バイナリーオプションのスリッページとは?

スリッページとは、狙った価格で約定せず、それよりも不利な価格で約定してしまう現象です。
FXでは「約定力」とも呼ばれ、業者選びの重要な基準となります。
バイナリーオプションブローカーでもスリッページは発生し、手動エントリーでボタンを押した瞬間に不利な価格で約定した経験は多いのではないでしょうか。
特に、スキャルピングのような超短期取引では、0.1~0.3pipsの小さなスリッページが勝敗に大きく影響します。

スリッページはなぜ起こる?
FXでは、スリッページの原因として以下のような説明が一般的です:
相場が急激に動く際、「注文を出す」→「業者がインターバンクに注文を流す」→「約定」というプロセスで、処理の遅延により注文価格と実際の約定価格にズレが生じる。
しかし、バイナリーオプションブローカーの場合、話は異なります。
実際、バイナリーオプションブローカーでのスリッページの9割以上が顧客にとって不利な方向に動きます。これは、バイナリーオプションブローカーのビジネスモデルに原因があります。
バイナリーオプションは完全に相対取引
バイナリーオプションブローカーは、相対取引(DD取引)を採用しています。これは、顧客の注文を市場に流さず、ブローカー自身が注文を「呑む」仕組みです。
簡単に言えば、カジノやパチンコと同じで、顧客の損失がブローカーの利益となり、逆に顧客の利益はブローカーの損失となります。
そのため、スリッページは顧客に不利な価格を提示するシステムとして機能しているのです。
一方、市場に注文を流すNDD取引では、こうした意図的な価格操作は起こりにくいです。

健全なNDD業者のスリッページ
価格 | 注文数 |
110.012 | 0.4カイ |
110.01 | 0.8カイ |
110.007 | 0.3カイ |
110.005 | 0.2カイ |
110.004 | 0.1カイ |
110.000 | 32.0カイ |
その状態で、3.0Lotの売り注文を出すと、その量を受けきるには32.0の買い注文が控えている「110.000」までいかないといけないので、3.0Lot全部が110.000で約定します。これがNDDのスリッページです
価格操作が可能なスリッページ
バイナリーオプションブローカーのスリッページは、NDD取引とは異なり、価格操作が可能な仕組みです。
提示レートはFXCMの価格を参考にしていますが、反対売買の注文が存在しないため、ブローカーの裁量で価格を自由に動かせます。
スリッページの影響を最小限に押さえるには?
スリッページの影響を抑える方法ですが、まず1つ目はゲーム時間を5分以上のものにする方法です。
これはスリッページしてしまう事には変わりないのですが、ゲーム時間が長くなればそれだけ価格が変動しますので、0.1pips程度のスリップが勝敗に及ぼす影響は少なくなります。
逆に30秒や1分取引だと0.1pipsの影響が大きいので、スリッページは勝率に直結してしまいますね。
次にスリッページの影響を抑える方法としては、注文が込み合うところではエントリーしないということです。
これは指標発表前や、世界中からのエントリーが集中する毎分00秒周辺をさけることで回避できます。
悪質なスリッページは行政処分の対象
行政処分をうけた当日に速攻で上記の記事は消されていました。さすがです。
2020年8月19日にFXプライムbyGMOが、スリッページを放置したとして金融庁から行政処分を受けました。
流れとしては、FXプライムは以前よりスリッページの存在を把握しており、顧客や調査会社からのクレームも受けていたものの放置していました。
しかし「スリッページなし(0%)、A社調べ」と同社の広告に事実と相違する記事を掲載したことで、金融庁からおしかりを受けたわけです。
ただ、FXプライムがスリッページをすることはベテラントレーダーの間では周知のことだったのですが、実際に取引を重ねることで見えてくる部分なので、やはり初心者の方々は簡単に引っかかってしまいましたね。
なお、基本的にグーグル上位に来るFX業者の紹介サイトは、記事の執筆者が実際に業者を使いこんで調べてはおりません。ですのでスリッページのデータも出さずに「約定力高いです!」なんて書かれている内記事は疑ってかかったほうが良いかと思います。

バイナリーオプションの約定拒否とは?
上記はエントリーボタンを押した時に表示される約定拒否のテキスト
次にトレード中に起こる約定拒否についてです。
約定拒否はリクオート(re quote)とも呼ばれまして、quoteには「◯◯の値段をつける」という意味があり、つまり値段を再び付け直すということです。
つまり、ある価格で注文を入れたはずが、業者にその値段での約定を拒否されて再度別のレートを掲示されるということです。
裁量でトレードをしていたりしますと、取引画面に「レートが更新されたため、約定できませんでした。」という文字が表示されるので、経験したことがあるトレーダーさんは多いかと思います。
約定拒否(リクオート)の原因
価格の変動が激しい
取引が取り消されたのはなぜですか?
キャンセルには様々な理由があります。最も多い例として、フィードに遅延が生じたり、オフライン状態やフィードのアップデートがなされず、現状のものが表示されない場合に起こります。このような状況において、弊社は取引を取り消すこととしております。
参照:ハイローオーストラリア「お取引について」
約定拒否で一番多いのが、指標発表などで価格の変動が激しく、エントリー時の価格から大きく離れてしまった場合にエントリーしないパターンです。
しかしこれはまっとうな理由であり、意図していない価格で約定しないようにする処置で、トレーダー保護にもつながり悪いことではありません。
サーバーの処理能力の問題
サーバーが混雑すると、注文処理が追いつかず約定拒否が発生します。特に、毎時00分や重大なニュース発表時は注文が集中し、サーバー負荷が高まります。
バイナリーオプションブローカーは同時エントリーを制限する仕組みを導入していますが、完全な対策にはなっていません。
稼ぎすぎると約定拒否をされる?
FXの世界ではよくある話なのですが、上級トレーダーの裁量スキャルピングでバシバシ勝ちますと、急に注文が通りにくくなったりします。
一部で都市伝説化しているこの話ですが、これは勝ちまくっているトレーダーさんがあまりにも少ないのと、勝っているトレーダーさんはSNSなどで情報発信しませんので、真偽が謎ということが原因としてあります。
当初この約定拒否はFXの世界だけかとも思っていたのですが、弊社で取り扱っている自動売買システム8000人分のデータを見ると、どうやら一定のブローカーに存在するようです。
特に判定5分以下のスキャルピングで約定拒否は受けている方が多く、中には約定拒否されるどころか口座凍結対象になった方もいらっしゃいます。
先程も少しお話しましたが、バイナリーオプションのビジネスモデルはカジノなどと同じく、お客さんの負けがお店の売上。逆に言えばお客さんの利益はお店の損ですからね。
勝ちすぎるトレーダーはマークされ、不利な取引環境を強いられることがあります。
約定拒否を防ぐためにはどうすれば良い?
ブローカーにマークされた約定拒否に関してはどうにも対策が打てませんが、サーバーの負荷が高いときや、レートの動きが激しい時を避けることである程度約定拒否を防ぐことができます。
具体的には00分、30分でのエントリー、さらに細かくしますと00秒でのエントリーを避けることです。
00分、30分でのエントリーには1分足、3分足、5分足、15分足、30分足のトレーダーが全てエントリーしてきます。そのため05分や20分などのエントリーよりも当然サーバーが混み合いますし、実際00分と30分の周辺はボラティリティが跳ね上がります。
そして00秒エントリーですが、これは自動売買トレーダーが一斉にエントリーしてくるのでサーバーが混雑しやすいです。特に00分と30分の00秒は約定拒否されやすいことで有名です。
ではどのように対策すればよいかと言いますと、インジケーターやローソクの形で裁量トレードをしている方でしたら00秒よりも1~2秒エントリーを早く行いますとそのまま約定拒否されない場合が多いです。
もし自動売買をお使いの方でしたら、例えばバイナリーオプション自動売買システムのAutoMultiTraderですと、フライングエントリー機能というものがありまして、00秒から◯秒前エントリーするという任意の秒数を設定機能を使います。
フライングエントリーを使うことで混雑する00秒を避け、約定拒否は格段に避けられるようになりますよ。
バイナリーオプションのスリッページと約定拒否を徹底解説 まとめ




