厳密に言うと相対取引ですらないです)は、FXCMの価格をベースに提示していますが、価格の操作は可能であり、また、そのレートには根拠となる反対売買の注文が存在しません。
そのため、レートはお客さんの信用を失わない程度に自由に飛びます。ようするにハイローオーストラリアの裁量一つで価格を自由に変えられてしまうということです。
スリッページの影響を最小限に押さえるには?
スリッページの影響を抑える方法ですが、まず1つ目はゲーム時間を5分以上のものにする方法です。
これはスリッページしてしまう事には変わりないのですが、ゲーム時間が長くなればそれだけ価格が変動しますので、0.1pips程度のスリップが勝敗に及ぼす影響は少なくなります。
逆に30秒や1分取引だと0.1pipsの影響が大きいので、スリッページは勝率に直結してしまいますね。
次にスリッページの影響を抑える方法としては、注文が込み合うところではエントリーしないということです。
これは指標発表前や、世界中からのエントリーが集中する毎分00秒周辺をさけることで回避できます。
悪質なスリッページは行政処分の対象
行政処分をうけた当日に速攻でこの記事は消されていました。さすがです。
2020年8月19日にFXプライムbyGMOが、スリッページを放置したとして金融庁から行政処分を受けました。
流れとしては、FXプライムは以前よりスリッページの存在を把握しており、顧客や調査会社からのクレームも受けていたものの放置していました。
しかし「スリッページなし(0%)、A社調べ」と同社の広告に事実と相違する記事を掲載したことで、金融庁からおしかりを受けたわけです。
ただ、FXプライムがスリッページをすることはベテラントレーダーの間では周知のことだったのですが、実際に取引を重ねることで見えてくる部分なので、やはり初心者の方々は簡単に引っかかってしまいましたね。
なお、基本的にグーグル上位に来るFX業者の紹介サイトは、記事の執筆者が実際に業者を使いこんで調べてはおりません。ですのでスリッページのデータも出さずに「約定力高いです!」なんて書かれている内記事は疑ってかかったほうが良いかと思います。
ハイローオーストラリアの約定拒否とは?
次にハイローオーストラリアで起こる約定拒否についてです。
約定拒否はリクオート(re quote)とも呼ばれまして、quoteには「◯◯の値段をつける」という意味があり、つまり値段を再び付け直すということです。
つまり、ある価格で注文を入れたはずが、業者にその値段での約定を拒否されて再度別のレートを掲示されるということです。
裁量でトレードをしていたりしますと、取引画面に「レートが更新されたため、約定できませんでした。」という文字が表示されるので、経験したことがあるトレーダーさんは多いかと思います。
約定拒否(リクオート)の原因
価格の変動が激しい
取引が取り消されたのはなぜですか?
キャンセルには様々な理由があります。最も多い例として、フィードに遅延が生じたり、オフライン状態やフィードのアップデートがなされず、現状のものが表示されない場合に起こります。このような状況において、弊社は取引を取り消すこととしております。
参照:ハイローオーストラリア「お取引について」
約定拒否で一番多いのが、指標発表などで価格の変動が激しく、エントリー時の価格から大きく離れてしまった場合にエントリーしないパターンです。
しかしこれはまっとうな理由であり、意図していない価格で約定しないようにする処置で、トレーダー保護にもつながり悪いことではありません。
サーバーの処理能力
次にハイローオーストラリアのサーバーが混雑して処理が間に合わずに約定拒否が起こる場合です。
ハイローオーストラリアのサーバーは一時期よりは増強され使い勝手は向上していますが、やはり00分時点や、なにか大きなニュースが出た時などは注文が殺到しますのでエントリー処理が間に合いません。
普段からハイローオーストラリアは同時タイミングで複数通貨のエントリーを防ぐ機構が装備されていますが、それをもってしてもエントリー処理の集中は完全には防げません。
この約定拒否は残念ながら仕方がないと言うしかありませんね。
稼ぎすぎると約定拒否をされる?
FXの世界ではよくある話なのですが、上級トレーダーの裁量スキャルピングでバシバシ勝ちますと、急に注文が通りにくくなったりします。
一部で都市伝説化しているこの話ですが、これは勝ちまくっているトレーダーさんがあまりにも少ないのと、勝っているトレーダーさんはSNSなどで情報発信しませんので、真偽が謎ということが原因としてあります。
当初この約定拒否はFXの世界だけかとも思っていたのですが、弊社で取り扱っている自動売買システム8000人分のデータを見ると、どうやらハイローオーストラリアにも存在するようです。
特に判定5分以下のスキャルピングで約定拒否は受けている方が多く、中には約定拒否されるどころか口座凍結対象になった方もいらっしゃいます。
先程も少しお話しましたが、バイナリーオプションのビジネスモデルはカジノなどと同じく、お客さんの負けがお店の売上。逆に言えばお客さんの利益はお店の損ですからね。
バシバシ稼ぐトレーダーはマークして即いやがらせです。こうなってしまうとハイローオーストラリアの口座を変えるなどしないと快適な取引環境は戻ってこないのが現状です。
約定拒否を防ぐためにはどうすれば良い?
ハイローオーストラリアにマークされた約定拒否に関してはどうにも対策が打てませんが、サーバーの負荷が高いときや、レートの動きが激しい時を避けることである程度約定拒否を防ぐことができます。
具体的には00分、30分でのエントリー、さらに細かくしますと00秒でのエントリーを避けることです。
00分、30分でのエントリーには1分足、3分足、5分足、15分足、30分足のトレーダーが全てエントリーしてきます。そのため05分や20分などのエントリーよりも当然サーバーが混み合いますし、実際00分と30分の周辺はボラティリティが跳ね上がります。
そして00秒エントリーですが、これは自動売買トレーダーが一斉にエントリーしてくるのでサーバーが混雑しやすいです。特に00分と30分の00秒は約定拒否されやすいことで有名です。
ではどのように対策すればよいかと言いますと、インジケーターやローソクの形で裁量トレードをしている方でしたら00秒よりも1~2秒エントリーを早く行いますとそのまま約定拒否されない場合が多いです。
もし自動売買をお使いの方でしたら、例えばFX-EAラボが販売しているAutoMultiTraderですと、後付けでフライングエントリー機能というものがありまして、00秒から◯秒前エントリーするという任意の秒数を設定機能を使います。
フライングエントリーを使うことで混雑する00秒を避け、約定拒否は格段に避けられるようになりますよ。